神奈川県立図書館ライブラリ、前回よりルドルフ・ケンぺ指揮ミュンヘン・フィルのベートーヴェン交響曲全集を取り上げています。今回はその第2回目。第2集に収録されている第2番と第4番を取り上げます。
この第2番と第4番というカップリングは、単一のアルバムでもよくあるものではありますが、ともにベートーヴェンの9つの交響曲のうちで比較的人気のない作品が並んでいることでもあります。しかし、よくよく聴きますとこの二つの作品はとても味わい深いものです。
私はそのことを、ヴァントの全集からのもので知ったのですが、このケンぺのものでも、同様に教えてくれています。
まあ、はっきり言ってしまうと、ヴァントとこのケンぺとでは、それほど差があるわけではありません。どちらでも選んでいただいていもいいと思います。特に第4番はヴァント同様端正で美しさを追求したものとなっています。それほど奇をてらったものでもありません。
ですが、第1集の第1番の快速ぶりとは打って変わって、ステディで端正な演奏であることこそ、特筆すべきことだと思います。これこそ、全集を聴く醍醐味なのです。
全集というものは、人によってはその作曲家の一ジャンルの全貌を知るきっかけでもありますし、また人によってはすでに知った作曲家の一ジャンルではあるが、演奏上どのような個性が存在するのかをドキドキしながら聴くというものでもありましょう。そう、人によってさまざまな楽しみがあるのが、全集のいい点であろうと思います。
確かに、全集はリスクもある商品です。もし、自分が気に入らなければ、それなりの値段がする全集はもったいないものになってしまいかねません(まあ、ディスクユニオンに売ればいいから、という考え方もありますがー)。私はその視点からも、図書館で借りたわけなのですが、これなら買っても良かったかもなあ、と思うのが実はこの第2集の存在でもあるのです。
第1集と第2集がそれぞれ色付けが異なることも面白みですし、またそれが全く違和感がないのもまた演奏の素晴らしさだと言えましょう。微妙なテンポ感なのですが、そこがなぜかケンぺはゆったりと感じさせず、カラヤンを聴き慣れた人でさえも恐らくはうなってしまうだろうという説得力を持つのです。
しっかりと一音一音が演奏されているにもかかわらず、テンポ感は快速と感じますが、しかし第1集ほどでは決してないのです。端正さが前面に出ているのです。けれども、もう一度繰り返してしまいますが快速と感じてしまう部分も多々あるのです。そこがこの演奏の不思議な魅力です。
こういう演奏を聴くと、知人から「宝物ですよ」と言われたのが、納得できるのです。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第2番ニ長調作品36
交響曲第4番変ロ長調作品60
ルドルフ・ケンぺ指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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