かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:マルチヌー 交響曲全集1

今月のお買いもの、今回から3回にわたってマルチヌーの交響曲全集を取り上げます。ブリリアント・クラシックスから出ているものです。

元々はBISだったようで、それ故お値段は3枚組で1785円。一枚あたりは通常のブリリアント・クラシックスの630円より安い595円。格安です・・・・

いや、そもそも630円だって格安です。ナクソスより安いんですから。

さて、今回もまたコアなクラシックファンのかた以外には知られていない名前が出てきました。マルチヌーは我が国ではマルティヌーとも呼ばれる20世紀のチェコの作曲家です。多作家で知られていますが、交響曲は6曲作曲しています。多作家としては少ないともいえましょう。

ボフスラフ・マルチヌー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%95%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%8C%E3%83%BC

どちらかと言えばサン=サーンスに近いスタンスだと言えるかと思います。いろんなジャンルを作曲しますが、ジャンルごとの数はそれほど多くはないといった人でしょう。20世紀の作曲家としては映画音楽の作曲が少ないのも特徴です。

数多いジャンルの中でも、一番取り上げられることが多いのが、主に交響曲や協奏曲、そして室内楽曲ですが、その中でも特に彼の名を有名にしているのは交響曲です。

この全集はそのマルチヌーの交響曲を番号順に取り上げているのも嬉しいです。ウィキの解説を見る限り、この作曲家はやはり番号順に見ていくのが適切なのではないかと思うからです。

第1集には第1番と第2番が収められています。丁度彼が戦争を避けヨーロッパからアメリカへと渡った時期に作曲されました。実は交響曲のほとんどはアメリカで書かれています。そのためか、この二つともなのですが、チェコの香というものがあまりしません。とてもコスモポリタンの香りがします。

第1番は1942年にクーセヴィツキー音楽財団の依頼により作曲されました。そのため、初演もクーセビツキーの指揮により行われています。4楽章制でソナタ形式を取るというのも特徴です。というより、全体的にはこれがマルチヌーのスタイルだと思います。旋律は不協和音が多用されていますが、じっくり聴きますと形式美もしっかりしていますしリズム感もあります。後期ロマン派の延長線上と言っていいと思います。第2楽章はスケルツォですし、その点も面白い作曲家です。それ故、初めて聞く方でも取りつきやすいなのではないかと思います。

ウィキにあるアンセルメのコメント「彼の世代で最も真正なシンフォニストだ」は、まさしく的を得た表現だと思います。どうやらマルチヌーはこの時期、ハイドンを理想としていたようで、それがこういった形式美の追求にもつながっているようです(ハイドンが作曲した協奏交響曲と全く同じ楽器と編成で「協奏的交響曲」を書いています)。その一方で編成ではピアノが使われている点も注目で、こういった点からは彼の故国であるチェコやその周辺の作曲家の影響、たとえばシマノフスキなどのですが、見て取れます。

第2番は1943年にクリーブランド在住のチェコ人の労働者のために作曲されました。そのため「チェコ交響曲」とも言われます。場所故初演はセル指揮、クリ―ヴランド管弦楽団によって行われました。ウィキに「大編成のオーケストラによる作品だが、小グループに分割された楽器群が交互に表れる室内楽的な構成」とありますが、確かに各楽器のアンサンブルを楽しむことが出来るうえに、大きな管弦楽曲として完成しています。ただ、そういう構成になった背景には、この曲にはフランス国歌ラ・マルセイエーズが使われているという点を見逃すわけにはいかないでしょう。こういった点に、当時のマルチヌーが辿った人生を感じます。

私は第2番のその構成には、故国チェコをはじめとしてヨーロッパが当時置かれた状況が深く関係していると考えています。各楽器を室内楽的にということは、それぞれのパートをレジスタンスに例えてのことで、だからこそラ・マルセイエーズを使う。そして、チェコもそうあってほしい・・・・・そう考えれば、この曲はまた違った側面を見せてくれるように思います。

第2交響曲 H.295 (1943/5-7)
http://www.martinu.jp/sym_the2nd.html

そして、この曲も第1番同様ピアノが効果的に使われています。あくまでもオーケストラのパートの一部としての使われ方ですが、特に緩徐楽章のはずである第2楽章では、緊張感を高めるのに使われており、この曲がもつ意味というものを考えさせてくれます。最後はとても明るく終わっていますが、それもこのテクストで考えますととても深いものを私は感じています。

演奏面では、ヤルヴィの指揮が光ります。端正でかつ奇をてらわないスタイルなのに、きちんとドラマティックな点が表現されています。バンベルク交響楽団のアンサンブルも素晴らしく、特に力強いアインザッツは、この曲に適度な緊張感を与え、決して不協和音だらけの曲ではないということをしっかりとアピールしています。それでいて軽いところは軽く、重すぎるところがありません。特に第2番などは重々しい部分がありながら、それを全体的な印象にさせていない点はさすがだと思います。

この作曲家に出会ったのはmixiがきっかけですが、それには感謝せずにはいられません。また一人、聴きたいと思う作曲家が増えたような気がします。とりあえず、第2集第3集が楽しみです。



聴いているCD
ボフスラフ・マルチヌー作曲
交響曲第1番
交響曲第2番
ネーメ・ヤルヴィ指揮
バンベルク交響楽団
(Brilliant Classics 8950/1)



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