神奈川県立図書館所蔵CD、今回もまた第九を取り上げます。ヨッフム指揮、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団他です。
この演奏は、以下のエントリを上げた時にご紹介したCDを購入した時、棚に並んでいたものでもあり、実に懐かしく、また当時どちらを購入するか悩んだ一枚だったのです。
マイ・コレクション:ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/255
上記エントリのハイティンクの指揮も名盤の誉れ高い演奏ですが、それよりもさらに名声が高いのがこのヨッフムの指揮です。ですから、一度聴いてみたいという思いはずいぶん前からありました。しかし、いつの間にかヨッフムのものはどこの店からも姿を消しました・・・・・
ところが、神奈川県立図書館にはあるじゃないですか!これを借りないわけにはいきません!
全体としては端正でよくまとまっている素晴らしい演奏だと思います。1969年の録音ですが、最初の冒頭部を限りなく小さく演奏し、それを限りなく小さい音で再生できるように録音されているのは素晴らしいと思います。エンジニアがスコアと格闘しているのが目に浮かびます。
しかし、私はこの演奏を高く評価するだけでなく、いわゆる「爆演」と判断もしています。全体的には端整なこの演奏のどこが爆演なのか・・・・・
それは、毎度私が言及する、vor Gott!の部分にあります。伸ばしている部分、ここでヨッフムはGott!のフェルマータの前のvorについている二分音符を一つと数え、それを基準としてGott!を七拍伸ばしているからです。
以前から申していますが、この部分は「六拍伸ばす」のです。その数え方はいろんな解釈がありますが、ふつうはvorの二分音符を一つと数え、それを六拍伸ばします(ですから、前回のシューリヒトもじつは爆演だと言えます)。思わず一拍長くしてしまったのだと思います。ただ、それがこの演奏が演奏者を熱くしているという証拠でもあるだろうと私は考えています。
ここまで取り上げた演奏はすべて合唱団が秀逸です。特に、第四楽章最後、「抱きあえ、いく百万の人々よ!」の部分は日本の合唱団は「歌って」しまうんですが、海外の合唱団は特段指示がない限り「しゃべる」のです。これについてはまた詳しく言及したいと思いますが、こういった点は本当にこのような古い演奏を聴きますとほれぼれします(いや、古い演奏に限りませんが)。
合唱団自体はハイティンクの指揮のものに比べこちらの方が秀逸だと思います。放送合唱団はどこも本当に実力があると思います。恐らく露出度が高いからなのでしょう。放送というのは電波によって簡単に国境を越えます。国内向けれあろうともそれはヨーロッパでは海外でも聴けることを意味します。そういった緊張感が常にあるのだと思います。実際、ヨッフムの「爆演」にオケともどもよくついて行っています。
オケもただ端整という一言で済ませない演奏をしています。ティンパニを常に鋭く演奏するなどは、ヨッフムの指示でしょうが素晴らしいです。金管のアンサンブルも特筆すべき点です。
今なら私は「ハイティンクよりも、ヨッフムのほうがいいのでは?」と言うかと思います。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」
リーゼロッテ・レブマン(ソプラノ)
アンナ・レイノルズ(コントラルト)
アントン・デ・リッダー(テノール)
ゲルト・フェルドホフ(バス)
オランダ放送合唱団
オイゲン・ヨッフム指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
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