かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:コバケンのチャイ5

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は小林研一郎指揮、チェコ・フィルのチャイコフスキー交響曲第5番の演奏を取り上げます。

この音源を借りたころ、まだシャイ―指揮ウィーン・フィルの演奏が聴ける状況にはなかった私は、それに近い音源はないかと、図書館へ行くたびに物色していました。

そもそもが、県立図書館では有名曲を借りるという方針だったことから、それはあまり私にとって嫌なことでも負担な古都でもありませんでしたが、シャイ―/ウィーン・フィルの演奏があまりにも印象が強すぎて、ケンぺ指揮のものでも多少不満が残ってしまっていたんですね。その一番の理由は録音年代にあります。

ケンぺ指揮の演奏も本当に素晴らしいのですが、1960年代という時代は、録音をするにあたって如何に人が色付けするかが特色で会って、クラシックを聴く人も、その色付けを楽しむという側面がありました(だからこそ、カラヤンはその色付けを最大限自分の理想にしたい人だったわけですが、その色付けを好む人と好まない人がいるのは当然で、それは文明論でもなんでもないと私は信じています。ならなぜ、カラヤンと一緒に仕事をしたレコーディングエンジニアも批判しないのかが、私には不思議でしょうがありません)。

そこで、棚を見てふと目に留まったのが、コバケン、小林研一郎だったと言うわけです。コバケンが指揮した第九を持っていたことが、借りてみようと決心する理由でした。コバケン/九響の第九は本当に熱があり、素晴らしい演奏でした。

で、コバケンと言えば、唸り声が録音に一緒に収録されてしまうことで有名ですが、このチャイコフスキー交響曲第5番でも同様で、第4楽章でことろどころ唸り声が聴こえます。WAVで聴こえるわけなので、周波数とかそういう問題ではなくて、はっきりと録音されているのです。

まあ、それがコバケンさんの録音メディアの特徴ですけれども、思わず出てしまうんでしょうね。本当にユニークと言うか、面白い方だと思います。

それだけ、演奏も熱が入っているとは言えるんですが、第九の時よりは少し距離を取っているという感じがあります。それほど入り込んでいないと言うか。リズムを刻むときに単調だったり。特にそれが顕著なのがカップリングのスラヴ行進曲。マイクの関係だとは思うんですがティンパニが殆ど聞き取れませんし、どこか情熱4:冷静6のような演奏。5分5分じゃないんですよねえ。あるいは、情熱が勝つような。

コバケンさんの演奏としては珍しいなあって思います。これがなぜそうなのかまではちょっとわかりませんが、どこか距離を取ろうとしているのが受け取れるのです。録音年代までは書いていませんでしたので記録していませんが、恐らくコバケンさんがチェコフィルの客演指揮者を務めていた時代であろうと思いますから、チェコ・フィルとの仲は良かったはずです。

そんな中での、少し他人行儀な演奏は、音楽に枯渇していた借りてきた当時はケンぺと置き換えましたが、シャイ―/ウィーン・フィルのが聴けるようになると再び置き換えられる運命を辿り、今では外付けHDにのみ眠っている音源です。

音楽においてリズムは非常に大切で、だからこそ私はテンポがどれくらいなのかは演奏を聴くときの重要項目なのですが、リズムは良いんですけれど、そこに生命力を感じないんですよね。これならまだ、日本のオケのほうがよかったのでは?とさえ思います。チェコ・フィルだからこそタクトに合わせたし、アンサンブルも素晴らしいのですが、ゆえにリズム感による生命力の欠如が表面化してしまったのかなあって思います。

むしろ、リズムがあまり表面化していない部分においてこそ、生命力があるんですね。うーん、これはどういうことなのだろうか・・・・・これは恐らくですけれど、第5番がチャイコフスキーの入水自殺未遂のあとに成立した作品であると言うことを踏まえているのかなあって思うんです。けれども、それは良いアプローチだったかなあって思います。

私も死のうとしたことがありますが、だからと言って躍動する生命力がなかったわけではありません。私としては、チャイコフスキーの第5番という作品は、生と死のはざまで揺れ動く感情だと思っています。そうでなければ、付点も音符にたくさんある理由が見当たりません。

この音源はその意味ではとても個性的だと言えますが、さまざまなことをかんがえさせるもので、いつも聴くと言うのではないですが、かといって聴いて意味がないと言うものでもない、不思議な演奏だと言えるでしょう。




聴いている音源
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
交響曲第5番ホ短調作品64
スラヴ行進曲作品31
小林研一郎指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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