かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン 交響曲第89番ヘ長調Hob.�T−89 他

さて、今回は新コーナーの登場です。私が月に2度くらい通っています、神奈川県立図書館の所蔵CDをご紹介する新シリーズです。その名もずばり「神奈川県立図書館所蔵CD」です。

まず、神奈川県立図書館についてですが、以下のサイトをご覧くださいませ。

http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/

紅葉丘とあるのが本館で、桜木町にあります。本館のほかに新館があります。そこに視聴覚資料が収められており、私はそこへ借りに行きます。

もうひとつ、川崎図書館という分館があり、JR川崎駅から歩いて15分くらいの場所にあります。隣は川崎市教育文化会館で、私が合唱団に入っていたときに第九をよく歌った場所です。こちらは自然科学関係の資料が中心ですが、本館の図書は勿論、視聴覚資料も借りることができます。

借りられる条件は、神奈川県在住、もしくは在勤・在学者です。

昨年、とあるつてから神奈川県立図書館でCDを貸し出していると知りました。通常、どこの図書館も館内貸し出しだけで、館外へは貸し出さないことが多いのです。恐らくその理由は、CDがわれやすいという特徴にあるのだと思います。

ですので、私としては借りられるわけがないと思っていたのです。しかし、昔から私は借りられるのなら借りたいと思ってきました。昔なら、それをカセットやDATへ録音して、自分で聴きたいなと思ってきたわけです。今なら、当然パソコンへリッピングして、ということになろうかと思います。

ところが、少なくとも横浜市の図書館では館外貸出しは行っていません。それに、私の母校の大学にも立派な図書館がありますが、そこも私が通っていた当時はCDも保有していましたが、館内だけで、館外貸出しはしていなかったと思います。

ですので、県の図書館で館外貸し出しをしていると知ったときには、喜んだのと同時に、珍しいなあと思いました。

これから、このコーナーでは毎回、神奈川県立図書館の所蔵CDをご紹介してゆきます。まず最初は、私が始めて借りました、ハイドンのCDです。交響曲第89番と88番「V字」、そして協奏交響曲です。

実は、このCDを借りた理由は二つあります。一つは前からハイドン交響曲を全曲聴きたいと思っていたこと、そして一度生で聴いた協奏交響曲をもう一度聴きたいと思ったことでした。

そのときには、確か3枚借りたと思います。もう二つは、次にご紹介することにします。

さて、このCDは演奏がピリオド、つまり古楽です。指揮はフランス・ブリュッヘン。オケは18世紀オーケストラです。このオケは未だに古楽にこだわっている一本筋の通ったコンビで、私も信頼しています。初めて古楽に触れたのも実はこのコンビで、それについては新コーナー「マイ・コレクション」で述べたいと思います。

交響曲第89番・88番ともに楽しい曲ですが、88番は少し生真面目な曲でもあります。「V字」というのは主題の音形がV字に見えることからつけられた通称ですが、何となくそれが勝利のVのように聴こえるから不思議です。古楽器の軽快な音がまたハイドンには良く似合いますね。いずれこのコーナーでもご紹介しますが、モダンでも遜色はないのですが、ハイドンに関しましては、私は時代楽器が良く似合うと思います。

むしろ、時代楽器のほうがよく表現できるのではないかという気すらします。勿論、モダンでも演奏次第ですが・・・・・

結局、ハイドンという作曲家とどう向き合うかだと思います。ハイドンは有名な作曲家の割にはあまり近年コンサートでも取上げられることが少なくなったように思います。CDもちょっと少ないですし。依然、合唱曲は多いのですが・・・・・

CD店に行っても輸入盤のほうがはるかに多くなってしまいました。これがモーツァルトなり、ベートーヴェンですと圧倒的に国内盤のほうが多いのですけど・・・・・

そういう意味でも、県立図書館がこのようなCDを保有し、貸し出している姿勢は高く評価できると思います。ハイドンも、モーツァルトベートーヴェンに影響を与え、特にベートーヴェンにとっては直接の師匠でもありました。弦楽四重奏曲の初期6曲のあたりには少なからず影響を与えていますし、もっと私は評価されてもいい作曲家だと思っています。

確かに、ハイドンの音楽自体は軽いものが多いのは事実です。しかし、決しておふざけモード全開なのではありません。むしろ、軽い曲を全力で作曲しています。それに、ハイドンは調べてみますとかなり下積み時代があるのです。初期の交響曲は形式も定まっていないものもありますが、どうやらその原因は下積みという立場にあったようなのです。

それは、モーツァルト交響曲にも同じような傾向が見て取れます。二人とも初期は3楽章形式が多いのですが、名がしれてくるとだんだん4楽章形式のものを書くようになります。その経緯がほとんど同じことが私を驚かせます。

このアルバムでも、交響曲はいずれも4楽章形式です。しかしながら、ではモーツァルトは初めから4楽章で交響曲を書いているかといいますと、むしろ3楽章形式なのです。そのほうが多いくらいです。

音楽の深さから言えば、断然モーツァルトです。しかし、この2曲は決して深くはないですが、そうかといって軽薄でもありません。どうしても軽めの演奏になる時代楽器でさえ、それほど軽薄な音楽にならないということからも、私はもう少しハイドンを再顕彰する必要があると思います。

ヨーロッパではすでにそのような運動が起きていますし、それはやがて日本にも来るような気がしてなりません。

実は、そう感じ始めたきっかけが、協奏交響曲だったのです。mixiでの交友がきっかけで、3年ほど前私はあるアマチュアオーケストラの定期演奏会へ足を運びました。合唱団時代の友人を誘って。そのときのメインはベートーヴェンの「運命」でしたが、その前プロがこの協奏交響曲だったのです。

これを聴いたときの新鮮さと、気持ちよさは今でもよくおぼえています。寝てしまいたくなるほどの気持ちよさでした。アマチュアですから当然音は不完全な部分もあります。古典派の作品はごまかしがきかないものが多いですから、それはすぐに欠点として目立ってしまいます。それにも関わらず、とても気持ちよかったのです。そのオーケストラには非常に失礼なのですが、実際に寝てしまいました^^;

それほど、気持ちよかったのです。そういう曲を書く事のできる作曲家というのは、ロマン派でもそうそういません。

私はそれ以降、ずっと注目していたのが、ハイドンだったのです。

その後、私は交響曲とミサ曲、そして弦楽四重奏曲の全曲を図書館で借りることになりますが、そのきっかけを作ったCDなのです。

特に、協奏交響曲は4つの楽器のソリストが出てきますから、オケの迫力に負けません。バランスもとてもよく、掛け合いも楽しいのです。モーツァルトとはまた一味違う明るく楽しい音楽です。

そして、このCDを初めとする三枚のCDが、やがて私をアルバン・ベルクの名演へと導いてゆきますが、それはまたこのコーナーで述べましょう。

つまり、その名演とめぐり合ったのも、神奈川県立図書館だったのです。


聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第89番ヘ長調Hob.�T-89
交響曲第88番ト長調Hob.�T-88
協奏交響曲変ロ長調Hob.�T-105
ルシー・ファン・ダール(ヴァイオリン)
ワウター・メーラー(チェロ)
ク・エビング(オーボエ
ダニー・ボンド(ファゴット
フランス・ブリュッヘン指揮
18世紀オーケストラ
(元CD:フィリップス PHCP-11205)