かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

音楽雑記帳:CDをfoobar2000でアップスケーリングできるのか?

音楽雑記帳、今回はCDをfoobar2000でアップスケーリング、つまりCDよりも高音質に再生しながら聴くこと、ができるのか?ということをテーマでやっていきたいと思います。

foobar2000自体には、リサンプリング、つまりアップスケーリングの機能がついており、96kHz/24bitまでにして聴かせてくれる機能があります。追加機能なので追加でDLする必要はありますが・・・・

検索してもできる、とは書いてありますが、それはリアルなのか?となると疑問符が付くようです。DSDならできるというサイトもありますが・・・・・

できたとしても、実はfoobar2000では96kHz/24bitまでが限界です。それ以上をfoobar2000で求めることはできないのです。実はそれが私がfoobar2000をメインにしていない理由の一つです。

クラシックを聴く人であれば、おそらくスペックとして192kHz/24bitという、PCの限界までは求めたい人が多いのではないでしょうか。ところがfoobar2000はその点はあまり考慮していません。勿論、聴くだけならfoobar2000も192kHzまで対応していますが。

ただ、それなら本当にfoobar2000はサブとして使い、メインはソニーのMusic Center for PCで十分です。リッピングはどちらもできますが、CDをリアルでリサンプリングするのはfoobar2000のほうがいいかもしれません。一応私もサイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル演奏のベートーヴェン交響曲第5番で試しましたが、ギャップが生じないのでいいのではないかと思います。

その意味でも、foobar2000はサブ使いだなあ、と思います。foobar2000でできることは大抵Music Center for PCでもできます。できないのはCD再生時のアップスケーリングと、不具合としてある曲順がたまにバラバラになるという事象だけです(それはそれで困るんですが)。その時だけfoobar2000を使えばいいだけだと私は思っています。

その点では、ソニーを過度に攻撃するようなレビューを書く人たちと私とではスタンスが違うように思います。確かにfoobar2000は優れたアプリで、それは私も認めるところです。曲順が常に正確というのもプレーヤーとしてはイロハのイがしっかりしていると言えるでしょう。しかしリサンプリングが96kHzまでというのはどうなんでしょう?ソニーならDSEE HXで192kHzまでにしてくれます。

どうも、この手のアプリはクラシックを聴くことを考えられていないように思うのです。それは実はMusic Center for PCにしても同じなのですが、それでも高スペックのアップスケーリング技術であるDSEE HXを搭載しているという点は素晴らしいと思います。私としてはMusic Center for PCとfoobar2000の二つあれば十分なのでは?という気がします。この二つを正確に評価しない人たちは音楽を聴いているのではなく、単にオーディオを楽しんでいるだけなのではないかという気がします。

クラシックを含め、音楽をPCで楽しむために必要なスペックとアプリななんなのか・・・・・そこを考えないで安易にアプリを選択した結果を引き受けられない人たちが、おそらくソニーを攻撃しfoobar2000を過度に称賛しているのでしょう。しかしここで述べたようにfoobar2000もスペック的には低機能な点もあるわけです。何を自分は我慢できるのか、何を選択するのかが明確であれば、単に「使えないね」で済むはずで、攻撃するようなことではないはずなのです。その点がレビューとか見ているととても残念です。

 


地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。

東京の図書館から~府中市立図書館~:朝比奈隆と大阪フィルハーモニー交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集4

東京の図書館から、6回シリーズで府中市立図書館のライブラリである、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団(以下大フィルと略します)によるベートーヴェン交響曲全集、今回はその第4集を取り上げます。

第4集には交響曲第5番「運命」が収録されています。え?それだけ?って言うかもしれません。ですが本当に「運命」1曲だけです。

時間的には第6番とカップリングしてもいいくらいだとは思いますが、何せ朝比奈さんですから。この第5番、総演奏時間約40分。まさに朝比奈節全開。第1楽章からそれは見え隠れし、それは第4楽章で頂点を迎えます。特に第4楽章の朝比奈節は見事で、むしろその朝比奈節全開であることが、まるで英雄が勝利したかのような見事な「勝利の音楽」を奏でます。とはいえ、第3楽章も朝比奈節全開なのですがその二つの楽章ともアレグロ指示なんですが・・・・・

そうなると、朝比奈さんにとってのアレグロって一体何を意味していたのだろう?と首をかしげるところではあります。しかしその朝比奈節によるテンポ指示無視が見事な効果をあげていることも事実で、この朝比奈節全開の第3楽章と第4楽章もとても魅力的です。決して私の美意識とは違うにも拘わらず、魅力を存分に感じますし、感動します。

つまり、私と朝比奈氏とでは、曲に対する姿勢や思いが異なるにもかかわらず、共感している自分がいるわけです。これがプロオケを聴くときの魅力だと言えるでしょう。自分とは異なるものが出てきた場合に、それを受け入れらるのか否か。プロオケの技量はそれで決まると言っても過言ではないと思います。それだけの説得力を持つ演奏をしえるのか。指揮者はそれだけの解釈とそれをオケに適切に伝え、能力を引き出すことができるか否か。それがプロの演奏の重要な点だと私は思います。

今どきはアマチュアオーケストラですら、説得力を持つ演奏をしている時代です。プロオケができないのでは話にならないわけなんです。朝比奈氏と大フィルはその意味でしっかりと関西を代表するプロオケだと言えるでしょう。異なる存在に対し説得力を持つだけのオケが大阪にあるということは本来は民主国家において誇りであるはずなのですが、どうも大阪市民あるいは府民の皆さんは誇りに思えないみたいです。それは大阪という都市、そしてそこに暮らす皆さんが民主主義を否定していると受け取られても仕方ないだろうと思います。

朝比奈節全開の大フィルが異なる存在を納得させる・・・・・これに誇りが持てない大阪市民の皆さんは、はたして民主主義国家日本の国民なのか?と欧米社会では言われてしまう、ということです。もう少しそのあたりの認識を持ってほしいと思います。大フィルは大阪そして関西の宝です。誇りです。そんなオケがある大阪そして関西を、私はうらやましく思います。東京は乱立していて代表するオケというものが果たしてどこなのかぼやけているからです。それに比べれば、大阪は恵まれていると私は思います。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

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今月のお買いもの:飯森範親が振るカルミナ・ブラーナ

今月のお買いもの、今回はe-onkyoネットストアにて購入しました、飯森範親指揮東京交響楽団ほかによるカルミナ・ブラーナを取り上げます。ハイレゾflac192kHz/24bitです。

カルミナ・ブラーナは、なかなかいい演奏に出会えていない作品の一つです。まあ、ブロムシュテット指揮N響が強烈すぎるのですが・・・・・そういう演奏にはじめ出会ってしまうと、ある意味不幸です。その演奏がすばらしすぎるため、広く販売されている演奏では満足できないからです。

音質という点では劣るにもかかわらず、いまだに私のベストはBSの放送を録画したものから音だけを抜き出したヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団のものです。今月購入した飯森氏のタクトでも残念ながら凌駕はできなかったのですが、比肩しうる演奏であるということは言えると思います。やはりこの曲は日本人の演奏、合唱のほうが優れた演奏になるなあと思っています。

最初の「運命の女神」のつかみは素晴らしいです!特に中間部「酒場にて」が圧巻!いかにも酒飲みという表現が抜群ですし、さらに焙られた白鳥の歌「かつては湖に住みしわれ」は、その哀愁と悔しさがたっぷり!そうそう、こういう演奏を待っていた!と膝を叩きました。

海外の演奏だと、カルミナ・ブラーナがそもそも中世の修道士によって編纂されたものということにとらわれすぎているように思うのです。勿論史実はそうなんですが、作曲したオルフはそれを題材に、人間の内面をリズムをたっぷり使って表現をしているわけなので、教会にとらわれる必要はないんです。オルフもこの作品を教会音楽として書いているわけではなく、むしろ修道士の人間たる部分に感動して、一つのドラマに仕立てているわけなのです。

日本人の演奏だと、その人間ドラマにフォーカスを当てるのがうまいと思います。この飯森氏のタクトでもそれは明快で、はっきりとしたリズムが生む生命力、躍動感。それが作品が持つ、良くも悪くも人間性を抉り出すことに成功し、結果的に作品が持つ魂を引き出しています。

これこそ、カルミナ演奏のスタンダードだと思います。解説は宇野功芳氏が書いていますが、さすがに「おいでおいで」の歌詞はぼやかしたなあと思います。あそこは実はセックスの時の喘ぎ声だと言われていますので、正確には「きて!もう入れて!」のほうが正確かもしれないのですが・・・・・まあ、いまの日本では難しいでしょうね。そこも躍動感ある飯森氏のタクトが冴えます。

全体的に優れた、心に残る演奏であると言えましょう。こういう演奏をあまり評価をしないんですけどね、プロの評論家の方々は・・・・・しかし、私はしっかりと評価したいと思います。時として卑猥な部分もあるこのカルミナ・ブラーナという作品を、その卑猥さゆえに人間臭く生命が宿り躍動する魂を、しっかりと表現している名演である、と。さすが今を代表する指揮者だと思います。合唱指揮の2名も優れているんだと思います。総合力で力を発揮する、日本人らしい名演だと思います。

実はこのファイル、再生するときにソニーのMusic Center for PCでは再生順がバラバラになってしまったもの。そのため再生はfoobar 2000を久しぶりに使っています。ロケーションはサントリーホールで東京交響楽団フランチャイズではないですが、ベートーヴェンの第九では使い慣れているホール。foobar2000で排他モードで聴きますと、実に残響が抜群!できれば打楽器がもっと前に出ていればさらによかったのにとという点は残念です。多分その点がブロムシュテット指揮N響よりは下がる要因だと思います。

 


聴いているハイレゾ
カール・オルフ作曲
世俗カンタータカルミナ・ブラーナ
半田美和子(ソプラノ)
高橋 淳(テノール
与那城 敬(バリトン
東響コーラス(合唱指揮:安藤常光)
横須賀芸術劇場少年少女合唱団(合唱指揮:武田雅博)
飯森範親指揮
東京交響楽団
(Exton ovcl00552)

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音楽雑記帳:実は排他モードが選択できるfoobar2000

音楽雑記帳、今回は排他モードが選択できるアプリを一つご紹介します。

以前、ソニーのMusic Center for PCをPC音楽アプリとしてご紹介しましたが、実はそれ以前から誇りをかぶりつつ気が向いたときに使っているPCアプリがあります。それがかなり以前にご紹介しているfoobar2000です。

foobar2000は、私がハイレゾを聴き始めたときにDLしたアプリです。以前のPCではハイレゾ対応している音楽再生アプリがなかったからです。そのためフリーウェアで万能なfoobar2000を選択し、DLしておいたのです。

実は、新しいwindows10PCになってもDLしてあります。ですが、そもそもPC備え付けのアプリでハイレゾ対応できた上に、クラシック再生ではバランスの良さが定評のソニーMusic Center for PCをDLしたので、ほぼ使わなくなっていたアプリなのです。

しかし、意外なところで出番はやってきました。ソニーのMusic Center for PCでたまに出現する、ファイルの順番が乱れる点ですが、それがモーツァルトの雀ミサを聴こうとしたとき発生したのです。一部入れ替わるなんてものではなく、完全にバラバラになってしまったのです。これではまともに1曲を聴くことができません。

そのため、foobar2000を試してみることにしたのです。あるレビューにまだfoobar2000のほうがまともだという言葉があったから、です。確かに並び順という意味ではまともだけど、ただ排他モードはちょっと設定が大変だったはずだけど・・・・・と思いつつ、検索してみたら・・・・・

実は、私のfoobar2000は、すでに排他モード対応になっていたのです。そういえば以前、そんな設定をやったなあ、と思い出したのです。できれば何かあったときにfoobar2000が排他モードもしくはアップサンプリングで再生できればと思ったためです。その時に設定してあったのです。

foobar2000はサイトからDLしただけでは排他モードになっていませんし、アップサンプリングもできません。ただハイレゾまでが再生できるだけです。しかし追加してDLをすれば、実は排他モードにできますし、アップサンプリング再生もできます。詳しい設定方法は「foobar2000 排他モード アップサンプリング」で検索すれば出ています。

Music Center for PCに比べると、臨場感は多少少ないような気もしますが、バランスはfoobar2000も負けていません。何より、ファイルの順番はきちんと反映してくれるのがうれしいです。こうなると、普段使いはfoobar2000へと移りたくもなりますが、やはりオーディオメーカーソニーの設定は素晴らしく、音質という点で言えばやはりMusic Center for PCのほうが勝ります。

なので、できればfoobar2000ソニーのMusic Center for PCと二つ用意しておく方がいいように思います。再生だけならfoobar2000だけでもいいのですが、リッピングとなると、意外といいのがMusic Center for PCなのです。これ、スマホflacを聴くときには便利なんです。リサンプリングというのは電池を食いますので、ハイレゾ192kHz/24bitであれば、アップサンブリング再生は必要ないので。ところがfoobar2000だと、設定すると常にアップサンプリング再生になります。それは電池を食いますので。ソニーのMusic Center for PCだと、CDからリッピングしてflacファイルを造ったものがわかりやすいので、どれをアップサンプリング再生すればいいのかがわかりやすいのです。これはfoobar2000にはない機能です。

再生という点ではソニーのMusic Center for PCを凌駕するfoobar2000で、評判もいいですが、私がメインに採用しなかった理由が、総合力で欠けるという点なのです。そうなると、foobar2000以外にもう一つ用意しておいて、使い方によってメインをどちらにするか決めるほうがいいように思います。確かにファイルの再生順がバラバラになるというのは困ったものですが、それ以外の致命的な点がMusic Center for PCには見かけられないからです。AACを聴いている人からは評判が悪いようですが・・・・・それならもう、flacに乗り換えればいいのに、と私などは思うだけです。ひと手間かかりますが、音質は断然向上しますから。

いずれにしても、私のお勧めは

①基本アプリとしてソニーのMusic Center for PC
②サブアプリとしてfoobar2000 排他モード対応にしておく
③CD用として、ソニーのHi-Res Audio player

CD用はギャップが入れなければ、ソニーから乗り換えてもいいでしょう。別にアップサンプリングしなくてもいいというのであれば、③もいらないと思います。①と②だけで十分です。①でもCDは再生できますので。ただ、アップサンプリングはしてくれません。リッピングしてファイルにしないとしてくれません。

foobar2000を持っている人であれば、そろそろ据え置きからPCへと、デッキは乗り換えてもいいかと思います。ソニーを批判している暇があれば・・・・・

 


地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。

東京の図書館から~府中市立図書館~:朝比奈隆と大阪フィルハーモニー交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集3


第3集は第3番「英雄」が単独で収録されています。実はこの全集、こういった単独収録が多いんです。この「英雄」に限らず、おそらく有名曲はほぼ単独収録だったと思います。

さて、この第3番はそれほど朝比奈節全開かなと第1楽章を聴いただけでは思うんですが、それがだんだん朝比奈節全開になってきて、収録時間はなんと57分!ほぼ1時間です。たいていの演奏が多少ゆったり目のテンポだったとしても55分以内、大体50分前後で収録されているのに、この演奏はなんとほぼ1時間、なわけです。朝比奈節全開じゃなければここまでかかりません。

例えば、スウィトナー指揮シュターツカペレ・ベルリンの演奏は実はこの朝比奈隆指揮大フィルよりも第1楽章は時間かかっています。なのに総演奏時間は52分です。いかに朝比奈節が全開か、想像つくというものでしょう。

ですが、それがいかにも心地いい。勿論、総じてこの解釈に対しては私自身は好むものではありません。しかし、いやには全然感じないんですよね、不思議に。そこが朝比奈隆という指揮者の才能だと言ってもいいでしょう。勿論、大フィルの団員達の技術もあります。

これだけの芸術を、詰った人がいます。元大阪府知事にして、元大阪市長である橋下徹です。芸術というものがどのようにして成立しているかに無知であるにも関わらず、大フィルの団員達をなじったことは、永遠に負の遺産として語り継がれることでしょう。真に批判しなければいけなかったのは団員達ではなく事務局です。それを間違った橋下氏が、コスコカット程度しかできなかったのは自明の理でしょう。しかもそのコストカットにより、Covid-19の猛威に全く対応できなくなってしまっているのはもう滑稽としか言いようがありません。

大フィルの芸術が何たるかがわからないような知事がいる限り、大阪の悲劇は続くことでしょう。朝比奈隆の譜読みの深さも理解できない政治家は、退陣して当然であったと言えるのです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

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東京の図書館から~府中市立図書館~:朝比奈隆と大阪フィルハーモニー交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集2

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリである、朝比奈隆指揮大フィルによるベートーヴェン交響曲全集、今回はその第2集を取り上げます。

ゆっくりとしたテンポのいわゆる「朝比奈節」はこの第2集でも健在なんですが、ただ、目立たないのが特徴です。よく聴きますと、あ、ここ朝比奈節だとわかるんですが、そもそもテンポがそれほどこの二つ遅くないんです。むしろどっしりとしたという表現のほうがいいのかもしれません。

その意味では、第1集で朝比奈節を存分に楽しんだ人からすれば面喰う演奏かもしれません。時として朝比奈氏はこういう演奏をしたりするんです。この第2集では朝比奈節を捨てたりはしていませんが、ちょっと聴いただけでは捨ててしまっているようにすら聴こえます。

第2番と第8番という、ベートーヴェン交響曲では目立たない作品をカップリングさせ、そこに細かく朝比奈節を入れ込んであります。これは何度か聴いていると味わい深く、速いテンポのほうが好きな私でもこれは一本取られたな、と思うまさに名演です。

クラシック音楽を聴くうえで楽しいのは、こういった「一本取られたな」と思う瞬間も含みます。勿論自分が好きな解釈がドン!と出てきたときが一番うれしくて楽しいのですが、一方でこのように決して自分の好きな解釈ではないにもかかわらず、これは味わい深いわ、一本取られた!と思う演奏に出会える時もまた楽しいのです。それはつまり、決して自分の好きな解釈ではないにもかかわらず、いいなと思う瞬間だから、です。

これぞプロの仕事。そんなは当たり前だという人もいるかもしれませんが、これはなかなか難しいことなんですよ。それだけ演奏に説得力がないと無理なんですから。人間というものは嫌いなものへは徹底的に嫌悪しますので・・・・・感情の動物ですからね。にも拘わらずよいと思わせるわけです。それが素晴らしいものでなくて何でしょう?

こういう演奏を聴いていると、さすが朝比奈氏は譜読みが深いなあと実感します。ブルックナーのミサ曲のブックレットで朝比奈氏の譜読みの深さは知識として知ってはいましたが、それを実際に経験するには自分がよく聴いている、好きな作品を聴くのが一番です。しかし第九では意外とテンポが速かったりもするので、それ以外を聴いてみると・・・・・おお!これは意外、聴けている自分がいる!

そんな「説得力」の源こそ、深い譜読みだと言えるわけです。それなしに違う解釈が好きな人もいいと言わせる演奏が実現できるわけがないんです。それはそれだけいい演奏、説得力のある演奏を実現させるために朝比奈氏が譜面と向き合い、努力したからです。そして朝比奈氏を慕うオケの面々。朝比奈隆と大フィルという組み合わせでこそ、実現できた説得力だと言えるでしょう。

だからこそ、朝比奈氏が振る全集を借りてきたという側面もあります。いろんな全集を聴けば聴くほど、自分とは違う世界が広がっており、その分聴いた自分は豊かになると信じています。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第2番ニ長調作品36
交響曲第8番ヘ長調作品93
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

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東京の図書館から~府中市立図書館~:朝比奈隆と大阪フィルハーモニー交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集1

東京の図書館から、6回シリーズで府中市立図書館のライブラリである、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏によるベートーヴェン交響曲全集を取り上げます。

府中市立図書館はとにかく全集ものは豊富に取り揃えていますが、この朝比奈隆と大阪フィルーハーモニー交響楽団の演奏はベートーヴェンの全集だけでも2種類あり、さらにブラームス(これもいずれ取り上げます)もあるという充実ぶり。いやあ、我が国のクラシック・ファンはやっぱり朝比奈さん好きなのね、と思います。

朝比奈さんも好きなんでしょうが、そのテンポが好き、なんでしょうね、多分。それをうかがわせる演奏がいきなり第1集にあるなんて、もう濃ゆいとしか言いようがありません。

第1集には交響曲第1番と第4番が収録されています。番号順でないのがこの全集の特徴なのですが、では二つあるうちなぜこの全集を選んだのかと言えば、それは実は第九にあります。すでに持っているものなので・・・・・

そうなると、すでに持っている第九が収録されている全集が全部そろうので、この全集を選んだ、ということになります。もう一方は確か抜けているものがあるので選択をしなかったと思います。二つ持っていてもデータになるので別に問題はないんですが、もうラトルの時の苦労はこりごりです。それでも聴きたい!というのなら、止めませんから府中市立図書館で都下4市の市民の方であればぜひとも府中市立図書館で借りて聴いてみてください。

さて、いきなり朝比奈節全開!朝比奈氏と言えば、ゆったりとしたテンポが「朝比奈節」と言われるほど特徴なのですが、この第1番と第4番でも健在。むしろ「熟成」されているとすらいえるのではないでしょうか。特に朝比奈節を感じるのが第4番。40分ほどかかるその演奏は、私のようにクライバーやラトルが好きだと眠くなるくらいに遅い演奏です。とはいえ、大阪フィルハーモニー交響楽団(以下大フィルと称します)を存分に鳴らし、時としては残響を造らずバサッと音を切ったりもしています。それが結構心地よく、クライバーあたりと比べれば6分以上は遅い演奏も、しっかり聴かせるのですから、そりゃあファンはつくわな、と思います。

すでに朝比奈氏は故人なのですが、いまだにファンが多いのもそれが理由かもしれません。意外と朝比奈氏は録音となるといろいろ「仕掛」をする人で、時にはいわゆる「朝比奈節」を捨て去りすらします。この第1番と第4番の演奏では、朝比奈節はそのままで、随所に飽きさせない「仕掛」を作り、速いテンポになれた私でもしっかりと聴かせるのですから、はやり巨匠というべき人であったと言えるでしょう。

朝比奈氏のその「朝比奈節」と言われるテンポは、いうなれば19世紀~20世紀にかけての「大指揮者」たちの系譜を受け継ぐものです。特にこの録音の第4番の「遅さ」は、近年の快速演奏に異を唱えるものでもあると言えるでしょう。勿論、私としてはこの演奏よりはクライバーやラトルの方が好きです。なのですが、聴かせるんですよ、この演奏。説得力あるんです。プロ中のプロだと言っていい指揮者です。いや、昔は阪急の運転士だったんですけどね、朝比奈さん・・・・・

それは朝比奈氏が指揮者を目指した、戦中戦後の時期というものが背景にあると言えるでしょう。大指揮者たちが存命し活躍している時代です。指揮の手本はそういった「大指揮者」たちだったわけですから。20世紀の終わりに、快速演奏も出ている時代に、愚直にゆったりとしたテンポを取り続ける・・・・・それが朝比奈氏の「信念」ともいうべき音楽性だったわけです。その磨き続けた一つの到達点がこのアルバムだとすれば、それには聴きどころもあるというものです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第1番ハ長調作品21
交響曲第4番変ロ長調作品60
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。