かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:フォーレ レクイエム1893年版他

今月のお買いもの、平成28年7月に購入したものを御紹介しています。今回は銀座山野楽器本店にて購入しました、フォーレのレクイエム他のCDをご紹介します。

実際には、フォーレの宗教音楽作品集と言っていいこのCDを買ったのは、このCDがFMで流れていたからでした。NHKFMで、朝と昼に「クラシック・カフェ」という番組があるのをご存知でしょうか?そこで取り上げられていたのが、この演奏だったのです。勿論、作品はレクイエム。

フォーレのレクイエムは以前も取り上げています。

マイ・コレクション:ボド フォーレ・レクイエム
http://yaplog.jp/yk6974/archive/444

コンサート雑感:中央大学音楽研究会混声合唱部第49回定期演奏会を聴いて
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1051

基本的に、これらの演奏は第3版と言われるものを使っているのですが、このCDは1893年版、つまり第2版を使っているのです。

レクイエム (フォーレ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%A0_(%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AC)

で、ウィキを見ながら聴きますと・・・・・あれ、どこが違うの?

ウィキでは、丁寧にこう説明してくれています。

フォーレの「純粋な」構想を復元する試みは近年になって行われるようになった。第2稿についてはフォーレの自筆譜が失われているため、マドレーヌ寺院での演奏時のパート譜などをもとに、以下の二種類が発表されている。ひとつは、イギリスの作曲家ジョン・ラターによる校訂版1984年)。もうひとつは、フォーレ研究家のジャン=ミシェル・ネクトゥーがロジェ・ドラージュ(指揮者)と共同した版(ネクトゥ/ドラージュ版、1988年)である。両者の比較では、ラター版がより第3稿に近いといわれる。」

第2稿
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%A0_(%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AC)#.E7.AC.AC2.E7.A8.BF

実は、このCDを買ったもう一つの理由、それは指揮者が20世紀宗教音楽の大作曲家である、ジョン・ラターだったから、なのです。

ジョン・ラター
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%BC

マチュア合唱団にとっては様々な作品でなじみ深いラターですが、指揮者としても精力的に活動しており、出ているラターの作品のCDはほとんどがラター自身の指揮で行われています。

ですので、興味を持ったのです。その上、FMを聴いたのはスマホでであり、かつ、仕事の都合でイヤホンなしで、本体のスピーカーでだったのです。そうすると、この演奏はとても残響時間が長いので、ぼやけてしまうんですね、演奏が。これはスマホの仕方ない点です。本来ならイヤホンなのですが・・・・・本体のスピーカーでステレオで聴けるだけでも、以前の携帯電話からは大進歩ですが。

え、携帯変えたんですかって?はい、変えました!それはまたいずれ、どこかでお話しすることもあるでしょうから、今回は横に置いといて。

話しをもとに戻しますと、ラターがどんな校訂をしたのかがはっきりと知りたくて、このCDを買ったのでした。レクイエムの他の演奏はまた、県立図書館のコーナーあたりで取り上げることもあるでしょう。それと比べても、どこが?って感じなのですが、その理由がこのウィキの記述で明らかなわけです。

要するに、ラターは自身も作曲家であり、レクイエム作曲家でもあるためか、第2版は中途半端だと判断した、と言えるでしょう。確かに、本来バリトンはホスティアスだけのはずですが、この演奏では第3版と全く変わらない場所を歌っています。

つまり、ラターはこの演奏で、第3版も校訂を加えるべきである、と宣言しているのです。ですから、第2版と言わずに、1893年版としたのだと思います。この演奏は第2版を基本として、その第2版も第3版も批判して、第2版に第3版の要素を取り入れたものである、と言えます。

出来れば、放送でそういう解説があると嬉しかったですね。CDのクレジットだけ見たのだと思います。輸入盤なので私はななめ読みしかしていませんが、解説書にははっきりと書いてあるように思います。つまり、このウィキの解説はおそらくこのCDの解説書を参考に書かれていると判断できますので、採用していいでしょう。

放送では流れなかった、他の宗教作品も素晴らしいものです。時代の空気を感じるアヴェ・ヴェルム・コルプスからアヴェ・マリアまでの3曲、旋律線がはっきりしているラシーヌ賛歌、そして小さなながらも美しい小ミサ。どれもフォーレの宗教作品の魅力を伝えるのに十分ですし、また作曲家ラターの選曲の良さを感じます。

JPOPではアルバム全部を聴くという番組がNHKFMにはありますが、できればクラシックでもそういった番組があるといいなと思います。百聞は一見にしかず。それができるのが、放送というメディアなのですから。youtubeやニコ動が人気を博しているのは正に、繋がれるだけではなく、百聞は一見にしかずだから、なのですから。

それがかなわない現在では、このエントリで一人でも多くの人が聴いてみて、納得してくださることを願います。私はこの校訂は素晴らしいと思いますし、もしかするとスタンダードになる可能性を秘めていると思います。

演奏自体は、レクイエムは若干テンポが速め。他はそうでもありませんが、ラシーヌ賛歌は少し速いのではないかな〜って思います。以前某SNSの鑑賞会で聴いたときはもっとゆっくりだったような気がするのです。

ということは、ラターの作品は主にナクソスとMプラスの二つのレーベルから出ていますが、その二つは異なる可能性があることを示しています。その意味では、このCDは単にフォーレのレクイエムを聴くだけではなく、ラターの作品の入門編ともいう位置づけをしてもいいように思います。

うーん、私、予算の関係でナクソスを買ってしまったんですよねえ、レクイエム・・・・・・

それはまた、その時に述べるとしましょう。




聴いているCD
ガブリエル・フォーレ作曲
レクイエム ニ短調作品48(1893年版、ジョン・ラター校訂)
アヴェ・ヴェルム・コルプス作品65-1
タントゥム・エルゴ作品65-2
アヴェ・マリア作品67-2
マリア、マーテル・グラティエ作品47-2
ラシーヌ賛歌作品11
小ミサ曲
キャロライン・アシュトン(ソプラノ)
ティーヴン・ヴァーコー(バリトン
ケンブリッジ・シンガーズ
ジョン・ラッタ―指揮
シティ・オブ・ロンドンシンフォニアのメンバー
(東京Mプラス CSCD520)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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