かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヴィヴァルディ リコーダー協奏曲集

今月のお買いもの、今月の最後はヴィヴァルディのリコーダー協奏曲集です。ブリリアント・クラシックスの一枚ですので、輸入盤の廉価盤ということになろうかと思います。

リコーダーといいますと、ほとんどの方が小学校高学年から中学校にかけて音楽の授業で演奏した経験があると思います。そのリコーダーがなんとオーケストラと一緒に演奏しているなんて考えただけでも、わくわくしてきませんか?この一枚はそのリコーダーを通して、楽器の歴史を感じることが出来るCDです。

まず、リコーダー協奏曲ハ長調RV444です。これはソプラニーノ・リコーダー用となっており、ソプラノのもう一つ上の音域の楽器になります。きんきんしながらも温かみのあるその音はやはりリコーダーだなあと思います。現代ではピッコロで演奏されることのほうが多いようですが、楽譜上はリコーダーです。きちんとした急〜緩〜急の形式を備えた堂々たる協奏曲で、その中で私たちも演奏経験があるリコーダーが鳴っているのを聴きますと、美しい音色の中に不思議な感覚を受けます。なんと懐かしい音色だろう・・・・・

それは次のリコーダー協奏曲ト長調RV439「夜」で顕著になります。この曲はアルトリコーダーのための協奏曲なのです。もともとはフルート協奏曲で、当時はフルートとリコーダーはほぼ同じ楽器であったことから、どちらでも演奏可能になっているようです。4楽章あるのが特徴で、実際には第1楽章は第2楽章の序奏の役割を果たしていることから、ほぼ伝統的な3楽章形式と考えていいと思います。アルトリコーダーですともっと落ち着いた音になっていまして、温かみはもっと深まり、私たちが聞きなれている音がそこに存在していることから、もっと奇異に感じてしまいます。

そう、慣れているからこそ、奇異に感じるのです。それは裏を返せば当然、感嘆するばかりであるということなのですが、私たちにも出せそうでしかし出せない・・・・・そこが素晴らしいのです。

3曲目もアルトリコーダー用の協奏曲ヘ長調RV98「海の嵐」です。これももともとはフルート協奏曲でして、その異版ということになっています。ごく普通の3楽章形式ですが、アルトリコーダーですとフルートの音域そのままというわけにはいかないのではと思うのですが・・・・・異版ということは、単なる移調ではないですから、これまた聴き比べられると面白いかもしれません。

4曲目はアルト・リコーダーとオーボエのための協奏曲ト短調RV105です。3曲目もそうなのですが、カテゴリーとしては「室内協奏曲」になるわけなんですが(http://www.interq.or.jp/classic/classic/data/perusal/saku/Vivaldi.html)、しかしその二つの楽器どちらも温かい音色をもち、アンサンブルしているのはとても清廉な印象を受けます。これも普通の3楽章形式です。

5曲目はアルト・リコーダーのための協奏曲ヘ長調RV442です。これは「フルート協奏曲 ヘ長調 RV.434 作品10-5」の原曲でして、当時リコーダーとフルートがそれほどの違いがなかったという証左でもあります。実際、当時の「フラウト・トラヴェルソ」は「横向きフルート」という意味を持ち、普通のフルートがリコーダーの意味だったのです。詳しくはウィキペディア「リコーダー」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BCを参照ください。そう、私たちは実は小学校から中学校にかけてバロック時代の「フルート」を義務教育で吹いていたのです!

だからこそ、フルート協奏曲の原曲だとか異版とかのものが演奏されているというわけです。あれ、どこかでこんなもの扱っていませんでした?という、ア・ナ・タ。はい、わたしがエントリ上げております。

今月のお買い物:C.P.Eバッハ フルート&オーボエ協奏曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/386

ほぼ同じような楽器を買っていることに私自身がびっくりします。それを意識して今回買ってきたわけではないのですが、恐らく本能がそれを覚えていて、命令したのでしょうね。最後の最後でこれに決めたのですから。この時はもう一方は弦楽器でしたが、今回はすべてがフルートです。

6曲目はアルト・リコーダーのための協奏曲ハ短調RV441です。この曲集を見てますとほとんどがアルト・リコーダーなのですね。調べてみますと、実はバロック期でリコーダーと言えば、アルトのことを指すそうで、そういえばこのアルト・リコーダーの音色はフラウト・トラヴェルソそっくりです。そう考えると、なぜフルート協奏曲がこのCDではアルト・リコーダーで演奏されているかが容易に想像できると思います。短調のその音色はますます自分でも演奏できると勘違いしてしまいそうです・・・・・

7曲目は1曲目同様ソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲ハ長調RV443です。RV444は最初訊きますときんきんしますが、このRV443では全く感じず、リコーダーの暖かくしかしさわやかな音色が目立っています。それはおそらくソプラニーノ・リコーダーという楽器がなせる業なのでしょう。ソプラノ・リコーダーで私たちは十分同じような音色を聴いていますが、しかしそれとも違う、木管金管の間のような音色は、聴いていてとても癒されます。

このCDではオケはピリオドなのですが、そのせいかリコーダーとよく溶け合っています。これがモダンだとどうなのでしょうか?一度それを聴いてみたい気がします。モダンだとフルート協奏曲でもあるものはやはりフルートでないとダメなのか、それともリコーダーでもいけるのか。わくわくしますね。アンサンブルはいいほうなのではないでしょうか。というのは、最初RV444の第1楽章でごちゃごちゃする部分が見受けられるからです。しかしそれも慣れてしまえばどうってことはありません。批判するほどのことではないように思います。リコーダーもタンギングすることを考えれば、若干ごちゃごちゃ気味になるのは仕方ありませんし、それをわたしたちアマチュアがどうのこうのとは言えないでしょう。演奏しているから気になりますが同様に演奏しているからその大変さが分かるのですから。

是非モダンの演奏も聴きたいと思いますし、同様にピリオドでいわゆるバロック時代の「フルート協奏曲」をリコーダーで演奏したらどうなるのか?というCDも聴いてみたい気がしますね。そんなものがあったら、そしてそれがブリリアント・クラシックスだったら、まず間違いなく飛びついてしまうでしょう。



聴いているCD
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
リコーダー協奏曲集
ソプラニーノ・リコーダー協奏曲ハ長調RV444
アルト・リコーダー協奏曲ト長調RV439「夜」
アルト・リコーダー協奏曲ヘ長調RV98「海の嵐」
アルト・リコーダーとオーボエのための協奏曲ト長調RV105
アルト・リコーダー協奏曲ヘ長調RV442
アルト・リコーダー協奏曲ハ短調RV441
ソプラニーノ・リコーダー協奏曲ハ長調RV443
エリック・ボスグラーフ(リコーダー)
コルデヴェント
(ブリリアント・クラシックス 93804)



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