かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト交響曲全集7

今回の県立図書館所蔵CDは、モーツァルト交響曲全集の7枚目、実際には後期交響曲集の一枚目となります。マリナー指揮、アカデミー管です。

この後期交響曲集の第一枚目はすべて番号付きとなっていまして、第21番から第25番までになります。番号が未だついているということは、一応すべてモーツァルトの真作ということになります。

ただ、実際には第21番の次に作曲されたのは、前回ご紹介しましたニ長調K.126+161/163、その次が第26番、そして第27番という順番で、実際には作曲順というわけでないのですが、どちらにせよ時期的には近い時期に作曲されており、しかも楽章数も3楽章と4楽章を行ったり来たりなので、もしかするとあまり意味ないかもしれません。

第21番は1772年8月にザルツブルクで作曲されました。4楽章となっていますが、音楽としてはまだロココしていまして、それほどおお!という感じはないです。音楽的に素晴らしいのは確かですし、オペラの序曲風でもありません。が、やはり平穏なその音楽は、他人の要求に単に答えたというレヴェルであり、まだ後年のそれを踏まえつつ個性をはっきするというところまでは行っていません。

第22番は今度は3楽章。1773年4月19日もしくは29日に作曲されたとされています。これもまだ音楽的には後年のドラスティックな転調が見られず、平穏な音楽が流れてゆきます。それが美しいので問題ないのでうっとりとはしますが、やはり何か物足りない感は否めません。アカデミーの名演だからこそ、素晴らしいのかも知れません。モーツァルト事典によりますと、直筆譜には正確に3楽章が区切られておらずシンフォニアの様相を呈しているので、何かの序曲に使われたのではないかとあります。

第23番は1773年5月19日の作曲です。これも3楽章ですが、何かの序曲に転用された(モーツァルト事典では触れられていませんが)のか、全楽章がつながっています。ただ、音楽はかなりドラスティックなものになっていまして、後年モーツァルトが好んで使う分散和音や下降音形などが現れ、上2曲とは違った様相を見せ始めています。いずれにしても楽章がつながっているだけ、シンフォニアのような気品のある軽妙な曲となっています。これも余計なことをしないアカデミーの演奏は素晴らしいです。

第24番は1773年10月3日にザルツブルクで作曲された3楽章の曲です。この曲にも後年出てくるような下降音形が使われ始めていまして、しかも転調も短調へはドラスティックになってきます。なんとなく次の第25番を彷彿とさせる曲ですが、短調への転調の多用で、気品ある軽妙な曲に仕上がっています。第5回ウィーン旅行から帰ってきた後に作曲されていますが、実はこの旅行がきっかけとなって彼は4楽章の交響曲を書いたとされているのですが、いままで見てきたように3楽章も4楽章もありますし、それはこの後も続くのです。事典でも疑義がさしはさまれていますが、私もその疑義に賛成です。それより前にかれは4楽章が書きたくて仕方ないのですが、それがなかなか許される立場や地位ではなかったというように私は考えていますし、彼の音楽からはそんな「声」が聞こえてきます。

第25番は1773年10月5日にザルツブルクで作曲されました4楽章の曲です。第24番とたった2日しか違わない!そう考えれば、旋律に似た部分があってもおかしくはないでしょう。同時進行だった可能性すらあります。この曲は映画「アマデウス」の冒頭で第1楽章が使われているので、ご存じの方も多いと思います。あの不気味な旋律。しかし、それをマリナーとアカデミーはとても上品に、かつ激しく演奏しています。よく私が言います「短調が主調の曲は、モーツァルトの気持ちが前面に出ている」という言葉通り、シャイな彼がドグマを吐き出している感じがこの曲からもうかがえます。何より、形式的に4楽章であるということが、私に訴えかけてくるのです。しかも、ト短調・・・・・モーツァルトさん、あなたの気持ちは私がすべて受け止めてあげますよと言いたくなります。音楽的にもいきなりドラスティックな転調と、まるで天上の音楽のような気品。いきなりこの音楽が来るのです。だからこそ、私はもともと彼は4楽章の曲を書きたがっていると想像するのです。

マリナーはもしかするとそれが言いたいのかもしれませんね。この第25番でオケの能力全開で演奏させています。その上で、第一主題の最後の音は弱くさせています(これを母校である中大オケが第九でやったのですからすごいのです!)。これがとても上品で、ともすれば激しくだけ行ってしまうこの曲にかろうじて明るさというともしびをともしてます。その後、第4楽章でも激しさは解消せず、少し舞踊的な旋律ですが、それにも気品を失わせていません。「僕が4楽章の曲を書きたいのを、どうかわかってよ・・・・・ねえ。」と言っているかのようです。

モーツァルト様、それはよくわかりますが、3楽章の曲も素敵です・・・・・・

さて、2010年、平成22年も今日が最後となりました。皆様に取りましてはどんな年だったでしょうか?

最後が第九といかないところが、このブログらしかったりして?というわけではありませんが・・・・・

明日の元旦で、もしかすると第九の話題がでる・・・・・・ことがあるのかないのか?

さて・・・・・

お楽しみです。とにかく、来る年が皆様にとって良い年でありますよう、祈念しております。

来年も(ってすぐ明日またエントリあげますが)このブログをよろしくお願いいたします!


聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第21番イ長調K.134
交響曲第22番ハ長調K.162
交響曲第23番ニ長調K.181(162b)
交響曲第24番変ロ長調K.182(173dA)
交響曲第25番ト短調K.183(173dB)
サー・ネヴィル・マリナー指揮
聖マーティン=イン=ザ=フィールズ教会アカデミー(アカデミー室内管弦楽団

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