かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ウェーバー交響曲第1番・第2番

今日も事情により、エントリを二つ連続で上げることといたします。

今回の神奈川県立図書館所蔵CDは、ウェーバー交響曲二つを取り上げます。サヴァリッシュ指揮、バイエルン放送交響楽団です。

ウェーバーは前期ロマン派の作曲家で、一番有名なのが歌劇「魔弾の射手」序曲や協奏曲といった分野です。

カール・マリア・フォン・ウェーバー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC

以前、ウェーバーはいろんな曲を追いかけていきたいと発言したことがありましたが、それを実現させたのがこの音源なのです。皆様はウェーバー交響曲って、どんなイメージがありますか?

彼も交響曲を2つ作曲しているのですが、我が国ではさほど有名ではありません。第2番に至ってはほとんど演奏されないので当然かも知れませんが・・・・・

この音源は事実上、ウェーバー交響曲全集という側面がある、とても素晴らしいものです。国内盤ではなく輸入盤だったと記憶しています。

2曲とも1806年〜1807年に作曲されています。この年代に驚かずにいられません。ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」や第4番を作曲したのと同じ時期だからです。

まず、06年に作曲された第1番ですが、モーツァルトの「パリ」交響曲を参考に作曲されたとある通り、確かにモーツァルトの香がする曲ですが、実際にはかなりロマンティックです。

交響曲第1番 (ウェーバー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC)

作品番号が一度振られて後に削除されていますが、それはウェーバーが改訂したいという想いを持っていたからかもしれませんが、定かではありません。ただ、確かに第1番は聴いていて和音進行が不自然な点もあります。

そういった部分に不満を持っていたのかもしれませんが、全体としてはモーツァルトがロマン派の衣をまとったような音楽でもあるのです。そういえば、モーツァルトの妻コンスタンツェはウェーバーの父方の従姉に当たる関係です。ベートーヴェンではなくモーツァルトに目を向けたのは当然と言えるかもしれません。

そのためか、同時代のベートーヴェンと比べますと、音楽自体がとても豊潤です。気高さはさほどありませんが気品に満ち、華麗です。

それは第2番になりますとさらに顕著です。構成的には明らかに古典派らしい頭でっかち、つまり第1楽章重視の作品ですが、音楽は完全にロマンティックなものとなります。

交響曲第2番 (ウェーバー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC)

1807年に作曲され、ハイドンに範をとって作曲されたとありますが、それでも音楽はロマン派です。第3楽章が第1番と違い完全なスケルツォではない点がハイドンに範とったというそれですが、音楽を聴きますとおどかれるでしょう、これのどこがハイドンなの?と。ロマン派じゃないのと思われるかと思います。

しかし、こういった意見もあるかと思います。では、ウェーバー交響曲は中途半端ではないのか?なぜ聴くのか、と。その意味は、ウェーバーを聴くことによって、ベートーヴェンという作曲家の音楽史における位置を確認するためといえるでしょう。

ウェーバーが1826年に亡くなっていることに注目してください。それでも彼はロマン派の作曲家と言われます。一方ベートーヴェンが亡くなったのはその翌年です。でも、ベートーヴェンは基本古典派と言われ、ちょうど古典派とロマン派の橋渡しをした作曲家だと言われます。

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3

その意味が、ウェーバーを聴くとはっきりとわかるわけなのです。そう、ベートーヴェン音楽史における位置を理解するためには、同時代のウェーバーの音楽を聴かないと本当の意味は分からないのです。故にウェーバーに興味を持っているというわけなのです。

サヴァリッシュは正々堂々と、ウェーバーの音楽をオケに演奏させています。そのためか、ウェーバーの音楽が素直に心に入ってきます。こういった点はサヴァリッシュの素晴らしい点だと思います。音楽を積み上げていくその指揮ぶりは、端正ながらこのウェーバーではドラマティックでさえあります。それはそもそもウェーバーの音楽が持っている劇的な部分をはっきりと浮かび上がらせます。

こういった作品に目を向けるのは、さすが本場だと思います。思わずうならずにはいられません。そしてウェーバーの才能を再確認視させてくれる上に、ベートーヴェンという作曲家を理解する一助ともなっています。



聴いている音源
カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲
交響曲第1番ハ長調
交響曲第2番ハ長調
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮
バイエルン放送交響楽団



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