今月のお買いもの、平成27年12月に購入したものをご紹介します。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の「第九」です。
実はこのコンビの演奏は、ずっと欲しかったものだったのです。しかも、できればあの有名な東ドイツ最後の日以外のものを・・・・・
勿論、実はその東独最後の日のものも欲しいとは思っているのですが、それは既に一応VHSで録画してあるのです。ですので、それ以外のものができれば欲しいなあと、ずっと思っていました。
あの演奏、つまり東独最後の日の演奏は、様々な想いが込められた、かなり特別なものです。それはそれで素晴らしいのですが、マズアのもっと「普通の」演奏が聴きたいなあと、ずっと思ってきました。
そこで、ディスクユニオンで見つけたのがこのCDでした。国内盤ですが、確かかつて横浜関内にあったプレミアムジークで、輸入盤を見た記憶があります。ちなみに、ドイツ・シャルプラッテン。で、このCDも元々はドイツ・シャルプラッテンのものです。
この、ドイツ・シャルプラッテンというレーベルが、味のあるシリーズを出すんですよねえ・・・・・
それは今回は横に置きまして、演奏は実に端正です。第1楽章は嵐のよう。第2楽章はリズムが押し寄せるようです。第3楽章はゆったりとしつつ美しくと、ここまではいわゆる東独の基本路線のような演奏になっています。例えば、ケーゲルや、スウィトナーのように。
それが、第4楽章は多少異なります。vor Gott!の部分は特に変態演奏ではなく6拍伸ばしていますが、それ以外は特に合唱のソプラノが強めになっている演奏で、これはむしろ西側にありがちだったスタイルに近いものがあります。かといってそれが不快ではなく、むしろ独特でいい雰囲気を持っているのが良いですね。
最後には、心の中にじんわりとした感動が沸き起こり、やっぱり第九は良いなあと思ってしまいます。それは第九が持つメッセージ、或はエネルギーでしょうし、それはベートーヴェンの第九を作曲するまでの人生が反映されているといえるでしょう。その「反映されているものやエネルギー」を、マズアは奇をてらうことなく、真正面から楽譜に向き合うことで、オケと合唱団を使って十二分に引きだしていると言えるでしょう。
また、ゲヴァントハウスもいい「音」を持っています。特に管楽器に「らしさ」が出ており、これがまた味わい深いのですよねえ。ただ、ロケーションはドレスデンのルカ教会。録音が1973年と、いまだ東独のプロパガンダがどうしても反映されてしまう時代に録音されている部分で採用されたのでしょうが、そこが残念なところです。本来ならやはり、ゲヴァントハウス、つまりライプツィヒのホールで録音してほしかったなあと思います。そういった部分の宣伝は下手だったと言えるのかもしれませんね、東独は。
それでも、合唱団は生き生きとしていますし、オケも水を得た魚のよう。マズアとの相性がバッチシだったのだなあと思います。
この演奏を聴いたうえで、あの「東独最後の日」の演奏を思い出してみると、マズアが演奏に込めた「想い」の一端が見えてくるように思えるのです。例えば、第4楽章の後半の「Alle menschen」を合唱が歌う部分で、テンポが落ちるところなどは、この演奏でも同じように落としていますが、「あの演奏」ではもっと落ちているんですね。そもそもいつも落とすマズアが余計になぜ落としているのかと言えば、やはり「すべての人々は同胞となる」というところを、強調したいからなんだなと思うわけです。テンポが変るという事も一つの強調ですから。
どの部分でリットや、テンポの変化が起きているのかなど、アコーギクに注目して聴きますと、歌詞がある分、マズアが第九を通して「言いたいこと、思っていること」が浮き彫りになるんですね。こういう聴き方ができるのが、過去の作品を聴くと言う、クラシックならではの聴き方だと思いますし、だからこそ、私はクラシックコンサートにおいて曲目を「プログラム(取り組む課題)」というのだと思っています。
聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
アンナ・トモワ・シントウ(ソプラノ)
アンネリース・ブルマイスター(アルト)
ペーター・シュライヤー(テノール)
テオ・アダム(バス)
ライプツィヒ放送合唱団(合唱指揮:ホルスト・ノイマン)
ベルリン放送合唱団(ディートリッヒ・クノーテ)
ドレスデン・フィルハーモニー児童合唱団(合唱指揮:ヴォルフガング・ベルガ―)
クルト・マズア指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
(ビクター VICC2051)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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