かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:アラウが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集7

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介しています。シリーズでお届けしているクラウディオ・アラウが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の第7集です。

第7集には、第19番~第22番と第25番の5曲が収録されています。実際には第4番あたりと同じくらいに作曲された第19番と第20番の作品49がまとめられ、そのほかにワルトシュタイン、そして22番と25番と並びますと、アラウの一つの「目」というものもおぼろげながら見えてくるのかなと思います。

例えば、第19番と第20番は、本来第20番、第19番の順に弾けば一つのソナタになると言われている作品ですが、アラウはあえて番号順に弾いていきます。それでも不自然さがないことが、アラウの歌う演奏だと如実に現れます。そこにベートーヴェンの新しさや、茶目っ気を見るような気がしてなりませんし、アラウもそう言っているかのように聴こえるから不思議です。

第21番「ワルトシュタイン」はつい第1主題を駆け抜けてしまいがちですが、アラウはじっくり弾くのです。そのゆったりさが誠に自然!むしろ、アラウのように弾いたほうがワルトシュタインはいいのでは?と思わんばかりです。

アラウとしては、自分のスタイルを貫いているだけだとは思いますが、それでも強迫的な演奏もこの全集では見られる中で、まったく強迫的なものがないというのは一つのメッセージなのかもと思います。私はこれらの作品に関しては愛し合い、じっくり弾きたいんだ、というような。

特にワルトシュタインは、私は思わず「そう、これ!」って叫びました。どこか強迫的なワルトシュタインに違和感を感じていたんです。けれどもアラウはじっくり弾いてくれる。それが私の魂に完全にフィットしたんです。何度聴いていても幸せです(#^.^#)

この第7集だけ取り上げても、この全集は素晴らしい金字塔だと思います。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第19番ト短調作品49-1
ピアノ・ソナタ第20番ト長調作品49-2
ピアノ・ソナタ第21番ハ長調作品53「ワルトシュタイン」
ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調作品54
ピアノ・ソナタ第25番ト長調作品79
クラウディオ・アラウ(ピアノ)

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