かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン弦楽四重奏曲全集14

県立図書館所蔵CDハイドン弦四全集の今回は第14回、第14集を取り上げます。収録は第一トスト四重奏曲第2番である第58番から第二トスト四重奏曲第1番である第60番までの3曲です。

ここは前回触れました通り、3曲でひとまとまりとなっているのです。ですので、今までであれば第4番までとなるところなのに、最後は第二トスト四重奏曲へと移っているわけなんですね。

ただ、第一も第二も、同じ年に作曲されているのです。本来は6曲ひとまとまりでいいわけなのですが、その理由としては前回キリスト教の三位一体の考え方が影響していると考えました。それはまだ自分自身の中では証明できていません。

事実としては、第三まで含め、「トスト四重奏曲」は3曲ひとまとめである、ということです。

さて、この「トスト」というのは当時実力のあったヴァイオリニストで、その方が演奏したためこういわれますが、聴いていますとそれほどヴィルトォーソを感じません。ただ、多少曽それまでの作品と比べますと音形がバラエティに富んでいまして、その分当時としては難しかったのかもしれません。

とはいうものの、3曲ともそれほど難しいものを感じることは出来ません。しかしだからと言って、これらの作品がアマチュア向けであると思ったら大間違いです。

よくある意見で、ハイドンの時代まではアマチュアが演奏したというのがありますが、確かに本格的なプロとは言えないでしょう。しかしこの時代のアマチュアは、現代のアマチュアとはけた違いの実力を持っていたといわれています。私が図書館から借りてきたCDのブックレットを書き写すということを初めてほぼ半年程度たちますが、そこで印象に残っているのは、BCJにも参加している鈴木秀美氏が書いたものです。それこそ、実はハイドンのチェロ協奏曲のピリオド演奏のものだったのですが、彼は当時の演奏家たちのことを調べ上げたうえで、演奏に臨んでいます。その結果から導き出されたのは、

・当時と今とでは演奏の方法が違うこと
・少ない人数で演奏し、かつその演奏家たちはほとんど作曲もしたことから、実は高い演奏技術を持っていること
(チェロ協奏曲のブックレットから私である筆者がまとめたもの)

から、実は古典派、特にハイドンの時代はとても現代の私たちにとっては難しいものなのだということを説いておられます。アマチュアと言っても、実は現代の基準から言えばプロなのだともおっしゃられています。

つまり、ハイドンの音楽は私たちが想像するほど簡単なものではない、ということなのです。それを前提で、ハイドンの軽重を論じるべきだと私は思います。それを考えさせてくれるのが、この「トスト四重奏曲」が作曲されたあたりからの作品になります。

確かに、エオリアンの演奏もこのあたりから変化を見せていまして、聴いていても弓の当て方が違うのが分かります。軽さと重さのバランスを良く考えたそのタッチは、自由自在です。まったく単純ではありません。一見しますと単純に見えますが、決してそうではありません。とくに緩徐楽章は歌わせてもいます。

それだけに、常に言及していますが、アルバン・ベルクかそれに相当するような団体に演奏してほしいですし、またそんなライヴや録音を聴きたいものです。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
第1トスト四重奏曲作品54 第2集
第2トスト四重奏曲作品55 第1集
弦楽四重奏曲第58番ハ長調作品54-2 Hob.III.57(第1トスト四重奏曲第2番)
弦楽四重奏曲第59番ホ長調作品54-3 Hob.III.59(第1トスト四重奏曲第3番)
弦楽四重奏曲第60番イ長調作品55-1 Hob.III.60(第2トスト四重奏曲第1番)
エオリアン弦楽四重奏団



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