かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1番ヘ長調作品18-1

さて、お待ちかねの(誰が待っているって?いるんですよ、それが)弦楽四重奏曲シリーズの開幕です。

その前に歌謡曲を持ってきたかったのですが、事情がありそれは弦楽四重奏曲の間か、終わってからにしたいと思います。ですので、今日は弦楽四重奏曲第1番を取上げます。

書く前にいつもの通りウィキペディアで調べましたら、実はこの曲は第1番目の弦四ではありません。第1番目は第3番なのですが、ここではあえて順番どおり聴いていきたいと思います。それは、ベートーヴェンの意思を確認する作業でもあると思うからです。

第1番はとても暖かい音楽で始まります。内容的にはハイドンを踏襲していると言われますが、具体的にそれがどういうものなのかはハイドンをまだ聴いていない私は論じることはできません。しかしながら、ピアノソナタを聴いたあとにこの第1番を聴きますと、「もう充分遊んでいるよね」と感じます。

その典型なのが、第3楽章。弦のアインザッツが妙に強調されている部分があり、ちょっと変です。しかし、それがなんとも不思議な魅力を出しているのです。だんだん楽しくなってきます。

第1楽章ではすでにベートーヴェンらしい転調があって、この第18番のシリーズが練習を兼ねているなどとは到底思えないくらいです。

全体的に暖かい曲で、ちょっと悲しいことやいやなことがあったときには癒してくれますね。ちょうど、このシリーズに入る直前、私はおばを亡くしたのですが、何となくしっとりときます。こういうところがベートーヴェンの魅力ですね。

この曲を第1番にしたのは友人の勧めだったようです。確かに、明るい曲で、イメージはいいですね。しかし、晩年は自分の意思を貫き通したベートーヴェンがこの曲を素直に第1番にした理由は、一体なんだったのでしょう。謙虚だから、でしょうか。それもあるとは思いますが・・・・・

それについては、第3番を聴いてから述べることにしましょう。

いきなりユニゾンで始まるこの曲は、インパクトも強い曲です。第1楽章冒頭を聴きますと、頭から離れません。この曲が作曲された当時、すでにピアノソナタはかなり作曲していましたし、そのすぐ後には交響曲第1番も作曲されています。そう考えると、この曲は青年ベートーヴェンの希望に満ちた将来を反映しているのかも知れません。

ピアノソナタのときに書きましたが、ハイリゲンシュタットの遺書を書いたあたりには弦四が作曲されていません。その理由は、ウィキペディアの以下に求めることができるでしょう。

ベートーヴェンはこの三つの曲種(著者註:交響曲弦楽四重奏曲ピアノソナタの三つ)を、演奏会で大勢の聴衆を前に自己の芸術を披露することのできる交響曲、人間関係など人生の微妙な問題を語るには弦楽四重奏曲、自己の内心の心情を吐露するには最も身近な楽器であるピアノソナタと、それぞれの性格を活かして多くの作品を残したと言われる。」

この作品18は6つあるわけですが、そのころはウィーンに出てきてフランツ・ヨーゼフ・フォン・ロプコヴィツ伯の援助を得ます。献呈も伯爵になされており、その人間関係がとてもよかったのかもしれません。少なくとも、同時期のピアノソナタもとても明るい曲が多く、ベートーヴェンの公私ともの充実ぶりをしのぶことができます。