かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ラインケン 鍵盤楽器作品全集1

今月のお買いもの、今回からは平成28年6月に購入したものを御紹介します。今日は銀座山野楽器本店にて購入しました、ラインケンの鍵盤楽器作品全集です。

銀座山野楽器は最近、商品入れ替えに伴って放出する商品を格安でワゴン売りするコーナーを設けておりますが、このCDはそのワゴンコーナーで選択したものです。

実は以前から、このワゴンコーナーは狙っておりました・・・・・だって、本当に安いのですから。

このCDはブリリアント・クラシックスなのでもともと安い商品ですが、かといって新品で3枚組1500円(税抜)は安いです!ブリリアントは1枚が680円ですので、3枚なら確実に税込で2100円くらいいくのが通常ですから。

それが1500円、税こみでは1600円超える程度の値段で購入できるなんて、そうそうあることではありません。しかも、私が知らない作曲家で。

ラインケンという作曲家を知っている人は、恐らくピアノを弾いている人じゃないと知らないのではないでしょうか。弾いていても知っているかはわかりません。ネットで調べますと、鍵盤楽器であれば本来記述があるであろうピティナにはなく、ウィキしかありません。

ヨハン・アダム・ラインケン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%B3

ヨハン・セバスティアン・バッハを高く評価した人して音楽史では名を連ねていますが、そもそも、素晴らしい作品を残した人であったことが、この全集を聴きますと分かります。

それはこの一枚目ですでに全開です。1曲目はウィキの記述では、バレットと変奏曲 ホ短調。みごとな変奏が玉のような美しさと可愛らしさを持っている作品です。2曲目と3曲目はそれぞれ組曲。4つの楽章からなるその作品たちはどれもバッハへと繋がる様式を持っており、舞曲が周辺の音楽先進地域から北ドイツへともたらされていたことをはっきりと示すもので、バッハに引けを取りません。

4曲目がトッカータイ長調。以前はヨハン・セバスティアンの作品とされていた時期もあったようです(BWV Ahn.178)が、「バッハ事典」(東京書籍)を参照してみますと、該当番号がありませんので、現在はラインケンの作品として認定され、新バッハ全集からは抜かれているようです。これもまた、洗練された、可愛らしさも持つ作品です。

ここまでは、チェンバロの作品で、最後のコラール幻想曲「バビロンの流れのほとりで」はオルガン作品。22分ほどかかるその大きさの割には、旋律は耽美的で、実に魅力ある作品です。ロマン派ほどロマンティックではないですが、先取りしたかのような和声と音型は実に素晴らしいものです。バッハのような重厚さよりも、オルガンの多和声を自在に操って、一つの平和な世界を構築したような作品だと言えるでしょう。

演奏は実は全て一人の演奏家によって行われており、それはシモーネ・ステッラ。まさにバロックというべき才能を持った人だと思います。チェンバロでもオルガンでも、苦にすることなく楽譜にある世界を音として現出させ、一つの宇宙をその場に作り出しているのは誠に素晴らしいものです。で、これが世界標準であるわけですが、古楽演奏がポピュラーになるまでは一見低い評価が与えられていましたが、現在では再び二つの楽器を弾き分けるその才能が認められた時代だと言えます。

例えば、日本であれば鈴木雅明氏や、延原武春氏であったりするのですが、私がなぜこの二人を評価しているかと言えば、普通にオルガンもチェンバロも弾いて、自分の世界を作り出すからであり、それがピアノ以外の鍵盤奏者の世界標準であるからです。

ピアノという楽器は、発達したことで一つの専門職となりました。それだけ、高い表現力という技量が問われるからです。「神奈川県立図書館所蔵CD」のコーナーで現在取り上げているリストなどがそうで、ロマン派以降は、ピアノこそ鍵盤楽器であり、王道であるともされたことから、専門的な傾向は強まりました。

ですが、バロックでは独奏者が専門職であり、それは単独であろうが複数であろうが関係ありません。むしろ複数楽器ができることの方が当たり前であって、例えばモーツァルトはピアノだけではなく当然ですがチェンバロも弾けましたし、ヴァイオリンも弾けたことが分かっています。ベートーヴェンはピアノだけではなく、ヴァイオリンとヴィオラが弾けたのでした。その成果は、第九の第4楽章に出ています。

古典派までは当たり前だった、複数楽器を得意とする演奏家。この録音にはそれがごく当たり前のものとして収録されています。その妙味を味わうことができるのも、この全集の特徴であり、私もお勧めする所です。




聴いているCD
ヨハン・アダム・ラインケン作曲
バレットと変奏曲 ホ短調
組曲第7番ト長調
組曲第3番ホ短調
トッカータ イ長調
コラール幻想曲「バビロンの流れのほとりで」
シモーネ・ステッラ(チェンバロ、オルガン)
(Brilliant Classics 94606-1)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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