神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ルトスワフスキの管弦楽曲集を取り上げます。
ルトスワフスキ。何度かこのブログでもご紹介してはいますが、特にミニマム主義における「チェーン」で名高い人ではありますが・・・・・
普通の名前がついた作品も数多く作曲しているんです。それがこのアルバムの趣旨だといえるでしょう。ただ、音楽的にはチェーンのような感じではありますが・・・・・
不思議なのは、そこに人間性を感じることなんです。パルティータでは愉悦ですし、「ヴェネツィアン・ゲーム」では町の喧騒とそこにいる人間の孤独というか、小ささが表現されているのが魅力的です(そのため、この訳はあまりよくないと思います。ウィキの通り「ヴェネツィアの遊び」と訳するほうが適切だと思います。日本語表記でカタカナにするとまさしくゲームを想起してしまうので)。
それは、演奏しているオケの力量なのかもしれません。演奏するのはシンフォニア・ヴァルソヴィア。このオケ私は常に結構高評価でして、地味ながらもステディかつ優れた演奏を残すんです。そのため私のオキニのオケの一つです。もしウィーン・フィルとシンフォニア・ヴァルソヴィアどちらも来日しているとすれば迷うことなくシンフォニア・ヴァルソヴィアの方を選ぶでしょう。それだけの実力派です。
そういうオケじゃないと、ルトスワフスキの音楽は、人間の血が通ったものにならないんじゃないかって思います。つまり、ルトスワフスキは自身の作品を書くにあたって、結構オケの実力を信じて難しい作品を書いたんじゃないかって思うのです。とすれば、オケとしては自分たちの全力を賭して演奏する必要があると思います。しかしながら、シンフォニア・ヴァルソヴィアは涼しい顔して弾くんです、これ。」
おそらく、日本のオケだとこの手の作品の演奏がつまらないのは、内面性だとかいろいろ言われますが、作品にどれだけ全力を傾けて演奏するか、だと思います。とりあえずこんなところで・・・・・とかいうのは全く通用しないのがルトスワフスキの作品なのではないかって思います。だとすれば、単に生業としかしていないオケだと、つまらない演奏になるのは当たり前なのではないでしょうか。
その意味では、シンフォニア・ヴァルソヴィアと東京楽所には、共通する「魂」を感じざるを得ないのです。
聴いている音源
ヴィトルド・ルトスワフスキ作曲
弦楽のための序曲
葬送音楽
管弦楽のための「ヴェネティアン・ゲーム」
管弦楽のための間奏曲
クルツィゾフ・ヤコヴィッツ(ヴァイオリン、「ヴェネティアン・ゲーム」)
クリスティーナ・ボルチンスカ(ピアノ、「ヴェネティアン・ゲーム」)
ヴォイチェック・ミチニエフスキ指揮
シンフォニア・ヴァルソヴィア
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。