かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン弦楽四重奏曲全集20

神奈川県立図書館所蔵CDハイドン弦四全集の第20集は、エルデディ四重奏曲です。第2番である第77番から第4番である第79番までを収録しています。

まず、エルデディ第2番である第77番ですが、「皇帝」というニックネームがついています。これは第2楽章で当時ハイドンが作曲したオーストリア国歌「神よ、皇帝を護り給え」が使われているからです。ただ、これを聴いた方はこういわれるでしょう。

「うそでしょ、これはドイツ国歌でしょ?」

はい、ドイツ国歌です。つまり、現ドイツ連邦国歌は、かつてのオーストリア国歌であり、その作曲者はハイドンである、ということなのです。これはハイドンがイギリスでことあるごとに市民が国歌を歌っていたことに感動して、オーストリアでも作ろうと尽力した結果です。こういう「努力すること」も、昔はよく教えていたのですけどね・・・・・なぜ最近はそれが抜け落ちたのでしょう?

ハイドンモーツァルトも、その作品は努力の結果です。特にモーツァルトはその天才ぶりばかりがクローズアップされていますが、いやいや宗教曲ではとても努力しています。

第77番は本当にすべての楽章が素晴らしいのですが、私は敢えてその「神よ皇帝を守り給え」が使われている第2楽章をクローズアップしたいと思います。なぜなら、この楽章はのちにベートーヴェン弦楽四重奏曲でも使う「変奏曲」となっているからです。まず、主題のオーストリア国歌が提示され、それが変奏曲となって第2楽章を彩っていきます。それがとても気品あり、気高さを持ちながら温かいという、熟練の音楽を聞かせてくれます。

軽妙さはもうありません。時代がそうさせたのかもしれませんが、ハイドンを支持する人たちが変化していることも重要でしょう。すでにエステルハージ侯爵はなくなり、そのせいで一度イギリスへわたり、そしてまた帰ってきて新たなパトロンが見つかるという中で作曲されたこのエルデディ四重奏曲は、また市民革命という時代の転換期という側面も考える必要があるでしょう。

第78番は「日ノ出」とう標題がついていますが、これは絶妙だなあと思います。すがすがしさと温かさが同居するこの作品も、気高さを持っています。特にその標題をつけるきっかけとなった第1楽章の第1主題が素晴らしく、まさしくハイドンの傑作と言っていいかと思います。

第79番は「ラルゴ」という標題がついています。これはこんどは第2楽章の美しさからこう言われています。その「ラルゴ」は緩徐楽章なのにソナタ形式となっていて、それが単なるゆったり感だけでなく、気高さをも保持しているのがとても印象的で、ここでハイドンの音楽は突き抜けたと私は思います。

エルデディがなぜ素晴らしいと言われるのかは、やはり聴いてみないとわからないという気がします。確かに、他よりは突き抜けています。しかしかといってこれくらいしかというのはどうなのでしょうか?少なくとも私は昨日もあげました「ハイドン研究室http://www.masque-music.com/haydn/index.htm」のほうを推薦したいと思います。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
エルデーディ四重奏曲作品76 第2集
弦楽四重奏曲第77番ハ長調作品76-3 Hob.III.77「皇帝」(エルデーディ四重奏曲第3番)
弦楽四重奏曲第78番変ロ長調作品76-4 Hob.III.78「日の出」(エルデーディ四重奏曲第4番)
弦楽四重奏曲第79番ニ長調作品76-5 Hob.III.79「ラルゴ」(エルデーディ四重奏曲第5番)
エオリアン弦楽四重奏団



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