かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン交響曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーは、今回からしばらくハイドン交響曲のシリーズとなります。アンタル・ドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカの演奏のあの名盤の登場です!

今ではハイドン交響曲の全曲演奏と言えば、モダンではこのほかにナクソスがありますし、ピリオドでは3つくらい出ていますが、まずはやっぱりモダンから入りたいなと思い、ドラティのものを借りてきたということになります。

というより、図書館には全曲そろっているのはこのドラティのものしかなかったのです。さすがにほかのもとなりますと予算、大変ですものね・・・・・

え、いったい何巻あるの、って?はい、35巻あります(爆)

本当です。それだけ、ハイドン交響曲を書いているということになります。まあ、この数のせいでハイドンは軽薄と言われているのだろうなと私は思っています。しかしです、これが聴きますと珠玉の数々・・・・・

まずは、第1巻をご紹介します。この全集は番号順で収録されていますから、まず第1番から第5番までが収録されています。

各曲の説明で一番適当なのは、このサイトだと思います(必ずしも詳しくはないですが)

ハイドン交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn

基本的にまずその説明をあげてから、ほかのサイトや私自身の見解を述べたいと思います。

まず第1番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-1

これがモーツァルトの第1番と比べますとダントツにいいのですよ!クレッシェンドで始まる開始は確かに珍しいですがそれゆえに気品がありますし、堂々としています。全体でわずか15分程度の曲ですが、それでもモーツァルトの1楽章のものに較べれば長く、この第1番を聴くだけでもハイドンは軽薄なんて言葉は吹っ飛びます。

次に第2番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-2

実はこの間に第37番が来ます。そう、番号順は時系列を表わすものではないんですね。モーツァルト以上にそれはバラバラですので、少なくともこの「番号順」という演奏がいいのかどうかは判断が分かれるところだろうと思います。しかし、そんなこともこれも「リッピング」して外付けHDに入れているからこそ、それを乗り越えることも可能であるわけですね。しかし今回はそれはやりません。あまりにもそのヴォリュームが多すぎます!

この第2番では対位法的な手法も使われていて、バロック的かと思いきや、かなり古典派しています。これも弦楽四重奏曲を書き始めた時期と軌を一にするわけなのですから、ハイドンの才能を日本では過小評価していないかと思わざるを得ません。開始の付点のユニゾンがとても印象的です!

ここまでは3楽章形式です。

その次が第3番。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-3

これは収録されている曲の中では一番遅い1761年の作曲で、順番的にも参照しているサイトによれば16番目の交響曲となります。楽章数は4楽章となり、ここでいきなり4楽章が出てきます。ハイドン交響曲はこの3楽章の曲が「いつ消えたか」に注目です。その点がモーツァルトと決定的に違う点なのですから。私もこのシリーズではやはりそこにこだわりたいと思います。

第1楽章はサイトの表現通り、動き回るリズムとゆったりと歌うような旋律という対比の構造がはっきりと見て取れます。まさしく名曲の条件を兼ね備えています。これはあくまでもこの全集の演奏ですが、第1楽章は疾走感と安定感が同居するという素晴らしい構造で、それがとても印象的です。4楽章も急〜緩〜舞〜急とすでに形式的なものがしっかりとされていて、これが本当に初期の作品なのか?と思わずにはいられません。モーツァルトが素晴らしくもプリミティヴな面を初期作品には有しているのとはまったく異なります(もちろんそれは年齢の違いもありますが)。

4曲目は第4番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-4

ここで楽章数は再び3楽章に戻りますが、しかしこの第4番は第3番よりも前の作品(1757年から60年ごろ)で、順番も第5番目であるということを考えますと、それも当然の帰結なのかなと思います。もし、ハイドンもなかなか4楽章の交響曲を「書かせてもらえなかった」のだとすれば、それは当然の話であるということになりますから。ただ、ハイドンに関してはいくつか節が成り立つので、私もモーツァルトほど安易にそうだとは言いません。ただそれも、楽章数の変遷を見ていきますと、見えてくるものもあるのではないかと思います。

しっかりとしたソナタ形式から繰り出させるリズムよい音楽は、清新さすら有し、私たちに元気を与えてくれます。緩徐楽章ではゆったりとした気品ある音楽となり、舞曲でもそれは引き続きます。

最後は第5番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-5

実際には第9番目の交響曲で、これは4楽章あります。ただ面白い点は第1楽章は緩徐楽章で、通常の交響曲の構造とは違う点です。教会ソナタに由来するとサイトでは書かれていますがその由来も当該サイトでは否定されています。ただ、後年ハイドンは前衛作曲家になることを考えますと、ここですでにその片鱗を見せていると言えるのかもしれません。第1楽章は第2楽章に並んで長い楽章で、前奏とまでは言い難いものです。これがみじかければ第1楽章が前奏とみなして事実上の3楽章としてもいいと思いますが、そういう形ではありません。むしろ、通常の急楽章と緩徐楽章をひっくり返したというべきでしょう。ただ、それが事実上の前奏部として機能している感もありますが、しかしそこから導き出されるのはやはり人々を驚かせたいというハイドンの野心ではなかったかと思います。そのほかは当時の慣習に従った構成ですし、音楽的に何か仕掛けがあるというわけでもありません。むしろ音楽自体はとてもシンプルながら気品があるものに仕上がっています。

全体的には3楽章の曲はかなり短い曲で、モーツァルトの1楽章、つまり何かしらのオペラの序曲に転用された作品に近い構造と音楽性をもちます。4楽章の曲は比較的長い演奏時間となっていまして、やはりこの時代の交響曲というものの「役割」というものにも目を向ける必要がありそうです。

それにしても、モダンとはいえ軽めの演奏がとても気持ちのいいものになっています。この点からも、とても聴きやすいものになっているのではないでしょうか。いまだに全く色あせないでしょう。もちろん、ピリオドも素晴らしいですが・・・・・



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第1番ニ長調Hob.I-1
交響曲第2番ハ長調Hob.I-2
交響曲第3番ト長調Hob.I-3
交響曲第4番ニ長調Hob.I-4
交響曲第5番イ長調Hob.I-5
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリ



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