かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:フランソワのラヴェル・ピアノ曲全集

今月のお買いもの、平成27年6月に購入したものをご紹介しておりますが、今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ラヴェルのピアノ作品全集をご紹介します。

以前、このブログでもブリリアント・クラシックスの物をご紹介しておりますが・・・・・

今月のお買いもの:ラヴェル ピアノ作品全集1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1034

今月のお買いもの:ラヴェル ピアノ作品全集2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1039

ただ、この全集、私もピアノ作品全集だと思っていたのですが、よくよく考えれば、これは「ピアノ独奏曲全集」なのです。

ラヴェルは連弾の作品も書いており、そのような作品が抜け落ちているのです、上記のブリリアントのものは・・・・・

突込みがないという点に、日本の現状をみるとともに、私自身も、その現状にどっぷりとつかっている一人であることを、このCDを買うに至って、本当に突きつけられました。日々これ精進です・・・・・

このアルバムは、演奏がフランソワ。彼の演奏は同じラヴェルのピアノ協奏曲を取り上げた時にご紹介しています。

神奈川県立図書館所蔵CD:ラヴェル ピアノ協奏曲他
http://yaplog.jp/yk6974/archive/795

それが選択の根拠になったのかと言えば、もちろんですが、もっと大きな理由は、前述の通り、このアルバムに4手のための作品が収録されているからです。それが、組曲マ・メール・ロワ」。

ラヴェル : マ・メール・ロワ
Ravel, Maurice : Ma mère l'oye
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/3129/

マ・メール・ロワ管弦楽版のほうが有名であることから、管弦楽作品と考えがちなのですが、じつはオリジナルは4手のためのピアノ作品なのです。オリジナルのピアノ作品があって、作曲者であるラヴェルが後にオーケストレーションをして管弦楽作品としたものなのです。

このアルバムは実は複数枚組で、このアルバムは第2集になります。なのに、この一枚だけを買い求めたのには理由があって、オリジナルのピアノ作品はこのアルバムで殆ど網羅できているからなのです。

つまり、上記エントリでラヴェルのピアノ作品は99%は網羅できているのです。ただ、わずかの4手などが抜け落ちていた、しかもそれがまさに名曲「ラ・メール・ロワ」だった、というわけです。

このことを気が付かされたのが、mixiにおけるイベントでして、そこで「ラ・メール・ロワ」がとりあげれらました。思わず、私は自分のCDを見たのです。あれ、ないぞ・・・・・

たしか、図書館で管弦楽作品は借りてきた記憶があるが・・・・・・

で、ピアノ作品ならウィキよりは正確な傾向にあるピティナを参照してみれば、ラ・メール・ロワはそもそもピアノ作品であり、しかも独奏曲ではなく4手用の作品であった、というわけです。

そこで、収録曲としては重複するものもありながら、このCDを買い求めたというわけです。実際、イベントでも「フランソワのもいい」とのことでしたし・・・・・

冒頭の曲は「なき王女のためのパヴァーヌ」なのですが、あまりいい印象はないのです。なんか、はい、弾きましたって感じが満載・・・・・

でも、名ピアニスト・フランソワがいみもなくそんなことをするわけはないだろうと思います。演奏としては私自身はあまり評価できないのですが、むしろその寂しさを表わすのに、わざと淡々と弾いたのではないかという気がしています。

ピアノですし、編曲されているオケ版でもアコーギクが付く場合が多い作品ですが、フランソワは敢えてそんなことをしていません。これはもしかするとですが、そもそもは楽譜にアコーギクが付くような指示がないのではないかと思っています。フランソワはそれにただ従っただけであると考えることができるかと思います。

ラヴェル作品の楽譜は、瀬川氏のサロンでも見させていただいたことがないのですが(って、持ってきている人に見せて貰えば済む話なのですがー)、亡き王女のためのパヴァーヌに関しては、指示があまりないのではと思っています。

それ以外は、実は上記カルボナーラも、アコーギクのついた演奏をしているのです。ただ、それでどちらが味わい深いのかと言えば、じつはなかなか難しいところです。フランソワは充分「歌っている」とは言えるでしょう。天衣無縫というか。

カルボナーラの演奏はそれを目指したものであったとすれば、納得できます。となると、この演奏はその60年代になぜ、オケ作品でもアコーギクが付いた演奏が好まれたのかを、一つ理解するために大切な録音だと言えるでしょう。

さて、マ・メール・ロワ。所謂フランスのおとぎ話を題材にして作曲されたものですが、何とも楽しい!フランソワの軽くしかししっかりとした演奏が、イメージにぴったりなのは、本当に素晴らしくてため息が出ます。はあ・・・・・

何か、別の世界に行ってしまいそう・・・・・ふわあ。

でも、フランソワはしっかりと地に足を付けた、「情熱と冷静の間」のバランスをしっかりと取って、作品が持つ「世界観」を私達聴衆にしっかりと提示し、その上で自分のその世界観を表現する喜びを、全身で現わしているのが、ストレートに伝わってきます。だからこそ、このフランソワの「マ・メール・ロワ」を聴いていると、私自身も喜びで満たされてきます。

やはり、フランソワは名ピアニストです。勿論、私自身が持っているカルボナーラのアルバムを否定しませんし、私はそれも素晴らしいと思っています(特に、なき王女のためのパヴァーヌ)。しかし、このフランソワの演奏は、軽いのに存在感があるのです。だからこそ作品が軽いのではなく、しっかりとその作品の魅力を表現するには軽めではないといけないのだと言う、フランソワの信念が伝わってくるのです。




聴いているCD
モーリス・ラヴェル作曲
亡き王女のためのパヴァーヌ
水の戯れ
古風なメヌエット

ソナチネ
組曲マ・メール・ロワ
ハイドンの名によるメヌエット
サンソン・フランソワ(ピアノ)
ピエール・バルビゼ(ピアノ)
(EMIクラシックス TOCE-91106)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村