かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:マルチヌー 管弦楽曲集

神奈川県立図書館所蔵CD、今回は久しぶりにマルチヌーの登場です。マルチヌーの管弦楽曲集をご紹介します。

この資料を借りてきたのは、マルチヌーへの興味がわいていたことがきっかけです。当ブログでも、交響曲で3回、協奏曲でも3回取り上げております。

そんな中で借りてきたこの音源ですが、じつは最初に収録されている作品は、後に再びCDで購入することになります。それが以下のエントリで、都合によりCDのほうが先の御紹介になったのです。

今月のお買いもの:マルチヌー 協奏曲集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1087

マルチヌーはピアノだけでなく、幾つか協奏曲を書いていますが、その協奏曲に魅せられて、県立図書館だけではなく、大坂のワルティさんで購入したのでした。あれから4年・・・・・今はワルティさんも閉店し、寂しく思います。

ワルティさんで、そういえば半年くらい前に図書館で借りたよねえって思いながら、友人と一緒hにワルティさんで物色したのを、昨日の様に思いだします。

その作品とは、「2群の弦楽合奏とピアノ、ティンパニーのための二重協奏曲」です。1938年に作曲された大規模なこの作品は、どこか哀愁というか、暗い背景を感じる作品です。構成としては新古典主義音楽らしく、バロックのコンチェルト・グロッソに興味を持ったことから成立した作品です。上記エントリからもう一度再掲します。

「まず第1曲目が「複協奏曲」。どんな曲だろうかと思うかと思いますが、買うとき私も同じように思いました。「複」とは複数の楽器のことを意味していまして、その楽器の中には実は弦楽合奏も含まれるという、少し変わった作品です。英訳もダブル・コンチェルトとあるので小難しいように感じてしまうんですが・・・・・実際、音楽も作曲年が1938年という時期もあって不協和音多用ですし、しかもおどろおどろしい部分も多々あるので、それが更に難しいものにしている点は否めないんですが、しかしさすがブックレットを書く人は素晴らしいですね。これは「合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)」への興味から成立した作品ですとあって、なーるほど!と膝を打ったのです。

確かに、編成からすれば合奏協奏曲です。バッハよりはむしろ、イタリアバロックの作曲家が書いているジャンルです。

合奏協奏曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E5%A5%8F%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2

特にコレッリの作品とは類似点が多いと私は思います。旋律線だけを追いかけていると難しく感じますが、それぞれの「音」がどうアンサンブルしているかに傾注して聴いてみますと、これがとても面白いのです。弦楽合奏は二つに分かれているはずですがそんなことはみじんも感じさせないほど自然ですし、そのアンサンブルの上でソロ楽器であるピアノとティンパニ(!)が協奏するそのさまは、大オーケストラとピアノとの協奏曲を聴いているかのようです。弦楽合奏とは思えない迫力と、自然さを持ちます。」

この演奏でも、おなじようにコンチェルト・グロッソというよりはむしろ単独楽器の協奏曲のような趣が強いですね。マルチヌーが作品にどのような性格付けを行っているかが明白になるのも、面白いですね。これぞマルチヌーと言ったところです。

2曲目が「管弦楽のための寓話」。戦後の1957年の作品です。3つの楽章の内、最初2楽章にサン・テグジュペリの「城砦」、最終楽章にジョルジュ・ヌヴーの劇「テセウスの旅」から題材が採られています。標題音楽でもあり、また象徴的な音楽でもあり、また印象派的でもあります。一見すれば古い様式なのですが、象徴主義だと考えますと、第1楽章は過去を手放し未来を見る、第2楽章は輪廻、第3楽章は優しさとは、とテーマが付いているのです。戦争後のマルチヌーの内省的作品とも言えるかもしれません。特にこの作品が交響曲とも言われていることを考えますと、3楽章ということに、「自由」という意味が透けて見えても来ます。

最後の3曲目が「ヴィオラと管楽器のためのラプソディ・コンチェルト」。2楽章しかない作品ですが、協奏曲の編成でラプソディを書いていると言えばいいでしょうか。実に多彩で色彩豊かな作品です。

演奏はオケはプラハの実力オケがそれぞれを担当し、第1曲がチェコ・フィル、第2曲がプラハ放送響、そして第3曲がプラハ響。ドヴォルザークスメタナとはまた一味違った内容を見せます。不協和音多彩な作品が、生命を持っているかのように変幻自在で、まるで万華鏡を見ているかのようです。ドヴォルザークスメタナのような作品を演奏するときの、半ば強迫的な部分がなく、むしろ肩の力を抜いており、こちらも聴いていて楽しくなります。ニヤリとしたり、おお!となったり。そもそもオケが、自国の作曲家の作品とは言え、楽しんでいるのがこちらまで伝わってくるんですね。これが私たちの祖国の音楽だ!と声高に話すのではなく、やっぱり祖国の音楽は良いねえというような雰囲気が伝わってくるんです。同じ愛国者として、そう、そうだよね!とこういった演奏のほうが共感できたりします。

マルチヌーの作品を聴いてはずれを聴いたことがないんですが、それは作曲者の人徳なのかもしれません。あるいはそれは、チェコという国が辿った歴史故なのかもしれません。こういう作品を書く作曲家が居る国というのも、素晴らしいですね。




聴いている音源
ボフスラフ・マルチヌー作曲
2群の弦楽合奏とピアノ、ティンパニーのための二重協奏曲
管弦楽のための寓話
ヴィオラと管楽器のためのラプソディ・コンチェルト
スタニスラフ・マタラ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(1曲目)
ズデニェク・コシュラー指揮
プラハ放送交響楽団(2曲目)
ルボミール・マリー(ヴィオラ
ヴァーツラフ・スメターチェク指揮
プラハ交響楽団(2曲目)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村