今月のお買いもの、3枚目はレオポルト・モーツァルトの作品を集めたナクソスのアルバムです。
まず、レオポルト・モーツァルトについて言及しておきましょう。彼はまさしく、ヴォルフガングの父で、ザルツブルク宮廷の音楽家でした。
レオポルト・モーツァルト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88
彼は作曲者でもありました。さて、以前県立図書館のコーナーでヴォオルフガングの旧ランバッハをとりあげたと思いますが、その時に新ランバッハにも言及したと思います。なぜなら、新旧どちらも収録されていたからです。今回それをきっかけとして、買い求めました。
さて、聴いてみますと、ウィキにも書いてある通り、ある意味凡庸な音楽です。しかしながら、楽しいもので貫かれています。モーツァルトはそんな父の背中を見て育ったのでしょうね。だからこそ、父を超えようとしたのだと思います。確かに才能から言えばヴォルフガングでしょうが、彼からすれば「実績は父が上」という意識は十分あったことでしょう。
まず、1曲目のシンフォニアト長調ですが、これもソナタ形式が備わりながら、むしろ大バッハの息子達の音楽を彷彿とさせます。このことから言いましても、いかにハイドンが偉大かが分かりますし、だからこそ息子ヴォルフガングはハイドンに師事したということが言えるかと思います。注目すべきは実はこのシンフォニアは4楽章で、シンフォニアと訳すよりは交響曲といったほうが適当でしょう。各楽章構成もまさしく交響曲です。
2曲目はおもちゃの交響曲として有名な「ベルヒテス・ガーデンの音楽」。楽章形式としては3楽章のシンフォニアです。以前はレオポルトの作曲とされていましたが、今ではオーストリア、チロル地方出身の作曲家でベネディクト会の神父エトムント・アンゲラーが1770年ころ作曲したものとされています。がしかし、このナクソスの英語解説には一切その名が出てこないんですよね〜、アンゲラー。つまり疑義をさしはさんでいるということになろうかと思います。私としてもなかなかどちらがどうだとは言い切れないなと思います。史料からすればアンゲラーなのかもしれませんが、それにしては1曲目のシンフォニアよりはかなり個性的で洗練されている点も備わっているんですね。そのくせ土着的なものも第3楽章であるので、なかなかその真偽を判断するのは難しいでしょう。今伝わっているのはレオポルトの「編曲」で、もともとアンゲラーが作曲したものは構造が違うという可能性もあるかと思います。もう少し科学的な研究を待ちたいと思います。
おもちゃの交響曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%A1%E3%82%83%E3%81%AE%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2
第3曲目は再びシンフォニアとなりまして、調性はニ長調。続く4曲目もシンフォニアで調性はイ長調。ともに3楽章形式のまさしくシンフォニアです。どれもシンフォニアらしく急〜緩〜急でまとめられておりまして、音楽的にも大バッハの息子達の影響下にあると判断できます。しかし面白いのは、次に来るのが新ランバッハでして、これが4楽章形式。しかも楽章構成からも堂々たる交響曲でして、なおかつ長い。この点はレオポルトを語る場合、重要だと思っています。それは息子ヴォルフガングもそうだったが、ハイドンはある時期からは4楽章形式しか書いていないということを考慮する必要があるかと思います。以前ロゼッティをとりあげたと思いますが、その時に収録されていたのはすべて4楽章で、私がつたない英語力で解説を読んだ範囲内でも、ロゼッティが書いた交響曲は6つありますがそのすべてが4楽章形式だと記載されていたように思います。その点から見えてくるものはたくさんあるように思います。
つまり、作品が少ないからと言って、さらに息子ヴォルフガングと比べて凡庸だからと言って、彼の音楽を粗末にあつかっていいものだろうかということなのです。彼の才能は多くの人が知っている通り息子ヴォルフガングを育て上げ、プロモートしたことですが、わたしも知らなかったのですが彼はヴァイオリンの教則本も書いているのですね。となると、彼の音楽を単に凡庸だからと言って切り捨てていいはずはないと思います。
もう一つ、ロゼッティが収録されているものとおなじシリーズがあるのですが、そちらも買う必要ありだなと思いました。
聴いているCD
レオポルト・モーツァルト作曲
シンフォニアト長調 Eisen G8
ベルヒテスガーデンの音楽「おもちゃの交響曲」
シンフォニアニ長調 Eisen D15
シンフォニアイ長調 Eisen A1
シンフォニアト長調「新ランバッハ」
ケヴィン・マロン指揮
トロント室内管弦楽団
(Naxos 8.570499)
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