かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:飯森範親の第九

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は飯森範親ヴュルテンベルク・フィルを振った第九をご紹介します。

発売当初、けっこう話題になった一枚で、実はどうしようかなあって思っていたところで、ブームは去っていき・・・・・と思いきや、神奈川県立図書館にありましたってことなんです。

というか、神奈川県立図書館、飯森範親の指揮するものはそこそこ置いてありまして、このほかにはブラームスのドイツ・レイクエムもあります。いずれそれもご紹介することがあるかと思います。

で、この第九なんですね。飯森と言えば、今二人の「イイモリ」が旬だと私は思っています。一人は、すでに全集を御紹介している飯守泰次郎、そしてもう一人がこの飯森範親です。漢字は違うので、注意が必要です。

ただ、二人の「イイモリ」に共通していることがあります。それはしっかりとヨーロッパの伝統を大切にしている、ということです。泰次郎氏はそれを踏まえたうえで、全集では破壊し再構成しましたが、この範親氏のものは欧羅巴の伝統の上に。日本人としての飯森氏の解釈を上手に乗せたもの、と言えるかと思います。

実はこの演奏、ベートーヴェン交響曲全集の一部でして、この演奏を聴く限りにおいては、他の番号も聴いてみたいなあと思うものになっています。

テンポ的には、今までこのブログで取り上げた指揮者の中では、スウィトナーやスクロヴァチェフスキなど、東欧系の指揮者に近いものになっています。私はご本人に尋ねたわけではないので断定はしませんが、そういう東欧系の指揮者の影響は多分に受けているのではと思っています。

その最大の理由が、実はいつも問題にする第4楽章のvor Gott!の部分なんです。楽譜通りvor一拍に対してGott!が6拍なんですが、なんと1秒残響が・・・・・・

はい!変態演奏認定です!でも、全く気にならないどころか、スタジオ録音であるはずなのに、第4楽章だけ教会でのセッションのように聴こえるんです。このあたり、飯森氏の工夫の後だと思います。古典派的アプローチの中にロマン派がしのばされています。素晴らしい!その後のアラ・マルシアの力強いこと!

唯一残念なのは、この録音、合唱団がまあまあでして、一部男性の発声がおかしいんです。でもそれをものともせず、勢いでいい演奏にしてしまうんですから、飯森氏の非凡さを感じます。

第九は幾度も、そして様々な種類のを聴いてきていますが、この演奏程あらがあるのに素晴らしいものはありません。次ぐのはヤマカズさん最後の第九かな。あれは地方オケでしたが、日本のオケも合唱団も、実はたいしたものなんですよ。

マイ・コレクション:ヤマカズさん最後の「第九」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/451

マチュアとしてはトップレヴェルでもある札幌アカデミーが、走ってしまうんですよね〜、これ。でも、全体としては全く問題ないものになっているのと同様、この飯森氏とヴュルテンベルク・フィルとのセッションも問題になっていません。まあ、こだわってしまえば気になるかもしれませんが・・・・・

え、だって無名のオケでしょ?そんなのと比べてどうすんの?という意見もあるかもしれません。あの〜、ヴュルテンベルク・フィルだって立派なオケです。そのレベルには日本のオケは達している、と言う事なんです。しかも、もう20年以上前に。

この二つを聴き比べれば、今の聴衆であればむしろ「え、殆ど変りないじゃん・・・・・」と受け取るようにおもいます。それだけの力を、しかも地方オケがとっくにつけているんです。在京オケだったら、もっと、ということになります。勿論、いろんな欠点もあります。でもそれは、ウィーン・フィルにだってベルリン・フィルにだって実はあるんです。人間が演奏するものです。民族の差を超えて、失敗は必ずあります。

そこを如何楽しむのか・・・・・それはライヴでの一つのクラシック音楽の楽しみ方です。この演奏は、まさにクラシック音楽と私たちがどう向き合うかを、教えてくれます。




聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」
サビーネ・リッターブッシュ(ソプラノ)
バーバラ・ヘルツル(アルト)
ヴィセンテ・オンブエナ(テノール
デイヴィッド・ピットマン=ジェニングス(バリトン
シュトゥットガルト・コアリステン合唱団(合唱指揮:エルンスト・ロイツェ)
飯森範親指揮
ヴュルテンベルクフィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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