かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:グラス 交響曲第2番・第3番

今月のお買いもの、平成27年3月に購入したものをご紹介しております。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ナクソスのグラス交響曲第2番と第3番をご紹介します。

グラス?え、コップですか?って言う声が聞えて来そうですが・・・・・

フィリップ・グラス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9

20世紀アメリカの作曲家で、カテゴライズからするとミニマムミュージックとされていますが、本人は否定しています。まあ、聴けば本人が否定するのもさもありなんって思うんですけどね、ドビュッシーが自分の音楽は印象派ではなく、象徴主義だって言ったように。

いやあ、苦労人です、この人。それも、自らの理想があるからこそあえて選んだ苦労なんですよね。タクシー運転手をやるっていうのも、ふつうクラシック畑の人は考えないですよ。日本であっても、タクシー業界にクラシック畑の人が「自分のやりたいことをやるため」という理由で乗務員として入社することが、考えられるだろうかと、はたと考えてしまいます。

でも、その苦労があってこそ、現在の作曲家の作風につながっており、基礎となっていると考えれば、一本芯の通った人であると言えましょう。

このアルバムに収録されている交響曲2曲は、彼の作風の一つであるパターン変化が特に目立つ作品で、他のジャンルの作品の影響はそれほど見受けられません。むしろ、近年のアメリカ映画でオーケストラがBGMとして使われる場合に奏せられる音楽に良く似ています。第2番ではショスタコーヴィチかと思わせる旋律も出てきており、アメリカ以外の文化からの影響という特徴はよく出ているように思います。

ただ、音楽としては調性音楽であり、それほど無調音楽ではありません。ただ、感動するというような、魂を揺り動かされるようなものはないんですが、魂に語りかける部分はあります。クライマックスも用意されており、血が通っていないかと言えばむしろしっかりと血が通っていると言えるでしょう。

第2番が情緒的、第3番が理知的という形容は出来るでしょうが、それはそれぞれの作品をすべて言い表したものではありません。二つの作品は深い精神性を持っており、それは体というよりはやはり魂のレヴェルで感じ取れるものでしょう。

それぞれ第2番が1994年、第3番が1995年と、20世紀も押し迫った時期の作品ですが、無調音楽的ではない部分に私は注目します。第2番第1楽章では抜けるような青空があったかと思ったら、切迫する何かを示すパッセージがあったりと、ドラマティックです。然し何かを具体的に表現したものではないので、それが何かと想像するのは聴衆それぞれにゆだねられています。

はっきり、私はこの二つの作品は素晴らしいと感じています。細かいリズムを低音が刻み、その上に長音を中心とした旋律が乗っており、名作の条件をかねそなえているため、作品としてのまとまり、質はとても高く、私のあたまの中に様々なものが想起され、しかし音楽に酔うことなく、しっかりと楽しめて、魂のレヴェルで喜びも感じている自分がいます。

もっと端的に言えば、この二つの作品、私は好きです。正直、このアルバムは私にとって一つの挑戦だったのですが、結果としては買ってよかったと思っています。こういう出会いは、人生を喜びに代えてくれます。いいですねえ。

それは、演奏がいいと言う点もあるのでしょう。指揮者オールソップは作曲者グラスと親交があり、作品の初演に立ち会ったこともある人で、オケに細部までしっかりと冷静に演奏させています。その冷静さが、音楽に正命を宿らせ、生き生きとした生のリズムが徹頭徹尾表現されています。過大に表現をしなくても、クラシック音楽というものは、人間の喜怒哀楽をしっかりと表現している芸術であるということを、この演奏は私達にしっかりとメッセージしています。

翌月分をもう買ってしまっているんですが、実は棚にあったんです、グラス。でも、まだ聴いていないしなあと、手を伸ばさなかった私・・・・・

今月程、それを悔いている月はありません。買っておけばよかったなあ、と。中古CD店は一期一会。次来たからと言ってそのCDがあるかなんてわからないのに。

いやあ、これは・・・・・

ま、いつかまた巡り会えるでしょう。そんなメッセージすら、音楽から聴こえて来そうですが、それは指揮しているオールソップ自身の言葉なのかもしれません。グラスという作曲家の作品を借りて・・・・・




聴いているCD
フィリップ・グラス作曲
交響曲第3番
交響曲第2番
マリン・オールソップ指揮
ボーンマス交響楽団
(Naxos 8.559202)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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