かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バルトーク 組曲第1番と第2番

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はハンガリーの作曲家バルトークが作曲した組曲第1番と第2番を収録したアルバムをご紹介します。

ちょこちょここのブログで登場するバルトーク。実は結構好きな作曲家だったりします。バルトークが生きた時代は不協和音バリバリの和声がメインストリームでしたが、バルトーク自身は旋律線も調性も大切にした作曲家です。

その一方で、ドイツ的なものからは脱却し、ハンガリーらしさを民謡採集から追求したのもバルトークです。その時には甘い旋律はとても魅力的。なのでこれもヘビロテしてしまいます。

特に、この組曲第1番と第2番は、まだ後期ロマン派の影響が強い作風の時代ですが、その後民俗的音楽へと移行した後に校訂をしており、後期ロマン派と一刀両断するには複雑な音楽がそこにはあります。ゆえにその複雑さがまるで万華鏡のようにキラキラしており、たまりません。

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バルトークの作品を好むようになったのは、私は社会人になってから、しかもある程度年齢を重ねてから、です。バルトークは不協和音バリバリだと思い込んでいたのです。しかし実際のバルトークの音楽はそうではなく、むしろとても親しみやすい音楽です。その親しみやすさの中に、ひょいと内面性、精神性が紛れ込んでいます。そのピリリとしたアクセントがたまらなく好きです。

この組曲二つも、時期的にはまだバルトーク・スタイルが確立する前の後期ロマン派の香りがする作品であるにもかかわらず、泥の中に咲く蓮の花のように、泥臭さと美しさが同居する音楽です。こういう作品、本当に好きなんです、私・・・・・

指揮者は第1番がフェレンチクでハンガリー国立管、そして第2番がエルデーイ指揮ブタペスト響、録音年代はともに60年代半ばから後半と、ハンガリー動乱以降、西側でも評価されるようになるオケや指揮者により演奏されているのは皮肉のような気もしますが、実に生き生きとしているのも魅力的。歌う歌う歌いまくる!そもそも組曲ですから、バルトークはどこか舞曲として作曲している感覚があったと思いますし、実際に舞曲とみられる部分は随所にあります。それを反映した生命力ある演奏は、私自身の日本人としての「踊る感覚」を目覚めさせてくれます。

そんな演奏ができるオケや指揮者が、社会主義の中で出るわけがないと、祖国への埋葬を拒否したバルトークですが、この録音は実にステディかつカンタービレしており、どんな政治スタンスであろうがバルトークという作曲家がハンガリーの芸術家たちから尊敬を受けているかを良く表している録音だと思います。もう20年バルトークが生きていたら、一体どんなコメントを出しただろうかと思います。

 


聴いている音源
バルトーク・ベラ作曲
組曲第1番作品3、Sz.31
組曲第2番作品4、Sz.34
ヤーノシュ・フェレンチク指揮
ハンガリー国立管弦楽団(第1番)
ミクロ―シュ・エルデーイ指揮
ブタペスト交響楽団(第2番)

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