かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:イベール ピアノ作品集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はイベールのピアノ作品を収録したアルバムをとりあげます。

イベールと言えば、「寄港地」などの管弦楽作品で特に有名ですが、ピアノ曲もこれまた数多く作曲している人でもあります。

ja.wikipedia.org

とはいえ、我が国のコンサート・ピースあるいはリサイタル・ピースで採用されることは少ないのが現状ではないでしょうか。フランス六人組の影響も受けつつ、まさに20世紀音楽にふさわしい和声を使った作品は、ドビュッシーとはまた違った世界を紡ぎだしており、魅力的です。

収録されている作品が多いので個別に解説することは長くなりますので避けますが、ピアノ曲の中でもおそらく最も有名な「物語」は1917年と、かなり早い時代の作品。ピアノ独奏だけではなく、フルートソナタとしても演奏できるようになっています。

いずれにしても、どの時代の作品であっても作風に差がみられないのも、イベールの作品の特徴だろうと思います。むしろ初期の作風が深くなっていく感じで、どれをとっても味わい深く楽しい作品が並んでいます。

むしろ、私は管弦楽作品よりはずっとこのピアノ曲のほうがイベールの作品に親しみが持てるように思います。時折見せるかわいらしさ、それが意味するであろう繊細さ・・・・・イベールの作品が持つ生命を感じて、これまた楽しい!

演奏するのは、ハエ=ウォン・チャン。確かこのアルバムはナクソスだったと思うのですが、本当にこういう優れた才能を発掘する力というのは、ナクソスは素晴らしいと思います。力任せではなくとても繊細なタッチから紡ぎだされる世界に思わず引き込まれていきますし、またその一つ一つのストーリーが味わい深く弾いていきます。いやあ、私好みです、これ。

そもそもイベールピアノ曲なんてめったに聴く機会なんてないはずなんです。けれどもそれは長い友人であるかのようにそこにあるように弾くんです。しかもそれが嫌味じゃない。その表現力は素晴らしいの一言です。こういう才能をどうやってナクソスは発掘するんだろうって思います。一度機会があれば担当者に訊いてみたいものです。

 


聴いている音源
ジャック・イベール作曲
①スケルツェット
②ロマンティックな小品
③アルベール・ルーセルの名によるトッカータ
④小人国の村のいたずらっ子
⑤フランス風に:ピアノのためのギター曲
⑥廃墟を渡る風
組曲
前奏曲
⑧ロンド
⑨陽気なブドウ栽培者
⑩星の下の子守唄
⑪のんきな騎士
⑫パレード
⑬橇乗り
⑭ロマンス
⑮カドリール
⑯水の上のセレナード
⑰ミシン
⑱さよなら
⑲クロッカス
⑳初めての舞踏会
㉑御者の踊り
物語
㉒金の亀を使う女
㉓白い小さなろば
㉔年老いた乞食
㉕おてんば娘
㉖悲しみの家で
㉗廃墟の宮殿
㉘机の下で
㉙水晶の龍
㉚水売り女
バルキス王女の行列
めぐり逢い
㉜花売りの少女
クレオール
㉞かわいい少女
㉟羊飼い
㊱おしゃべり屋
ハエ=ウォン・チャン(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。