かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ベルリオーズ ファウストの劫罰

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はベルリオーズファウストの劫罰を取り上げます。

以前、CDを御紹介したことがあるかと思いますが、その時は歌詞カードがなかったんです。しかも、モノラル。そのため、歌詞カード付きの音源を探していたのですが・・・・・

実は、歌詞はネットに上がっているんです。

La Damnation de Faust ファウストの劫罰
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/156.html

であれば、別にCDを買うこともなく、図書館で借りてくればいいだけ、なんです。ということで借りてきたのが、この音源で、小澤征爾指揮ボストン交響楽団で、実は以前ご紹介したミュンシュ指揮と同じオケなんです。

まず、この歌詞を見ると、ファウストの劫罰という作品が、必ずしもゲーテの原作に忠実ではないことが分かります。冒頭の舞台がハンガリーであるだけではなく、物語がゲーテの原作(第1部)を底本としつつも、むしろ当時ヨーロッパに広まっていた伝説をもとにしていることのが分かります。

ファウストの劫罰
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E5%8A%AB%E7%BD%B0

ファウスト 第一部
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%88_%E7%AC%AC%E4%B8%80%E9%83%A8

ゲーテの原作は第2部もありますが、それは全くと言っていいほど形跡がないんです。あくまでも、ベルリオーズが原作に影響を受けて、当時の伝説を織り交ぜつつ、さらにフランスの現状も織り交ぜて、独自のテクストによる作品に仕上げたというほうが適切でしょう。

これもミュンシュと同様2枚組なんですが、ミュンシュのように劇的ではない点では物足りない部分もあるのかもしれませんが、私はそうは思いませんでした。よく聴けば、例えば酒場の合唱などは秀逸です。アーメンコーラスの中にわざと汚い声を入れているんです。これは情景として誠に適切で、こういった細かい表現はむしろミュンシュよりも素晴らしいのではないかと思います。

その意味では、私としては二つとも捨てがたい音源で、この二つは手元にあったほうがいいと判断しています。二つを聴き比べることで「ファウストの劫罰」という作品がより理解でき、また自分の魂にすっと入っても来ます。

それにしても、こういった歌詞をネットに上げている方々には頭が下がります。歌詞サイトがあるおかげで、私などは図書館で借りてきてもいいわけですし、また世はyoutubeの時代です。歌詞が付いていないことがネットでは当たり前になっており、だからこ歌詞サイトは重要なのです。この先の課題とすれば、このサイトは基本、PCで音楽を聴く、或は見るということが前提だと思いますが、ネットフリックスが台頭してきているように、スマホで見ると言う人も多くなってきています。音楽ならまだスマホであっても今のままでいいと思いますが、オペラもとなった場合は、今のでは使い勝手が悪いように思います。なぜなら、スマホはPCのようにタブを複数同時に開いておいて、必要に応じてクリックして開くと言う訳に行かないからです。複数のタブは開いておけますが、他のタブに移るとその直前で開いてあったタブは強制終了となるからです。

つまりはこういうことです。youtubeであるオペラを見ていたとします。聴きながら歌詞を見たいなと言う場合、スマホだと歌詞サイトに移った途端、タブが終了と言う意味になってしまうので、音楽がそこで終わってしまうからです。ここが課題だろうと思います。まあ、上手にやればできないことはないんですが・・・・・かなり面倒くさいです。もうすこしスマホが使い勝手が良くなるか、或はyoutubeに歌詞をつけるか、いずれかは検討する時代がくるのではないでしょうか。

小澤の解釈はステディで、かつ物語のある意味めちゃくちゃさをうまく表現できているように思います。その「めちゃくちゃさ」に、作品のコアな部分があり、考えさせる点が詰まっているからです。その意味では、小澤は非常にいい仕事をしたと思います。あまりにもかっこよくしてしまうと、作品の本質から離れるような気がするからです。どんなに頭が良くても、ものの本質とはなんぞや?と考えることを忘れると、いつしかメフィストフェレスにからめ捕られる・・・・・それは、現代でも十分通用する話だからです。だってほら、今わが国の国会で、霞ヶ関で、おなじようなことが起ってはいませんか?だから、この作品の本質は全く持って普遍的なのです。




聴いている音源
スチュアート・バロウズファウスト
ドナルド・マッキンタイル(メフィストフェレス
エディス・マティスマルガリータ
トーマス・ポール(ブランデル、地上のエピローグ)
ユディス・ディクソン(ダンス)
タングルウッド祝祭合唱団(合唱指揮:ジョン・オリヴァ―)
ボストン少年聖歌隊(合唱指揮:テオドーレ・マリエル)
小澤征爾指揮
ボストン交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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