かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クリュイタンス ベートーヴェン交響曲全集2

神奈川県立図書館所蔵CDクリュイタンスベートーヴェン交響曲全集の今回は第2回目です。第2集に収録されている第2番と第4番、そして「エグモント」序曲を取り上げます。

この第2集に収録されている各々の楽曲の演奏は、まさしくウィキの次の記述を証明するものとなっています。

ベートーヴェンラヴェルの録音は、品格と色気を極限まで引き出したエレガントな演奏で、こうした文化の香りを伝えた録音は歴史的にも大変意義がある。」

アンドレ・クリュイタンス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B9

全集において、番号順ではない場合、なぜその曲をカップリングしたのかが一つの視点だと思いますが、この第2集はともに「序奏」が入っているものが並んでいます。ですから、序奏があった時の演奏の差を見ることが出来ます。

まず第2番では、序奏はゆっくりとはじまりますが、第1主題が始まりますとテンポアップします。それはまさしく楽譜の指示通り(アダージョモルトアレグロ・コン・ブリオ)と言えるかと思います。

しかし第4番においては、序奏と第1主題とはそれほど差がなくなります。指示はアダージョアレグロモルトですからかなりテンポに差が出てもいいわけなのですが、それほど差はありません。以前取り上げたヴァントにスタイルが似ています。

マイ・コレクション:ベートーヴェン 交響曲第2番・第4番
http://yaplog.jp/yk6974/archive/353

こういった視点から言えば、第4番は比較的変態演奏とも言えるわけなのですが、アレグロという速度をどうとるのかでまた変わってきますので、難しいところです(その視点では、上記のエントリの時にも触れていますが、もともと4番の演奏で欲しかったクライバーの指揮は実はスコアに忠実であることが分かります)。

ただ、この音源の第2番と第4はも端整で気品のある演奏であることには間違いありません。その点から、決してクリュイタンスが人口に膾炙している意味での変態演奏をする指揮者ではないことが分かります。

こう演奏は素晴らしいですし、また編集もいい視点を持っているんですが、番号順でないとついうっかり忘れられてしまうのは、第2番という作品は実はベートーヴェンの作品の中でもエポックメイキングな作品であるということです。なぜならば、交響曲スケルツォを採用した最初の作品だからです。ですので、第1番と違い、ハイドンモーツァルトと言った先人たちの影響は第2楽章にわずかに感じられるだけで、もやは時代がすっかり変わったのだということを私たちにはっきりとどんな演奏でも教えてくれます(たとえピリオドであっても)。

その点がどうしても薄くなってしまうのがマイナス点でしょうか。

最後のエグモントは、端正という言葉がまさしくぴったり合う演奏です。気品の中に気高さをもち、豊潤でかつ色彩があるその演奏は、ベートーヴェンは重々しいという人にぜひ聴いてほしい演奏です。そう、クリュイタンスはわずか2つで、私たちが持つベートーヴェン像というものを完膚なきまでに破壊してくれています。

ベートーヴェン室内楽は聴きましたか?それは重々しいですか?と、私はクリュイタンスに突きつけられている、そんな気がします。



聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第2番ニ長調作品36
交響曲第4番変ロ長調作品60
「エグモント」序曲作品84
アンドレ・クリュイタンス指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団



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