かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン交響曲全集5

県立図書館所蔵CDコーナーハイドン交響曲全集の今回は第5回目です。第17番から第20番までをとりあげます。

この4つはいずれもモルツィン伯爵家時代に作曲されているのですが、形式的にはソナタ形式がほとんどであることに驚かされます。

今回も以下のサイトを参照しています。

ハイドン交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn

まず第17番ですが、1761年から62年にかけて作曲されたもので、実際には第11番目の交響曲です。フランス風の3楽章で、楽章もそれに完全に準拠したものとなっています。それでいてソナタ形式を採用と、形式と構造的には見かけ上と実際が異なるのが特徴です。

全体的に落ち着いていますが、それゆえ2管編成の金管(ホルン)と木管オーボエ)がとても目立ち、アクセントとなっています。

次の第18番は1757年から59年にかけて作曲されたもので、つまり第17番より古いものなのです。実際の順番としては4番目の交響曲で、これも3楽章となっています。

一番の特徴は、楽章の順番が緩〜急〜緩となっている点で、通常の3楽章の交響曲とは違っています。ただ、本来急〜緩〜急を入れ替えて通常の逆をやったと考えればなんてことはないわけです。それは最終楽章の最後の終わり方がファンファーレになっている点からもわかります。しかしどう聞きましても第2楽章が第1楽章のように聞けてしまい、どこがどうだかわからなくなります。しかしそれこそハイドンの目的だとしたら・・・・・そんな作品をわずか4番目の交響曲でやってしまうハイドンの茶目っ気と言いますか、実力と言いますか・・・・・ハイドン、恐るべしですね。どこに「びっくり箱」が隠れているかわかりません。音楽的にも実はとても落ち着いていまして、浮いたところがありません。フィルハーモニア・フンガリカのアンサンブルもさえわたっています。

3曲目の第19番は実際は第17番の次の交響曲(つまり、第12番目の交響曲)で、1760年から61年にかけて作曲されました。これも3楽章の曲で、第17番同様、いたって真面目な曲となっています。軽快でかつ気品があり、それゆえ爽快です。フィルハーモニア・フンガリカはドラティの指示なのでしょうか、あまりリットしません。こういった点はとても好感が持てます。古典派の時代はリットはフェルマータがついているときだけなので、とにかくテンポを保ったまま終わるのはまるで当時の演奏を聴いているような錯覚になります。それこそ、聴き手にとっては古典派というその「時代」を理解するのにとても役立つのです。リットが終了で普通に行われるようになるのは蒸気機関車が発明され、営業運転を開始した後なのです。こういった交通の歴史と実は音楽は密接に絡んでいまして、そういった点から音楽をかたるとまた面白いかと思います。いずれそういった観点から特集を組んでみましょう。

4番目の第20番はこの第5集では唯一の4楽章の交響曲で、1758年から60年にかけて作曲されました。そう、これもかなり初期の作品で、実際の順番は第8番目と一桁なんですね。その割には4楽章あるというのも興味深い点です。各楽章も通常の4楽章のものとなっていますし、特になんというわけでもない点が特徴です。わずか8曲目ですよ・・・・・いや、モーツァルトのほうが順番的には早いのではないかという意見もあるかもしれませんが、しかしモーツァルトにはすでにこのハイドンという4楽章の大先輩がいたのです。しかしハイドンの時代は必ずしもそうではないわけで、カール・シュターミッツらとむしろ4楽章の交響曲を切り開いていったと考えられるわけです。であれば、モーツァルトが4楽章の交響曲を書くのはむしろ自然ですし、特段驚くこともないということが浮かび上がります。彼が素晴らしいのは作曲年齢であって、どらくらい早い時期で4楽章を書いたかでは決してありません。この点は、同じようで実は同じではないので、注意が必要です。

最終楽章は三部形式である上にソナタ形式を内包するという手の込んだことをやっていながら、音楽は流麗です。ホルンの響きも美しく、高度なまとまりで私たちを楽しませてくれます。

少なくともこの4曲は時代の境目を感じる作品たちですが、しかし中途半端ではないのですね。こんなところにも、なぜいち早くモーツァルトを評価できたのかが垣間見えるような気がします。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第17番ヘ長調Hob.I-17
交響曲第18番ト長調Hob.I-18
交響曲第19番ニ長調Hob.I-19
交響曲第20番ハ長調Hob.I-20
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリ



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