東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はコープランドの交響曲第3番他のアルバムを御紹介します。
多分、神奈川県立図書館だと、コープランドまで興味が行ったかは、わからないなと思います。数が多いんです。勿論、目を皿のようにして棚を見て行けば、おお!というのはあると思うんですけどね。
当初は、小金井のライブラリの少なさに僻僻していたんですが、借りてみれば、意外にそうでもなくて、神奈川県立図書館でこれがあったら借りるになというものがあるわあるわ。例えば、先日まで取り上げていたグリーグの抒情小曲集などがそうです。
そんな中に、しれっとある訳なんです、こんなコープランドの交響曲が。
コープランドは言わずと知れたアメリカの大作曲家です。「アパラチアの春」はテレビ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」で、クイズの勝ち抜けシーンで使われたので、題名は知らなくても知っている人も多いのではないでしょうか。
アーロン・コープランド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89
そんなコープランドは多様なジャンルを作曲していますが、交響曲は3つ書いています。ただ、その数の少なさから、アメリカと言えばハリウッドとか連想されてしまって、カラヤンと結びつき、いまいち評価が高くないのかもしれませんが・・・・・
例えば、ヨーロッパでいえば、サン=サーンスのような存在であるわけです、コープランドは。ですから、実に多彩な音楽は、とても魅力的です。
このアルバムの第1曲目である、交響曲第3番は、コープランドらしい旋律線の確かさに加えて、戦争というのが影を落としているせいか、不協和音も多用されている、コープランドとしては骨太の作品なのではないかと思います。
交響曲第3番 (コープランド)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89)
第3楽章に引き続いて演奏される第4楽章で、自作の「庶民のためのファンファーレ」(これも有名な作品で、聴けばすぐああ!これね!って判るはずです)を引用しているのは、確かにアメリカ人らしいヒロイックな面もあると思いますが、ウィキのようにショスタコーヴィチを出すなら第7番「レニングラード」や第8番を引き合いに出すべきだと私は思うんですけどね〜。
そもそも、自作を引用するというのは、恐らくですが、一つはクラシックの伝統に基づくもの、そしてもう一つは、作曲当時の連合国であったソ連の作曲家、ショスタコーヴィチが自作をどんどん引用していたこともあるのではと思います。1944年というのは、第2次世界大戦において、連合国の勝利へと思い切り傾いた年だったからです。ようやく明るい希望が持てるのかなと、連合国の市民が思ってもおかしくありません(一方、枢軸国側だった我が国は、滅亡への坂道を急速に転げ落ちていく時期でした)。
カップリングの「静かな都会」は劇音楽としてまず1939年に成立し、独立した作品としては1941年に成立した作品です。コープランドのスタイリッシュかつクラシックの伝統に基いた音楽は、どこか懐かしさを覚えます。都会と言えば騒がしいという中で、「静かな」というのはどういうことなのか、そもそも劇を見たくなります。
演奏するはバーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック。コープランド作品を振らせたら絶品のコンビです。勿論それは祖国の作曲家と言うのもあるかと思いますが、バーンスタイン自身が同じく作曲家であるということもあるんだと思います。作曲家同士で共感し合う中で、スコアリーディングを通して紡ぎだすものは、豊潤かつ美しいアンサンブルです。どうしても日本人には「アパラチアの春」とか「庶民のためのファンファーレ」のように壮大で、一見すると派手な音楽がコープランドのイメージとしてまとわりつきますが、実に繊細にえ、かつ大胆に演奏するんですよね。それは私たちがコープランドに対して持つイメージを、みごとにぶち壊し、表現力豊かな作曲家であると堂々と宣言してるかのようです。
その意味では、小金井市立図書館、あっぱれです。このようなアルバムをしっかりと持っているというのは、司書さんのセンスの良さを感じます。このようなライブラリを是非とも、できるだけ多く持ってほしいなと思います。
聴いている音源
アーロン・コープランド作曲
交響曲第3番
静かな都会
フィリップ・スミス(トランペット)
トマス・ステイシー(イングリッシュ・ホルン)
レナード・バーンスタイン指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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