かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:シューマン ピアノ作品全集7

今月のお買いもの、平成26年6月に購入したシューマンのピアノ作品全集から、今回は第7集を取り上げます。

いよいよ、有名曲の登場です。第1曲目は、クライスレリアーナ

クライスレリアーナ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8A

シューマン : クライスレリアーナ
Schumann, Robert : Kreisleriana Op.16
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/343/

シューマンのピアノ作品と言えば、このクライスレリアーナを想起する人は多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人ですが、コアな読者の方であれば、あれ、かんちゃんさんはピアノ作品は初心者でしたよね?と思うことでしょう。

その通りです。ですから、この作品がどれだけシューマンの作品の中では異色かなんて、思いもしませんでした・・・・・

ただ、作曲家の有名曲って、異色であることがままあるんですよねー。このクライスレリアーナもそんな作品です。

ピティナのこの説明には、注目です。

「一つの大きな主題のもとに小品をまとめるスタイルはシューマンの得意としていた形式だが、『クライスレリアーナ』は変奏曲でも小品集でもなく、各曲それぞれの表現が自然と統一へとつながるやり方が見事に結実している作品の一つ。」

そう、本来シューマンが得意としていたスタイルではないんです。でも、本当に音楽は自然に流れ、シューマンの内的世界を私達に提示しています。違和感がないんです。

多分、この作品はシューマンが一つ壁を突き抜けた作品なんだろうと思います。クララとの結婚を反対されて、シューマンの「病状」であれば神経症状が出てもおかしくないときに、作曲において一つ異色の作品を作りあげたというのは、シューマンが徹底的に自分の内的世界と対話し、その結果生み出された作品であろうと思うからです。

実はクライスレリアーナの第1曲目は、とても激しい音楽で始まるのです。そして終りも。それだけ、シューマンの心の中は嵐だったと想像できます。恐らくそうした経験が、後に交響曲へと結実するのだとすれば、確かにクライスレリアーナは、シューマンを代表する作品だと言えます。確かに、最後の曲のSchnell und spielendの部分は、交響曲第1番「春」の旋律ですし、シューマンにとってこの作品が後々重要な作品となったのは想像に難くないでしょう。

音楽史上でシューマンの音楽の特徴としての「神経症的」という側面が、よく出ている作品だと言えます。それを単なる神経症とだけ発露するのではなく、もっと昇華させて、芸術の高みへと登ったのがこのクライスレリアーナだと言えます。

次の曲は、子供のための3つのソナタ作品118です。

シューマン : 子供のための3つのピアノ・ソナタ
Schumann, Robert : 3 Klavier-Sonaten für die Jugend Op.118
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/4178/

Jugendとありますから、日本語訳では若者のためのとしてもいいわけですが、実際にはシューマンが娘たちのために書いたものなので、子供とのためのという訳になっています。ただ、作曲年が1853年。シューマンとクララが結婚したのが1839年ですから、長女は青春時代であると言っても差し支えないわけで、Jugendという言葉にしたのは、シューマンの子どもに対する優しい視線が窺えます。実際、音楽も奇をてらったものではなく、形式的にも穏やかな作品群です。

これから思春期を迎えるであろう自分の子どもの情操教育に、とても優しい音楽を選んだシューマン。だからこそ、クライスレリアーナでは激しい音楽もある・・・・・・

その上で、作品118は、一つの作品にピアノソナタを3つ並べると言う、それはそれで奇をてらったことをしているのです。ピアノ・ソナタ自体も音楽的内容も、奇をてらってはいないのに、実はとても珍しい作品であるということは、注目すべき点だと思います。

その点で、この第7集の編集方針は、やはりシューマンの音楽の異質な点であろうと思います。しかしながらその異質さは、実は管弦楽の異様さを理解するために必要不可欠であるということを、私達に教えてくれているのです。

デムスのピアノは、時に優雅で、時に激しく、縦横無尽です。しなやかで、力強いその演奏は、実にこの第7集の音楽の特徴である「異様さ」を、明快に示してくれています。タッチが軽くても、音はしっかりとしていて、端正ながらも音楽から発せられるシューマンの内的世界が、聴き手にしっかりと伝わってきます。どの演奏もそうなのですが、これだけ端正でありながらも、作品が内包する激しさだったり優しさだったりが聴き手に伝わってくるのは、感動という言葉では足りないくらいです。




聴いているCD
ロベルト・シューマン作曲
クライスレリアーナ 作品16
子供のための3つのソナタ作品118
イェルグ・デムス(ピアノ)
(Arioso Ari107-7)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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