今月のお買いもの、4つ目はシューベルトの交響曲全集の第4集です。第9番(第8番)「グレート」と第6番です。
この全集で第4集がこのカップリングになっているのは、ともに主調がハ長調であるためです。ただ、それゆえに第9番は第1楽章だけが第3集に収められるということに・・・・・
ですので、今回は第3集の第9番第1楽章も含めて、第4集として御紹介することとします。
どちらも主調がハ長調というのはとても興味深いと思います。ベートーヴェンも交響曲で主調がハ長調というのは第1番だけで、その後残していません。にも関わらずシューベルトはハ長調の交響曲を複数残したわけです。
交響曲第8番 (シューベルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC8%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88)
交響曲第6番 (シューベルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88)
第6番ではベートーヴェンやロッシーニの影響とありますが、特に第6番はロッシーニ風な点も散見されます。しかしここでも、形式面では他の作曲家の影響をかんがえざるを得ません。注目点は、もちろん主調であるハ長調です。
上記でハ長調の交響曲はベートーヴェンも一つしか残さなかったと述べました。なのにシューベルトが二つ残した理由、それは範とした作曲家にモーツァルトとハイドンがいたから、そしてそれこそがベートーヴェンの影響であるということです。
モーツァルトもハイドンも、ハ長調の交響曲を複数生み出しています。かつてハ長調は聖なる調であるがゆえに主にミサ曲でよく使われる調ですと述べたことがありますが、その調性をシューベルトはベートーヴェン以上に使っているという事実に、私は驚きを禁じ得ません。
ベートーヴェンも交響曲においてはハイドンの影響下にあると言ってもいいはずなのに、ハ長調の交響曲は初めの第1番だけです。これをいったいどう理解すればいいのか・・・・・これは今後の課題だと思います。
少なくとも、この主調の問題から見えることは、シューベルトの交響曲は以前から言われるようにベートーヴェンの影響というものは受けているが、その中には「モーツァルトやハイドンに範をとる」という点も含まれるということです。それはこの第9番や第6番でも顕著です。
これを知るには、やはり全集が欠かせません。そしてこれは何もムーティ/ウィーン・フィルでなくても本来はわかる話なのですが、あまり解説で言及されている方が少ないように思います。
今回、輸入盤で解説なしに自分の耳と知性を頼りに解析してみると、ベートーヴェンの影から偉大な別の作曲家の影が出てきたのには驚きと、幸せを感じています。こういった「知的満足」こそ、クラシックを聴く楽しみ、喜びであるからです。
もしかするとそれを期待して、あえてこの全集は番号順ではないのだとしたら、こんな編集は大いにアリだ!と思います。
聴いているCD
フランツ・シューベルト作曲
交響曲第9番ハ長調D944「ザ・グレート」
交響曲第6番ハ長調D589
リッカルド・ムーティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(Brilliant Classics 92778/4)
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