今回の友人提供音源は、諏訪内晶子さんとベレゾフスキのピアノとヴァイオリンの演奏です。曲目は、ベートーヴェンのクロイツェルソナタ、バルトークのヴァイオリンソナタ第1番、シマノフスキの神話から第1楽章、そしてヴィエニャフスキのスケルツォ・タランテラです。
ベートーヴェンならともかく、バルトーク、そしてシマノフスキという名前が並ぶところがこの方の特徴です。それにしても、今聴きましてもバルトークはなれませんね^^;
バルトークの世界観と音楽がすばらしいのはわかっても、そこに何かが足りないのです。自分の心に響く何かが。
それが、ベートーヴェンなら明快です。わかりやすい音楽というだけでは説明がつかない、心に響いてくるものがあるのです。
これが、私は特に現代音楽がユーザーから音楽を遠ざけてしまったひとつの理由なのではないかという気がします。一方で、宗教音楽ではほぼ同じ時期で例えばプーランクなどはもっと血の通った音楽を書きます。
自分の世界を表現するだけで終わってしまう・・・・・そんな気がするのです。
いや、それを否定するものではありません。ある意味、私だってそういう部分はありますし(思いっきり全開という話も)、人間誰でもそんな部分を持つものです。しかし、バルトークは音楽で顕著なように思います。音楽的にすばらしいのが唯一聴き続けられる理由だと、自分では思っています。
バルトークほど何となくわからないと思ってきた作曲家はいません(まだ、シベリウスのほうがわかるような感じです)。私としては同郷の作曲家ではコダーイの方がすきなのです。コダーイは管弦楽曲ではメロディラインがしっかりとしている作品を残していますが、合唱曲になりますととたんに現代曲になります。しかしそれは、とても温かみがある作風です。
その点で、私は何となくバルトークが好きになれません。つまり、共感できないのです。このあたりは少しずつ聴いてゆくしかないでしょうね。
音楽のすばらしさを追求したあまり、ベートーヴェンと比べると・・・・・とどうしてもかんがえてしまいます。勿論、比べても詮無いことではありますが、これは編集としてはあまりよくなかったのでは?という気がします。あまりにもプロ向きすぎという気がします。
ただ、このヴァイオリンソナタはとても聴きやすい部分も持っていて、バルトークの違った一面を聴かせてくれますね。こういう作品と出会うことが、自分のクラシックの視野が広がるためにはとても重要だと思います。それでも、私もいただいた時には全く省みなかった作品です。興味があったのはベートーヴェンだけだったと思います。
私の流儀は、一度でわからなければ遠回りをせよ、です。それは自分で何かが足りないことですから、いきなりバルトークを聴いたからといってそれを埋めることはできません。そこに至るための時間と学習がどうしても必要で、そのためには回り道をせざるを得ない、そう思います。ですので、今まではバルトークは徹底的に避けてきました。せいぜい後は弦チェレとヴァイオリン協奏曲を聴いたくらいです。
ですがようやく、そのときが来ようとしている気がします。そのために必要だったものがちょっと多すぎるような・・・・・まあ、無駄ではありませんが。
シマノフスキのほうが人間的なものが感じられますね。音楽的にはもっと現代音楽の特徴である無調音楽なのですが、ところどころいい感じでメロディラインがしっかりとした部分があり、人間のドグマを感じます。題は「神話」ですが、何となくそれは神の世界だけではないような気がします。これは全曲聴きたいと思いますね。
最後のヴィエニャフスキ。お初の作曲家なのですがこれがまたメロディラインがすばらしくしっかりとしています。ネット上では作曲家の解説がないのですが、ヴァイオリン奏者の中では有名な方らしく、この人はもっと聴きたいと思いますね。こういう作曲家と出会うことが、また人生を変えてゆくのです。
クラシックを聴くということは、このような気づきの連続であると私は思います。
聴いている音源
ベートーヴェン作曲
ヴァイオリンソナタ第10番作品47「クロイツェル」
バルトーク作曲
ヴァイオリンソナタ第1番作品21
シマノフスキ作曲
神話作品30から、アルトゥーゼの泉
ヴィエニャフスキ作曲
スケルツォ・タランテラ
※友人提供のCD-R、非売品
※「クロイツェル」は9番なのですが、ここではCDの表記そのままに掲載しました。