かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:サイモン&ガーファンクル ベストセレクション

今週のマイ・コレはまず、S&Gから参りましょう。今回はサイモン&ガーファンクルのベスト盤です。実はこれも廉価盤で、当時2000円。どうやら、アメリカで発売されたものを日本の無名の会社が買い取り、日本版として発売したもののようです。一応、ジャスラックのシールが張ってありますし、印刷もされていますのでお墨付きはついているようです。

いきなりS&Gですか!と仰るかもしれません。はい〜、そうなんです。じ・つ・は、私、サイモンとガーファンクルのファンなんです。父の影響をかなり受けていますけどね。

というのも、もともと我が家には彼らのオープンリールテープがあったのです!LPじゃありません。オープンリールのテープです。今から考えますと完全にこれは父の趣味ですね、もろに。なぜなら、私の父は某A電機のカセットテープやオープンリールデッキのエンジニアだったので・・・・・

でも、その音楽がとても素敵で、多感な私はいっぺんにとりこ。それをさらに加速させたのが、大学の一般教養の英語の時間だったと思います。

普通、英語の歌と聞いて何を思い浮かべますか?いろいろあると思いますが、フォークやロックなら、ビートルズあたりでしょう。確かに、それも取上げたのですが・・・・・

な、何と、S&Gのスカボロー・フェアと、「明日にかける橋」を取上げたのです!特に、「明日にかける橋」は私の周辺で二人好きな人がいました。一人は父、そしてもう一人は大学時代に私が片思いだった女性の先輩だったのです。

心躍るとはこのことでしょう。私はもう、買いたい気持ちを抑えることができませんでした。ところが・・・・・

当時、S&Gはすでに過去の人。アルバムはそう多く出ているわけではありません。そこで、地元の安売り電気店でアバとともに買ったのがこのアルバムです。

S&Gほど、歌詞を見て聴きたいアーティストはいません。しかし、廉価盤の悲しいところは、歌詞カードがない、ということでした。ですので私は当時父からオープンリールの歌詞カードを借り受けて、聴いていました。しかし、それも返してしまって、しかもそれを処分するという、いかにもトヨタカンバン方式を賞賛する父らしい行動に出てしまいました。

今回、S&Gを取上げるに当たり、どうしても歌詞をご紹介したいと思って、ググって見ましたら・・・・

な、なんと、あったんです!サイモン&ガーファンクルの歌詞のサイトが。

http://www5.ocn.ne.jp/~tyun/

ここには主要な歌の歌詞と、その訳が載っています。今回、このサイトを参考にして、私なりに曲の解説を簡単に各曲ごとにしたいと思います。

長くなりますが、今回はお付き合いくださいませ。

1.Bridge Over Troubled Water(明日にかける橋)

彼らの楽曲のうち、一番私が好きな歌であり、また座右の銘ともいえる歌です。特に、

I'm on your side
When times get rough
And friends just can't be found
Like a bridge over troubled water
I will lay me down
Like a bridge over troubled water
I will lay me down

ボクは、いつも君のそばにいるから
  辛いとき、友達も見つからない時
  ボクが橋となって
  激流の中に立ち尽くす
  君を救い出してあげるよ

  ボクが激流に身を投げ出し
  橋となって、立ち尽くす君を
  救い出してあげるよ

この歌詞は、私の精神とも言うべきものになっています。コンサートでは盛り上がるようですが、私はこの曲はクラシックを聴くと同じように、静かにじっくりと聴きたいですね。困っている人に寄り添う歌詞をじっくりと味わってください。ポール・サイモンの歌詞は本当に古典派のソナタ形式のように美しいのです。

2.El Condor Pasa(コンドルは飛んでゆく)

この曲で彼らを知っている、という人も多いのではないでしょうか。ただ、歌詞とその訳を見てみる限り、かなり深い内容を歌っていますね。これも簡単に聴くべき歌ではないような気がします。自由を愛するアメリカ人ならではのたどり着いた境地、といえるかと思います。

3.Cecilia(いとしのセシリア)

大好きな曲です。男女関係を歌った歌で、情事を歌った部分もありますが、男性なら女性にこんな風に言った経験、あるんじゃないでしょうか。セシリアのイントネーションが重要で、なかなか歌いにくい歌でもあります。ただ、私はこの曲を聴いていたおかげで、第九の「フロイデ」の発音(Frを前へはじき出す)が簡単に思ったのは事実です。

4.The Boxer(ボクサー)

ボクサーという身を借りて、都会でがんばる人たちの悲哀を歌った歌です。でも、完全に哀しいのでもなく、でも寂しさもある、含蓄のある歌に仕上がっています。現代日本で言えば、派遣労働者の身の上でしょうか?そんな形で置き換えてみるとこの歌詞が理解しやすいかもしれません。

5.Baby Driver(ベイビー・ドライバー

この歌、今まで歌詞がわからなかった歌なんです。今回サイトで確認してみたら、「これは清志郎の『雨上がりの夜空に』と一緒じゃないか!」と思った歌です。バイクのりと女性関係を歌った歌ですが、私としては清志郎の「雨上がりの夜空に」で清志郎が表現したものと同じものを感じるんですね。エンジンって、もしかすると・・・・・

清志郎の歌の背景を知っている人にとっては、興味がつきない歌じゃないでしょうか。曲はとてもロックしている割には上品ですけどね。

6.Bye Bye Love(バイ・バイ・ラヴ)

この曲だけはまだ翻訳がすんでいないようです。私が聴けた歌詞から考えますと、失恋の歌です。しかも、それを何とか明るく受け入れようという歌です。いやあ、わたしは失恋したとき、ここまで明るく受け入れることはできませんね。かなり時間をかけて、ブラームスの弦六第2番(アガーテを和音で叫ぶ、つまり心の中でひっそりと叫ぶ)までがせいぜいです。

7.Scarborough Fair/Canticle(スカボロー・フェア/詠唱)

この曲も好きな曲なのですが、いやあ、今回歌詞を見ながら聴いてすごいことを発見してしまいました。

この曲、フーガなんです。

詳しくはサイトを参照して欲しいのですが、二つの歌詞と音楽が絡み合って、しかも出るタイミングを変えたりしています。しかも、歌詞は韻を踏んでいます。ポールの歌詞って、たまに韻を踏むんですよね。そんな部分の美しさも聴き所です。

8.Homeward Bound(早く家に帰りたい)

サイトの管理人さんと違い、わたしは田舎から出てきた人の望郷の思いを歌い上げたもの、と捕らえています。家へ帰りたいという「Home」を繰り返し、しかもそこで恐らく長音をつかい(これは是非楽譜で確めてみたいです)、休符を入れてリズムを変えていることで絶妙に表現しています。それでいて、明るい曲はきいていて楽しく、それが逆に聴く人に哀愁をかんじさせるものになっています。

中島みゆきのアルバム「短編集」の中の、「帰省」を思わず想像してしまいました。

9.The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)(59番街橋の歌)

楽しい散歩を表現した歌、だと私は思います。こんなきぶんになることって良くありますよね?これも部分部分で韻を踏んでいます。

10.Song For The Asking(ソング・フォー・ジ・アスキング)

比較的短い曲です。歌詞に込められた内容はサイト管理人の方の解説に任せるとして、わたしは完全に韻を踏んでいる歌詞を味わって欲しいと言いたいです。

11.The Sound Of Silence(サイレント・オブ・サイレンス)

名曲中の名曲です。映画「卒業」の主題曲ですし、ある年代から上の方は知らない人は少ないのでは?と思います。歌詞を見ながら聴きますと、表面的な美しさよりも、この曲は深いことを意味しているような気がします。

卒業、見たのはかなり昔ですが、もう一度見たくなりました。

12.I Am A Rock(アイ・アム・ア・ロック)

わたしはこの曲を聴くと、どうしても「路傍の石」を思い出してしまうんですよね。歌詞はちょっとそれとは違うんですけど、でも、主題は一緒である気がします。

この歌詞、ものすごく共感しますね、特に後半のこの歌詞以降。

Don't talk of love
Well I've heard the word before
It's sleeping in my memory
I won't disturb the slumber
Of feelings that have died
If I never loved I never would have cried

  人を愛した事があるのかだって?余計なお世話だ!
  昔はそんなものにかかわった事もあったけどな
  もう忘れちまったそんな記憶を呼び覚まして
  どうすんだよ
  人を愛したって、傷付くだけさ・・・

13.America(アメリカ)

この歌、歌詞は父のもので見ていましたが、今回改めて上記のサイトで確認し、管理人さんの解説を読んでみて、私は表面的な理解だったなと思いました。たんなる自分探しの感傷的な気分を歌っているわけではないんだな、と。

ポールの歌詞の形式的な点だけではなく、内面的な点をも聴かせてくれます。

14.Old Friends (旧友)

これは・・・・・とても哀しくつらい歌です。涙なしには聴けません。過ぎ去った日々・・・・・そして、自分にはもう時間がない。

これを青年で書くポール。なんていう感受性の高さだろうと思います。ストリングスの現代音楽的な和音が、さらに哀愁に拍車をかけます。

15.Bookends Theme(ブックエンドのテーマ)

このアルバムでは前曲に続いて演奏されています。それだけに、私は涙を禁じえません。晩年のブラームスを彷彿とさせますが、40も過ぎれば、こんな想いってありますよね。

16.Mrs.Robinson(ミセス・ロビンソン

前2曲が哀しい曲なだけに、こんなあかるく、しかも情事を歌っている歌が入っているのは救いですね。でも、情事を歌った内容なので、その点だけはご注意を。歌詞を見ながら聴いてびっくりなされませんよう。

17.A Hazy Shade Of Winter(冬の散歩道)

この曲、何年か前にテレビの主題歌になったので、聴きましたらすぐあれか!と若い人でもわかるのではないでしょうか。私としてはとても共感できる歌詞です。これもところどころで韻を踏んでいます。それがとても美しいですし、また歌詞も含蓄あるものです。

18.Wednesday Morning, 3 a.m.(水曜の朝、午前三時)

これ、彼らのデビュー曲です。私もサイトで調べるまで知りませんでした。これも歌詞がなんときれいな韻を踏んでいるんでしょう!それでいて、あっと驚く歌詞の展開。でも、音楽は淡々と過ぎてゆく・・・・・こんなにも魅力的なのに、最初は泣かず飛ばずだったというのですから。彼らの才能を聴衆が最初は理解し切れなかったのかもしれませんね。


いかがでしょうか?特に、あまり言及がなされませんが、ポールの韻を踏む歌詞の書き方はすばらしいです。内容だけでなく、そんな形式的な美しさ、その裏に隠された想いというものを考えながら聴いても、楽しいと思います。

私ももっとそのあたりを注目して聴いてゆきたいと思っています。



聴いているCD
サイモン&ガーファンクル ベストセレクション
(エコー・インダストリー VC-3001)