かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ベートーヴェンピアノ協奏曲全集2

今回のマイ・コレは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の第2集。第3番と第4番になります。レーゼルのピアノ、クラウス・ペーター・フロール指揮ベルリン交響楽団の演奏です。

ここからは番号順が作曲順となりますが、この第3番からいきなり音楽が高みに上っているのが聴いていてすぐわかります。

いや、第1番からも確かに昇っているのですが、第1番と第3番には、気高さのレヴェルに違いがあるような気がするのは、わたしだけなのでしょうか。

第3番はハ短調という、交響曲でいえば第5番と同じ調性を使っている点が注目です。それ故なのか、いわゆるベートーヴェンを語る時によく出て来る言葉である「苦悩を突き抜けての歓喜」がぴったり当てはまるかのような音楽です。

ピアノ協奏曲第3番 (ベートーヴェン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

また、第4番はいきなりピアノ独奏で始まるという独創的な作品でありながら、気高さはさらに素晴らしいものとなっているのが特徴です。

ピアノ協奏曲第4番 (ベートーヴェン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

私はこの2曲、実はいずれも第5番「皇帝」と同じくらい好んで聴く作品で、携帯では第3番から第5番までが一緒に聴けるように入れているくらいです。

初めて聴いたときの衝撃たるや、それは筆舌し難いものでした。第3番をテレビでだったと記憶しています。気高さに体中に電流が走り、感動で打ち震える自分がいました。

この2曲、古典派的な作品ですが、とてもロマンティックな作品でもあります。第3楽章の第2楽章から第5番まで、古典的な造形美を持ちながら、ロマンティックで英雄的な音楽が展開されていきます。

古今の協奏曲の中で、人の心に勇気と力強さを与える曲は、私はベートーヴェンのこの3曲以外に知りません。美しい、甘美、気品、寄り添いは他でもあります(特に、モーツァルト短調の作品)。しかし、勇気となると、私が知る限り、ベートーヴェン以外に知りません。

この演奏はキリスト教会で収録されたため、あるいは指揮者がクラウス・ペーター・フロールであるせいなのか、あまり人気がないようですが、私は好きです。とても端整でありながら、私の心に希望の光を灯してくれる演奏だからです。ピアノは甘美でありつつ気高く、オケもアインザッツがすっきりとしていて、アクセントもわざとらしくなく、とても素直な演奏です。

そもそも、ピアニストの中村紘子さんが第5番を弾いたときにインタヴューで、ベートーヴェンは楽譜通りに弾けばきちんと聴衆を感動させることが出来るんですと語ったのを、私は昨日のように覚えています。確かに、ベートーヴェンのピアノ協奏曲は気を衒わなくても、第3番以降は特に私たち聴衆を感動させるだけのクオリティを持っています。

そう、品質がそもそもいいのです。楽譜通りでいいということは、設計品質がいいことを意味します。いっぽう、気を衒わないと感動させることが出来ないのは、たとえとして適当ではないかもしれませんが設計品質は悪いけれど製造品質がいいということになるわけです。

中村さんは、ベートーヴェンの作品の難しい点は、この二つの品質で例えて言えば、設計品質がいいからこそ、製造品質の良しあしが問われるんだ、と。つまり、作品として完成されているからこそ、技量の良しあしがもろに出てしまう、怖い作曲家だ、と。

これは私は第九でも全く同じように感じていたので、納得でした。ピアノと合唱では違うでしょとおっしゃるかもしれませんが、演奏するという点でなんら違いはありません。プロかアマチュアか、その点でしか差はありはしません。

もし、いわゆる変態演奏が他にあって、それが本当にすばらしいのだとすれば、それはまず端正に演奏する、つまり設計品質の極めて高いものを高い製造品質で作りあげた結果であって、別に変態演奏を最初から目指したわけではなく、端正に演奏しようとしていつの間にか変態演奏になっていた、それが人々をして名演といわしめるようになったというだけの話なのです。

このアルバムは、その基礎的なものがしっかりとなされている、素晴らしい演奏です。情熱と冷静の間はとてもよく取れていますし、淡々とした中からじんわりと感動が湧き上がってきまます。何度聞いても飽きが来ず、ずっと聴いていたいと思わせる演奏だと思います。キリスト教会での収録であるため、パソコンのように設定がすこしクラシックとあわない再生装置でも、いい音で鳴ってくれます。

評価しないのは、もったいないように私は思います。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37
ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58
ペーター・レーゼル(ピアノ)
クラウス・ペーター・フロール指揮
ベルリン交響楽団
(徳間ジャパン ドイツ・シャルプラッテン TKCC-15154/2)



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