かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:バッハ オルガン・コラール1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介します。バッハのオルガン・コラールを収録したアルバムを御紹介します。

コラールと言えば、私たちは合唱を思い出すわけなのですが・・・・・・え、この国はオケ優先じゃなかったのか?

そうなんです、ここがおかしな部分で、本来はキリスト教音楽は合唱こそ主なんです。しかし、その伝統を打ち破る画期的な作品だったのが、バッハのオルガン・コラールなのです。

その筆頭として、このアルバムではまず1枚目にシュープラーコラール集を持ってきているわけなんです。

シュープラー・コラール集
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AB%E9%9B%86

たんにオルガン・コラールを集めたものにすぎませんが、出版社が音楽の捧げものを出版したシュープラーだったことから名づけられたもので、出版は1748年頃と言われています。

では、この作品のどこが革新的だったのかと言えば、教会カンタータで使われたコラールを、オルガン独奏へと編曲したこと、なのです。え、そんなこと普通じゃないの?って思われるかもしれません。

しかし、声楽が聖なるものとされた時代に、その声楽を器楽へと編曲することは、とても勇気がいることだったのです。バッハはその偉大な仕事を成し遂げたと言えるでしょう。これはわたしの推測の域を出ませんが、バッハは敢えて成立をぼやかしたと思っています。そうじゃないと教会からにらまれる可能性があったからです。

つまり、このシュープラーコラール集は、バッハが後世の作曲家達に託した遺産だと言えます。声楽を器楽で表現する・・・・・それは声楽と器楽を同列に置くことであり、どちらが主で従かなどは、バッハにとって関係ないことであったでしょう。それは後世、ベートーヴェンソナタにおいて、二つの楽器を対等に置くとか、協奏曲に置いて独奏楽器とオケと対等に置くとかにつながっていったと思います。

シュープラーコラール集と逆の成立過程を経たのが、2曲目で、実は2枚目へと続く「18のコラール集」です。元々はオルガン作品だったものを、オルガンと声楽のための作品へと仕上げました。

この二つは、バッハが明らかに声楽が上で楽器が従などというヒエラルヒーを打ち壊そうという意思に満ちあふれていると思います。確かにバロック故の編曲なのですが、バッハはとても柔軟な思考の持ち主だったことが良く分かります。だからこそ、バロックという作曲家が必ずしも自立していない時代に、個性的な作品を多くのこすことができたのだろうと思います。

演奏するは、特にコモンウェルスを中心に活躍するオルガニスト、ピーター・ハーフォード。声楽のオールバン・シンガーズについては解説がないんですが、CDのブックレットを書き写していないのでそちらにあった可能性がありますが、ハーフォードとの関係はわかりません。ハーフォードのオルガンは自在で、圧倒的であるかと思えば、特にシュープラーコラールでは可憐で優しさに満ちています。合唱も伸びやかかつしなやかで、いずれにしても、つい体が動いてしまいます。

こういった「リズム感」って大切だと思います。恐らく、オルガンを聴いて抑圧的に感じてしまう演奏は、そのリズム感がないんだと思います。それは果たして、人間として神に対して尊敬の念を持っているのかと問うべきものだと思います。ハーフォードの演奏にはそういった機械的なものがなく、常に人間としての血の通った暖か味があり、その一人の人間としての神への賛美が貫かれています。だからこそ、決してキリスト教徒ではない私ですら、心を揺さぶられ、つい体が動いてしまいます。

人間には心臓があり、その心臓はある一定のリズムで動いています。機械ですら、リズムがある訳なんです。それはとても人間的だとも言えます(例えば、蒸気機関車がそうです)。ましてや心臓がある人間をや、です。そういったリズム感がどれだけ乗れるものなのかは、演奏を評価するうえで一つの重要な要素だと思います。まずは1枚目は、喜びに満ちあふれた素晴らしいものだと言えるでしょう。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
シューブラ―コラール集
第1曲:目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声 BWV645
第2曲:われらはいずこにか逃れゆくべき BWV646
第3曲:尊き御神の統べしらすままにまつろい BWV647
第4曲:わがこころは主をあがめ BWV648
第5曲:ああ、われらとともに留りたまえ、主イエス・キリストよ BWV649
第6曲:イエスよ、汝いまぞ御空より下りたまい BWV650
18のコラール集
第1曲:来ませ、聖霊、主なる神 BWV651
第2曲:来ませ、聖霊、主なる神 BWV652
第3曲:バビロンの流れのほとりに BWV653b
第4曲:装いせよ、おお、わが魂よ BWV654
第5曲:主イエス・キリストよ、われらを顧みて BWV655
第6曲:おお、神の子羊、罪なくして BWV656
ピーター・ハーフォード指揮、オルガン
オールバン・シンガーズ

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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