神奈川県立図書館所蔵CDハイドン交響曲全集の今回は第23回目。第73番「狩」から第75番までが収録されています。
今回も以下のサイトを参照しています。
ハイドンの交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn
この3曲は時期は前後しますが、ほぼ1780年前後に作曲されています。順番から言いますと、実は後ろからだんだん新しくなるという作曲順なのですが(1779年、80年、81年)^^;
さて、まず第73番「狩」です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-73
「狩」という題名は、第4楽章からとられています。La Chasseと書かれた指示はまさしく「狩」でありますし、その第4楽章は実は彼の歌劇「報いられた誠意」第3幕の序曲が原曲なのですが、それが狩猟の場面を表わしたものなのです。
交響曲第73番 (ハイドン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC73%E7%95%AA_(%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3)
実はウィキで解説がありますが、この曲はいわゆるつぎはぎの交響曲です。それでもその気品を湛える音楽は、聴く者を捉えて離しません。
こういったアレンジ能力の高さは目を見張るものがあります。全体として全く遜色がありません。こういった素材が、モーツァルトやベートーヴェンへとつけつがれていったような気がします。その頂点として第九がある・・・・・
第九もある意味、つぎはぎですから。でも、そのエネルギーと精神性の高さは、比べようがありません。それがもしハイドンから受け継がれたものだとすれば、あまりにもハイドンは軽視されすぎです。
そういえば、この第73番が作曲されたこの年には、モーツァルトとリアルでの出会いがあったとされています。この曲からはまだその影響はあまり見られませんが、以後ハイドンはモーツァルトと相互に影響を与え合うことになります。
次に第74番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-74
長音と八分音符の使い方が絶妙です。さらに気品を湛えるその音楽は、もう初期のハイドンにあったような軽妙さではなく、軽快さとなって、爽快感すらあります。純粋に音楽が楽しめる作品です。
確かにモーツァルトのような、通奏低音とメロディの絶妙なバランスと言ったものは少ないのですが、あえてそういった作品を実験的に生み出していったと考えることもできます。実際全くないわけではないのですから。だからこそこの時期は実験という名がついていると思います。その点こそ、ハイドンが「前衛」と呼ばれる所以でしょう。
最後に第75番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-75
この曲も長音と八分音符のバランスが絶妙で、気品あふれる作品となっています。この時代多くの作曲家がいた中で、なぜモーツァルトやベートーヴェンがハイドンだったのか、その一端が見えてくるように思います。ハイドンの音楽は決してふざけていないんです。おちゃらけも生真面目にやりますし、そういったハイドンの作曲姿勢とそれが表に出ている音楽が、彼らをしてハイドンに目を向けさせたように思います。
少なくともこの3曲には全くふざけた点がありませんし、堂々たる雰囲気すらあります。
この演奏は、そんなハイドンの音楽を思う存分楽しんでいる音楽家の姿がそこかしこにあふれています。生真面目だけれど、お茶目・・・・・そんなハイドンの姿を、正直に伝えてくれている名演のように思います。それはもしかすると、モダン演奏であるが故かもしれません。
聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第73番ニ長調「狩」Hob.I-73
交響曲第74番変ホ長調Hob.I-74
交響曲第75番ニ長調Hob.I-75
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリカ
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