かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク弦楽四重奏曲全集4

神奈川県立図書館所蔵CD、今回はドヴォルザーク弦楽四重奏曲全集の第4集を取り上げます。収録曲は第4番と第5番です。

第4番はワーグナーの影響が強いと言われていますが、確かに第1楽章冒頭などはそういった点が色濃く出ていると思います。しかし、全体としては私はやはり旋律構成ともにベートーヴェンの影響を色濃く反映している作品であると思っています。特に、ベートーヴェン後期の弦楽四重奏曲に。

例えば、第14番などの楽章が連続し(そして、この第4番も第2楽章と第3楽章がつながっており、さらに3楽章制になっています)不協和音も使われているような、そんな雰囲気をこの作品はそもそも持っています。やはりベートーヴェンの16の作品こそ、ドヴォルザークにとって偉大であったのではないかと思います。

第4番は1870年に作曲されたと言われていますが、当時のドヴォルザークは確かにワーグナーの音楽に触れ、その影響を受けていたでしょう。しかし同時に、広くヨーロッパ古典派からロマン派にかけての作曲家の影響をそもそも受けていたのです。

それを考える時、冒頭の音楽だけでこの作品を判断してはいけないような気がします。それは次の第5番がなぜ今度は一転、ワーグナーらしい旋律が出てこなくなったのかが理解できなくなるからです(さらに、4楽章制に戻してもいます)。ワーグナーの音楽に一度はまってしまうとそこから抜け出るのは容易ではありません。それくらい魅力があるからではありますが、そこにはある種の「毒」が内包されています。それを「解毒」するまでが時間がかかるからです。

それをドヴォルザークは比較的短い時間でやってのけているように思います。たとえば、私などは10年くらいはっきりとワグネリアンでしたが、今ではそれほどではなくなっています(もちろん、今でもワーグナーの音楽は好きですが)。しかしドヴォルザークはそれを数年以内にやり遂げていることを考えますと、そもそも彼はワーグナーの音楽とはある程度の距離を置いていたような気がするのです。

少なくとも、彼がワーグナーの影響を受けて作曲した作品と言われているのにはオペラが多く、弦楽四重奏曲は第3番と第4番と言われています。この二つは1870年の作品と言われていますが、とてもベートーヴェン的な第2番も同じ年だと言われています。もしそれが確実であれば、その3つの作品を私たちはどう読み解けばいいのでしょう。

それは、ドヴォルザークがもともとリスペクトしていた作曲家がワーグナーではなかったという点だと思います。その後、ドヴォルザークブラームスに認められてヨーロッパ楽壇に名が知られていくことは決して偶然ではないと私は思います。

そういった点も、こういった「番号(あるいは作曲)順」の全集は顧みさせてくれます。

プラハ弦楽四重奏団の演奏が素晴らしいせいもあるのかもしれません。アインザッツは相変わらず強めですし、それが曲に気高さを与えていることは明白です。それと、全体的に低い音では弱く、高い音では強くを基本とした演奏をしている点も、私の中では高評価です。



アントニン・ドヴォルザーク作曲
弦楽四重奏曲第4番ホ短調B.19
弦楽四重奏曲第5番へ短調作品9 B.37
プラハ弦楽四重奏団



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