かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを取り上げます。演奏は荒井英治。

イザイという作曲家は、このブログでもかなり初期に名前だけ出てきていたのですが・・・・・作品は初めて取り上げるかと思います。

19世紀から20世紀にかけて活躍したヴァイオリニストで、作曲家でした。

ウジェーヌ・イザイ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%82%A4

注意書きがあるので、ウィキだけでは本当は不足なんですけれど、ウィキしかないと言う状況が・・・・・・orz

演奏家としては素晴らしい足跡を残していて、おそらくクラシック・ファンの中でもSP時代の演奏などが好きな人にとっては英雄扱いだと思います。ところが作曲家としての足跡となると一転、あまり知らないって人、多いんですよね・・・・・

たしかに、演奏が難しいっていうのは、この無伴奏ヴァイオリン・ソナタを聴いてもある程度判るんですけど・・・・・でも、プロでしょ?って言いたいんですよ、ええ。

で、神奈川県立図書館にもいくつかイザイのこの無伴奏ヴァイオリン・ソナタの演奏はありますが、そのほとんどが何と日本人。その事実を知らない人も多いかと思います。勿論、海外アーティストが演奏していないなんてことはありません。ただ、海外アーティストが好きな日本人でも、このイザイの作品となると、日本で出ているCDでは比較的日本人が多くなっているという・・・・・

ウィキの記述をみれば明らかなように、イザイはフランス人です。そのためもあって、おそらくメジャーレーベルでは売れないのでしょうね。だから収録もされないと言うか、国内盤で出すには利益が出ない、だから中小レーベルでってことなんでしょう。この演奏も何回か取り上げていますが元音源はLIVE NOTEです。

最近ではすこし状況が変わってきたようで、海外盤も店頭で目にすることができるようになりました。ナクソスなどの輸入盤やネット通販の力でしょうね。

さて、そのイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタですが、その名の通り、ヴァイオリンだけです。その様式はロマン派以降なかなか見られるものではなく、バロックでよくみられる様式で、バッハが最も有名ですが、まさしく、この作品はバッハにインスパイアされた作品です。

無伴奏ヴァイオリンソナタ (イザイ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E4%BC%B4%E5%A5%8F%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF_(%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%82%A4)

6曲からなるのもバッハを意識していますし、第1番や第2番に引用があるのもバッハを意識したものとなっています。ただ、20世紀という時代であることを感じるのが、例えば第3番は3つの楽章からなってりますがそれぞれ連結して単一楽章になっていることや、ヴィルトォーソが演奏する音型になっていることです。

言うなれば、20世紀とバロックが一つになり、統合されていると言えます。そしてそれが全く不自然ではないというのが、この作品の魅力だと言えます。

20世紀音楽と言えば、不協和音が多用され、12音階など、19世紀までの「約束事」に囚われないことで、人間のより深い心理を描こうというものですが、それとは一線を画すこのイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、20世紀音楽はどうも苦手という人にはもってこいの作品だと思います。特に、第2番第1楽章を聴けば、あれ、これバッハそのものじゃないの?とびっくりされるかと思います。

その第2番は、イザイがバッハの妄執から逃れようとする作品とも言われてます。だとすれば、この6曲に貫かれている「バロックと20世紀の融合」はイザイが目指したものだったと言えましょう。

荒井英治のヴァイオリンは、まさに超絶技巧そのものですが、かといってそれが気にも障らず、その上で様々な表情を見逃さず表現しているように思います。6人のヴァイオリニストに献呈されたこの作品を、そのヴァイオリニストたちも思い浮かべながら、しかししっかりと自分自身の表現を貫いているあたりは聴いていて爽快です。

バッハの作品が持つ舞曲性に、20世紀に頂点をむかえたヴィルトォーソが見事に融合したこの作品が、まるで自分の空気のように、縦横無尽に表現されているさまは素晴らしく、バッハがイザイによって様々に変容し、さらにはグレゴリオ聖歌までが入れ込まれ、全く独自の世界を構築していることが聴衆にしっかりと伝えられているのがいいですね。こういうコミュニケ―ションができるのは名演だなあと思います。

もう一つ、この作品の演奏が欲しくなります。それは満足できないからではなく、この演奏がその素晴らしさを伝えてくれているためであって、今度はどんな表現が出てくるのだろうと思うと、ワクワクします。




聴いている音源
ウジェーヌ・イザイ作曲
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27全曲
荒井英治(ヴァイオリン)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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