今日はピアノソナタ第11番を取上げます。この曲は私が好きなベートーヴェンのピアノソナタのひとつです。
といいましても、全曲聴いたのは最近ですから、勿論最近好きになった曲、ということになりますが・・・・・
第1楽章の主題である「たらららんたん」というリズムがとても小気味よく、ソナタ形式で展開されていく様がなんともいえません。この第1楽章だけ聴いていても飽きないくらいです。
よく、ソナタ形式を教えるとき、学校の授業ですと交響曲第5番「運命」で教えられるものですが(確か、指導要領がそうなっていたと記憶しています)、私のように小さいころからクラシックが好きならいいですが、多くの子供がそうではない実際を考えますと、私はこのピアノソナタ第11番で教えるほうがいいように思います。
実際、私は運命で習いましたが、そのとき友人たちはそれほど楽しそうではなかったのを覚えています。私一人だけなんとなく浮いていました。
もし、そのときこの第11番だったら、どんなにクラシックを語れる友人が増えただろうと思います。
ぐいぐい引き込む第1楽章とは違い、その他の楽章はおとなしく、それが採用されない理由なのかもしれません。しかし、私の経験では、曲に引き込む何かがあることが大事なのではなく、クラシックは敷居の高い曲ではなく、肩のこらない曲もたくさんあるんだということを生徒に教えることこそ、音楽教育では大事なのではないかと思います。特に、鑑賞の時間で。
その割には、多くのロッカー(ロックンローラー)が第九好きなのに、第九は逆に教育上よくないとの理由で中学生には聴かせないというのはおかしいのではないかと常々思ってきました。しかし、中学生に運命を聴かせても反応が薄いのに、第九を聴かせると目が輝くということを、私は合唱団で経験しました。
私が一番最近入っていた合唱団は、主に第九を歌うことを主眼としていました。そしてあるとき、区内(大田区でした)の中学生をリハーサルに招待しました。勿論、私たち合唱団のオケあわせも。
ほとんどの中学生が、本番も聴きたい!と目を輝かせ、アンケートでも「感動しました!」と多くの生徒が書いてきました。
私は、これほどうれしかったことはありません。運命は中学生には重すぎても、第九の歌詞の精神は受け入れられるだけの心が既にあるのです。
となると、この明るい第11番のほうが、私としては理解されやすいのではないかという気がしてならないのです。
といいつつ、この曲は四楽章形式と、革新的な形式を取っていて、それまで3曲続いた3楽章形式から変更しています。このあたりは三楽章だったり四楽章だったりと、いったりきたりしていますね。ベートーヴェンが悩みつつ作曲していたようにも思えて、それゆえに逆に中学生のような感受性の強い子供たちにははっきりと伝わるのではないかという気がします。