かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:バロック・マニフィカート列伝 クーナウからバッハまで

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はBCJが収録したマニフィカート集です。

というだけでは面白くないので、テーマは「バロック・マニフィカート列伝 クーナウからバッハまで」としてみたというわけです。実際内容はそうなんですから。

指揮者であり代表を務める鈴木雅明氏がいるからこそのこのラインナップ。バロックと言えばバッハだけしか考えられないのが普通だと思いますが、バッハが活躍したのはバロックというよりはむしろ前古典派の時代だといっても過言ではない時代です。実際、ヨハン・セバスティアンの息子たちは一人としてバロック期にカテゴライズされる作曲家はいません。ギャラントもしくは古典派です。

そんな時代に生きたバッハですが、同じ時代に生きた巨匠にゼレンカがいます。そしてその師匠ともいえる人がクーナウ。特にクーナウは前代のトーマス・カントルであったわけです。

ヨハン・クーナウ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%A6

ヤン・ディスマス・ゼレンカ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%AB

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%83%90%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F

音楽的には似通っています。それもそのはず。生きた時代は重なっているんです。クーナウは生年がバッハより25年先なので25歳上ですが、バッハがトーマス・カントルになるまでは同じ時代で活躍していた作曲家だったといえるでしょう。

そのクーナウの死去にともなって、バッハがトーマス・カントルになっています。ですのでクーナウからバッハへという視点はあながち間違いではありません。そのうえで1722年までは同じ時代に活躍していた作曲家同志だったともいえるわけです。

それでも、三人並びますとバッハの音楽の充実ぶりは目につきます。しかしBCJはどの作品でも美しいアンサンブルを共感のうちに現出させています。それは同じ時代に生き、あるいは受け継いできた者同士の、どこか共感が作品のどこかに感じられるからなのではないでしょうか。

私もかつては歌うたいでしたからわかるんですが、作品を演奏するってことは、作曲者のメッセージと対話するってことなんです。それを指揮者の指示のもとどう対話して聴衆に示すのか。それはプロもアマチュアもありません。感じられることはプロアマ関係なく、その表現力においてプロとアマの差が出るだけです。もちろん、それがとても大きいのですけれど^^:

BCJはさすが音楽史と譜読みから、同じようで違う様で、けれども?というようなふわふわしたものを、演奏という具体的な行動で表現しているんですね。そうしますと、クーナウのは華麗さもあるけれどどこかさっぱり感もあります。その分古いともいえるでしょう。ゼレンカに関しては古い感じも受けますがむしろなかなか優れた作品を作曲する機会に恵まれなかったゆえのようにも思います。ウィキを読む限りではかなり差別されていたことがうかがえますので。

そしてバッハは、それら同志や先人たちからの果実を受け取り、さらにその当時の先進地域だったイタリアやフランスの音楽もふんだんに取り入れるという柔軟性がありました。ゆえに、バッハの作品が最も充実していることは論を待たないんですが、それでもクーナウやゼレンカの「マニフィカート」も素朴かつ美しいもので、自らの能力をフルに使って賛美の作品を紡いだんだってことが浮き彫りになります。

差をつけず平等に芸術家として向き合い、生命力あふれる演奏でBCJが示したかったものは、バッハがクーナウやゼレンカに対して、尊敬の念を常に持っていたってことなんじゃないかって、私は思うのです。




聴いている音源
ヨハン・クーナウ作曲
マニフィカト ハ長調
ヤン・ディスマス・ゼレンカ作曲
マニフィカト ハ長調ZWV107
マニフィカト ニ長調ZWV108
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
マニフィカト ニ長調BWV243
ミア・ペーション(ソプラノ)
野々下由香里(ソプラノ)
太刀川昭(カウンターテナー
ゲルト・テュルクテノール
浦野智行(バス)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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