かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト交響曲全集11

今回の県立図書館所蔵CDは、マリナー/アカデミーの交響曲全集(実際には後期交響曲集)の第11集です。第36番「リンツ」、K.405、第37番だったK.444、そして第38番「プラハ」です。

まずリンツですが、これがまたマリナーは堂々とはじめてくれますね!素晴らしいです。それゆえに、この時期からモーツァルト交響曲がようやくハイドンですら乗り越えるのに苦労するくらいの気品と気高さを湛えるようになったのがよくわかります。それでいて軽妙さも持ち合わせ、ようやくモーツァルトらしい自我を開放出来てきたように思います。

作曲は1783年にリンツで行われています。ウィーンへでて一度だけザルツブルクへ里帰りした(コンスタンツェと結婚したためです)その帰り、リンツで作曲したのがこの曲ですが、もうザルツブルクの時代とは変化して、大人といいますか、とても落ち着いた、しかし華のある音楽を書いています。なおかつ、4楽章。それはもしかするとリンツという場所が関係しているのかもしれませんが・・・・・

ハイドンの影響を受けていると言われますが、私は以前から申し上げておりますが、モーツァルトはずっと4楽章の曲を書きたくてうずうずしていたと思いますし、当然ハイドンにリスペクトしていると思っています。しかし世間がそれを許さない・・・・・しかし、ウィーンという先進地域でさらに進んだ技法を身に着けてしまったモーツァルトは、ウィーンの「世間」から離れたリンツで、時間がない中(わずか数日で)完成させているのです。

この「時間のない中」というのは彼の才能でもあります(仕事が早い)、さらに言えば私としては当然いつ4楽章の堂々たる交響曲の委嘱が来てもいいように準備をしていたからこそだと思います。それは今まで語ってきたテクストから言って、私は正しいだろうと思っています。

次のK.409は以前は交響曲の一部として作曲されたであろうといわれていた作品ですが、今では全く独立した用途のために作曲されたと考えられています。確かにこの曲に合うような曲は残されている限りでは見当たりません(この音源では抜け落ちているフリーメイソンの音楽を聴きましても、です)。となると、事典で述べられている通り、やはり演奏会用独立メヌエットと考えるほうが自然であろうと思います。当時演奏会用メヌエットは結構需要があったといいますし、それにアジャストする能力の高い彼であれば、作曲していないほうがむしろおかしいと私は考えます(結婚して家族を養っていかなくてはいけないわけですから!)。

さて、K.444ですが、確かに何かの導入部です。それは間違いありません。しかし、なぜ続く部分がミヒャエル・ハイドンの作品なのかは謎です。しかし、彼がM.ハイドン(有名なハイドンの弟であり、別人です)の交響曲交響曲第25番ト長調 MH334 P16)の冒頭に曲をつけたのは事実です。実はその交響曲、全曲を図書館から借りています。モーツァルトの「第37番」の形で・・・・・今週末にでも、それを取り上げてみましょう!かなり早いのですが、せっかくですから!ご期待ください。それにしても、その導入部は素晴らしいです。そのハイドンも3楽章であるというのもまた面白い点で、ここではそれを触れておくのみにしています。しかし、それを手抜きしないマリナー/アカデミーはなんて素晴らしいのでしょう!

最後の第38番ですが、ここでまた3楽章になってしまうんですね。1783年12月6日にウィーンで完成したこの曲は、堂々たる曲調で気品もあるのにもかかわらずなぜか3楽章。なんで〜って感じなのですが、どうやら「パリ」に関係する曲らしいですね。この曲は「パリ」の別ヴァージョンとする予定だったもの(第3楽章)を再構成したもののようで・・・・・とはいえ、真相は闇の中です。しかし、結婚して経済的に入用が増えたことを想像すれば、そんなことで3楽章にしたという想定はあながち間違ってはいませんが、私はそれでも何か引っかかるものを感じます。音楽がとても彼の個性全開で「突き抜けている」からこそ、何かの序曲としての役割の曲を委嘱されていたため、3楽章になったのではと私は思います。というのは、その時期は「フィガロ」を作曲している時期に当たります。もしかすると・・・・なんて想像したりします。

それにしても、彼の多彩な形式を追ってゆきますと、モーツァルトの人となりまでわかってくるから面白いです。それが分かってきて聴く交響曲は、また違った一面を私たちに見せてくれます。それはもしかするとこれらの曲が持つエネルギーなのかもしれないなと最近思います。モーツァルトが私たちに残したエナジー・・・・・・

それは、私たちへ「僕の音楽は軽く見えるかもしれないけれど、僕はとても苦しいんだよ。だから、君の苦しみ、僕はわかってあげるからね」という彼の強烈なメッセージのように私には思えるのです。



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ
メヌエットハ長調K.409(383f)
ミヒャエル・ハイドンの「交響曲ト長調Preger No.16」への序奏アダージョ・マエストーソK.444(425a)(旧交響曲第37番)
交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ
サー・ネヴィル・マリナー指揮
聖マーティン=イン=ザ=フィールズ教会アカデミー(アカデミー室内管弦楽団



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