かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

友人提供音源:'99かわさき市民第九コンサート

さて、今回も新コーナーの登場!「友人提供音源」です。これは、私が持っているCDのうち、買ったものではなく友人から貰い受けたもの、あるいは何かのイベントに参加していただいたものを取上げます。

まず、その第1回目は、私が平成11年に参加した、かわさき市民第九の記録です。ホールは川崎市教育文化会館です。

このCDは実はいつもらったのか、あまり良く覚えていません。もう10年も前のことですが、こういうことはたいてい記憶に残っているものなのです。それがすっぽりと抜け落ちてしまっています。

ただ、いろいろ調べてみましたら、いくつか記憶がよみがえってきた部分があります。

かわさき市民第九について少しお話ししましょう。このイベントはもう40年くらいの伝統があります。初めは、川崎市合唱連盟と川崎市交響楽団によって開催され、オーケストラも川崎市交響楽団(通称「川響」)が担当してきました。それを、1997年より市内4つのオーケストラが持ちまわりでオーケストラを担当し、毎年合唱連盟が主体になって市民から合唱団員を募り、編成してコンサートを開催してきた、伝統あるイベントです。

関東でも、ここまで毎年市民が参加して作り上げる第九の演奏は私も知りません。他には横浜にある横浜交響楽団と横響合唱団の「青少年のためのコンサート」第九版しかない、と思います。そちらも参加したことがあります。

このCDは、そのかわさき市民第九の、1999年の演奏の記録です。指揮者、オケともCDに記載がありませんが、川崎市マチュアオーケストラ連盟のサイトで調べてみますと、恐らくですが、私の記憶と合致するのは麻生フィルハーモニー交響楽団、指揮が川本貢司だと思います。断言はできませんが、他の3つのオケはそれぞれ別の年に参加している記録があるのですが、このオケだけ記載がないのです。

それと、私はこの川本という指揮者に記憶があるのです。確か、直前の定期演奏会でも指揮をしたということを当時話をしたような・・・・・・

で、麻生フィルのサイトで調べてみますと、実際1999年10月に定期演奏会を行っており、そこで川本氏が振っています。ですので、恐らくこれで指揮者とオケは間違いないだろうと思います。

一方、ソリストは完全に記録がないのでまったくわかりません。ただ、合唱団は間違いなく「'99かわさき市民第九合唱団」です。

第1楽章はかなり速いテンポで突っ込んでゆきます。しかし、アマチュアといってもオケはよくついていっています。アマチュア特有のやや音の不安定さはありますが、アンサンブルが完全に崩壊していないのがすばらしいです。それは第2楽章も同じで、指揮者によくついていっています。

通常、かわさき市民第九では合唱団が初めから並ぶということはしません。第1楽章と第2楽章は袖で待機しています。つまり、私はこの演奏を袖で聴いている、ということになります。しかし、それがとても大事な事なのです。

合唱団がそでに待機して聴いているということは、合唱団もすでに一緒に演奏しているのと同じことなのです。合唱団は第2楽章ではすでに緊張しています。それに歌う勇気を与えるのが、オーケストラの演奏の重要な役割なのです。

ですので、合唱団がいないと言って、いい加減な演奏をするわけにはいかないのです。それがよく徹底された演奏だといえます。

第3楽章からは合唱団も舞台に上がります。やや速いテンポで入ります。さすがに、フルヴェンさんのようには行きませんね。私も何度かアマチュアオケで歌いましたが、ゆったりとしたテンポで入ったのはほとんど記憶にないです。ここまではアンサンブルはアマチュアにしては上出来、といっていいでしょう。川崎市内で当時最も新しいアマチュア・オケだったのに、です。すばらしいですね。

で、このCDの特徴なのですが、第3楽章と第4楽章が同じトラックなのです。ここで思い出したのです。そういえば、このCD、なぜか3つしかトラックがないなあと当時感じたことを。勿論、いまならそれを分けることもできます。実際、今聴きながら書いていますが、実はこれも一度WAVEファイルへリッピングした上で聴いています。つまり、その気になればサウンド・エンジンを使ってファイル分割できるのです。

しかし、一応私は今回CDそのままにしてあります。実は文字通り第4楽章はアタッカで始まるからです。多分、1秒あるかないかだと思います。それですと、分割するのに苦労します^^;

そして、ややオケに疲労が見えてきます。しかし、何とか粘っているのが聴いていてわかります。既に合唱団がいるのです。彼らに受け渡すまでは絶対に気を緩めることはできません。

バリトン・ソロまでの起伏が激しい部分でも崩壊せず、何とか指揮者についていっています。実は、この演奏のすばらしさはもうひとつありまして、第3楽章でホルンがひっくり返っていないのです。これが、どれだけ合唱団を勇気付けるかわかりません。その勢いで第4楽章も突っ走ってゆきます。

バリトン・ソロが始まりますと、オケも生き返ります。合唱団が歌い始め、オケはそれを必死に支えます。また、それに合唱団も必死に答えてゆきます。また、vor Gott!の部分のフェルマータ、しっかり伸びています。いやあ、良く私もついていったなあと、いまさらながら自分自身で感心してしまいます。息継ぎ等、ここは実は前半で一番大変なのです。

その直後に、恐らく当時人数が足らなかったのでセカンドテノールを歌っていると思いますが、いわゆる「ナポレオン・マーチ」の男声合唱の部分に間髪入れず入ってゆきます。その後、オケの必死の演奏。ここはオケの独壇場ですね。アンサンブルも比較的いいです。そして、もう一回ホルンが・・・・・ここでもひっくり返らず、合唱団に勇気を与えて、混声四部の一つの山を迎えます。

二重フーガまでの部分は合唱団のアンサンブルもよく、聴いていてこれが本当に自分が歌ったアマチュアの演奏なのだろうかと、いぶかしくなるくらいです。

そして、合唱団オケともに体力を消耗する二重フーガ。特にオケはただでさえ練習番号M(Freude,shoener Goetter funkenの部分)でものすごい音形と格闘しているのに、さらにこの二重フーガで今度は大変な合唱団を支えるわけなので、心身ともに疲れるのです。しかし、それを何とか乗り切ってゆきます。

その後の混声四部のアリアと合唱、そしてクライマックス。まるで競馬で第4コーナーで鞭を入れるがごとく、突っ走ってゆきます。テンポも特にクライマックスでは速め。それに何とかついて行きます。崩壊しそうなオケも最後まで崩壊せずに、演奏を終えます。

今聴きますと、会心の演奏です。私もここまでうまく歌った演奏はないかもしれないと思います。実際、この後私は今度は大田区という看板を背負って歌ってゆくのですが、そこでもここまでの演奏はあったかなあとおもいます。いずれ、その演奏もこのコーナーで取上げる予定です。

これが私の手元にある最新のかわさき市民第九の演奏の記録です。それ以後、私はいろいろあって活動の中心が川崎から大田区へと移ってゆきます。ですので、これが私にとって今のところ最後のかわさき市民第九の演奏の記録ということになります。しかし、それ以後も毎年開催されており、現在では会場をミューザ川崎に移し、開催されています。

今年は、12月13日に予定されています。お近くの方は足を運ばれてはいかがでしょうか。私も行きたいのですが、実はその日は他の演奏会を聴きに行くことになっておりまして、残念ながら行けません。そのコンサートにつきましては、またご報告させていただきます。

最後に、当時私が思っていた夢をご紹介して、終わりといたします。

いつか、横浜と川崎、そして大田区東海道線沿線の合唱団とオーケストラで、第九を演奏できる日が来るといいな、と。

それを祈りつつ・・・・・・


聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」
川本貢司指揮
麻生フィルハーモニー交響楽団
佐藤企画によるCD−R)