かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:チェレプニン ピアノ協奏曲全集2

今月のお買いもの、5枚目はチェレプニンのピアノ協奏曲全集の2枚目です。第4番から第6番が収録されています。

チェレプニンという人がどんな人なのか、もう一度ウィキを再掲しておきます。

アレクサンドル・チェレプニン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%83%97%E3%83%8B%E3%83%B3

保守的な学校であるサンクトペテルブルク音楽院に学んだということが、この2枚目に収録されている作品には色濃く出ています。というのも、第4番から第6番までの作品はすべて3楽章制ととり、かつ第1楽章に重きを置くという、古典派の伝統に構成的には回帰しているからです。

つまり、彼の作風を第1番から第3番までだけで判断してはならないということなのです。では、彼の作風とは?と言えば、それはまさしく、「チェレプニン音階」を使った、民謡風の旋律にほかならないのです。

第4番は1947年にアメリカで作曲された作品です。つまりは、戦後です。かつ、第3番からはなんと16年もあとの作品ですが、3楽章制で急〜緩〜急の構成で、かつ重点が第1楽章におかれているという点も古典派的です。しかし、ソナタ形式がないという点で、それ以前の西洋音楽とは一線を画しています。それぞれの楽章には標題がついており、そのためこの曲は「幻想曲」とも言われます。

第5番は1963年にベルリン音楽祭からの委嘱によりスイスで作曲された作品です。また、続く第6番は2年後の1965年に作曲された作品です。むしろこの2曲こそ、チェレプニンの作風をより色濃く反映している作品ではないかと思います。東洋的あるいはロシア的様々なものが入り混じり、若くして国を離れる立場となった彼の「ナショナルであるがゆえのインターナショナル」というコスモポリタン的な作風を聴き取ることが出来ます。

こう全体を見てきますと、チェレプニンのピアノ協奏曲は第1番から第3番までと、第4番から第6番までとで明らかに作風に違いがあることが分かります。それは明らかに1933年から始めた民謡の収集が影響しています。特に日本や中国に滞在したことがポイントだと思います。第4番では特に日本の旋律が第1楽章から使われていたりと、東洋への傾倒が見られるからです。

その萌芽は第3番ですでにエジプト風の旋律を使用したことでありましたが、2楽章という当時はやっていた形式無視の風潮に乗っかったものにすぎません。しかし、第4番以降はソナタ形式を用いていないだけで構成的には古典派以来の伝統に基づきながら、旋律は不協和音を多用して東洋的な香りをかもし出すという、彼独特の路線を切り開いています。その点こそがチェレプニンだと言えましょう。

つまり、彼にとって楽章構成というものは実はそれほど重要なものではなかったと言えるでしょう。やはり彼独特の旋律を音楽で実現することが命題であって、形式や構成を守る、あるいは破壊するということには全く頓着しないということなのです。

伊福部昭に語った次の言葉は、それが反映されてのことだと言えましょう。

「ナショナルである事こそがインターナショナルである」

それを実践してみせたのが、第4番から第6番までの作品と言えるかと思います。

このアルバムでは、演奏者がすべて東洋人であるという点が注目点ですが、まるで自分たちの音楽であるかのようにのびのびと演奏しているのが印象的です。アンサンブルの素晴らしさはもちろん、しなやかさと力強さを兼ね備える表現力。東南アジアのオケだからなどとは決して言えません。もちろんピアニストの小川女史も素晴らしい演奏です。

もうすこし私たちはチェレプニンの作品というものに感謝し、誇りを持ってもいいのではないかと思います。そして、日本の演奏家ならチェレプニンだね!と、西洋の方々に評価されようではありませんか!



聴いているCD
アレクサンドル・チェレプニン作曲
ピアノ協奏曲第4番(幻想曲)作品78
ピアノ協奏曲第5番作品96
ピアノ協奏曲第6番作品99
小川典子(ピアノ)
ラン・シュイ指揮
シンガポール交響楽団
(Brilliant Classics 9232/2)



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。