かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン弦楽四重奏曲全集15

神奈川県立図書館所蔵CDハイドン弦四全集の第15集、収録曲は第61番から第63番、つまり第二トスト四重奏曲第2番・第3番と第三トスト四重奏曲第1番ということになります。

まず、第61番ですが、特に注目は第1楽章です。主題提示部と再現部ともにいったん終止する部分があるんですね。おや、どうしたのかな?と思うと再び始まるという、「びっくり箱」が仕掛けられています。

このようなにやりとするような内容はハイドンでは結構あります。しかもそれがいろんな形で現れるのが面白いのです。それはまた交響曲を語るときに出てくるでしょう。さて、どれで出るかは、お楽しみです。

それから考えますと、これこそサロンでアカデミックなものを気軽に楽しむという、音楽の原点のような曲だと言えるでしょう。この曲からは、何か楽しい集いが想像できます。

次の第62番は、長調なのに憂いも湛える曲です。音楽自体も軽妙さに加え、気品を漂わせています。それからも、バカ騒ぎのようなものはみじんも感じられません。むしろ、人々が真剣に、でもそれを楽しむというごく普通の「音楽を楽しむこと」が見えてきます。

考えてみれば、ハイドンが作曲をした時代というのはとても時代が動いていたわけで、とくにフランス革命は影を落としているでしょう。自分たちの社会が根底から覆るかもしれない・・・・・そのような不安の中、前向きに生きようとこのような曲が好まれたのも無理もないでしょう。しかし、ハイドンは決してその欲求にお茶らけた音楽で答えたのではなかったのです。もっと気品に満ちた音楽で答えたのです。

この第1、第2トスト四重奏曲はすべてそのような音楽で彩られています。緩徐楽章も歌われていますし、魅力的な音楽ばかりです。

さて、続く第三トスト四重奏曲ですが、第一と第二からほぼ2年後の1790年に完成しています。今度は6曲ひとまとまりになっています。いずれにしましても、3の倍数で彩られている点が私は気になります。それが示すもの・・・・・とても聖なるものを感じるのは私だけなのでしょうか。

その第1番である第63番は、これも軽妙かつ気品と、さらに気高さまで備えています。第1楽章のまるでファンファーレのような開始は、今までと世界が違うような感覚さえ私たちに与えてくれます。

緩徐楽章は一転、コミカルな音楽。しかしそれでも気品さを失っていません。メヌエットも、つづく第4楽章も、まったくもって気品を気高さを持っています。それでいて軽妙さも兼ね備える・・・・・初演に立ち会いたかったなあって思いますね〜。とてもアカデミックで楽しい曲です。

これだけアカデミックでありながら、軽妙さを忘れない・・・・・ハイドンの人徳なのかもしれません。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
第2トスト四重奏曲作品55 第2集
第3トスト四重奏曲作品64 第1集
弦楽四重奏曲第61番ヘ短調作品55-2「剃刀」Hob.III.61(第2トスト四重奏曲第2番)
弦楽四重奏曲第62番変ロ長調作品55-3 Hob.III.62(第2トスト四重奏曲第3番)
弦楽四重奏曲第63番ハ長調作品64-1 Hob.III.65(第3トスト四重奏曲第1番)
エオリアン弦楽四重奏団



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