かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

県立図書館所蔵CD:ハイドン弦楽四重奏曲全集13

県立図書館のハイドン弦楽四重奏曲全集の今回は第13回目、第13集です。収録曲は「プロシア四重奏曲」第5番と第6番、そして「第1トスト四重奏曲」の第1番である、第48番、第49番、第57番です。

飛んでいますです、はい。実は、この間にある弦楽四重奏曲が入るのですが、それは後程・・・・・唯一番号順になっていない部分です。

とはいうものの、それほど時間をおかず完成されていますし、何よりもこの二つの間に入るのはもともと弦楽四重奏曲だったわけではない「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」なのですから、飛ばしていても当然だと思います。

さて、まず第48番ですが、「夢」という表題が付いています。第2楽章がそんな雰囲気であり、楽譜に「Ein Traum(夢)」と書かれてあることからそう呼ばれていますが、ポピュラーな呼び方ではありません。しかし、前回取り上げた第47番を思い出してみてくださいませ。嬰ハ短調という調性、そして第1楽章の荘重さ、最終楽章にフーガを使っている点など、かなり重々しい曲でもあります。その雰囲気をここで一掃するという役割を果たしていると考えれば、夢見心地の楽章を使うというのはそれほど不自然ではないように思います。全体的にも甘美な旋律が支配しますし、かといってそれが甘すぎない点もニクイですね〜。きちんと気品さ、気高さも存在します。

第49番は冒頭から気品さが完全に支配する音楽です。それまでの単なる軽妙さとは一線を画する音楽です。それでいて歌う旋律も用意されています。まるでモーツァルトのようです。これだけの音楽を書くことが出来たからこそ、彼はモーツァルトの才能をいち早く見抜き、評価したのではないでしょうか。そして、彼が追い抜いて行くのをただ黙って見てもいない・・・・・けれど、自分の限界もちゃんと心得ているという、晩年の作品を彷彿とさせます。

ハイドンは「スーパー前向きな」作曲家だったと思います。お抱えという立場でも自分を卑下せず努力を続け、エステルハージ家から解雇された後、イギリスにわたってもきちんと結果をたたき出す。こんな作曲家は実はそれ以降そうはいません。せいぜいモーツァルトくらいなのです。それを考えますと、ハイドンの評価がなぜ日本で低いのかが大体想像つきますが・・・・・それは詳しくは述べないことにしましょう。このブログの趣旨から外れてしまいます。

ここまでの「プロシア四重奏曲」は実はスケルツォではなく再びメヌエットを使っています。となるとスケルツォは実験だったのかという感じもします。となると、ハイドン弦楽四重奏曲はかなりアカデミックな場所での演奏を前提としていると考えざるを得ません。決して軽薄な場所での演奏を前提としていないように思うのです。その点からも、なぜにハイドンの評価が低いのかを考えますと、現代日本のいろんな問題点が浮かび上がってきます。そこを考えても面白いとは思いますが、ここでは割愛します。皆様で考えてみてくださいませ。

次の「第一トスト四重奏曲」は実は3曲ひとまとまりになっていますが、「第二トスト四重奏曲」もそうなのです。なぜにここで3曲?と思ってしまいます。しかし、もしハイドンの弦四がアカデミックなサロンでの演奏を前提としているのであれば、こういう想像ができます。

それは、キリスト教の「三位一体」の精神から来ている・・・・・

しかし、音楽では基本的にさけるものとされていたはずです。たとえば、第九の第4楽章。合唱が入る直前の歓喜の調べが導入される部分は、その主題が4回目でクライマックスになるようになっています。なぜならば、「完全」という意味の「3」という数字を避けたいからなんですね。ところが、考えてみますとハイドンはかなり初期から3つで来ています。6は3の倍数ですよね?そう考えれば実はとても自然であるということになります。

もともと、バロックの合奏協奏曲も12曲ひとまとまりですし、この時代を単に古くさい時代ととらえるのではなく、やはり新しい時代を切り開こうという気風が底流にあるということを私たちは理解する必要があるように思います。バスティーユ襲撃が1789年で、実は第一トスト四重奏曲が出版された年(作曲の翌年)であるという時代背景を考える必要があるように思うのです。

ハイドンはそんな時代の狭間で生きていたということだけは、理解しておく必要があるように思うのです。もしかすると、エオリアンはそんな意識をもった上で、リスペクトしているがため、豊かな表現で真正面から取り組むことが出来るのかもしれません。

実際、第57番はとても気品ある、気高い曲です。




聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
プロシア四重奏曲作品50 第3集
弦楽四重奏曲第48番ヘ長調作品50-5 Hob.III.48「夢」(プロシア四重奏曲第5番)
弦楽四重奏曲第49番ニ長調作品50-6 Hob.III.49「蛙」(プロシア四重奏曲第6番)
第1トスト四重奏曲作品54 第1集
弦楽四重奏曲第57番ト長調作品54-1 Hob.III.58 (第1トスト四重奏曲第1番)
エオリアン弦楽四重奏団



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