かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト ピアノ・ソナタ全集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、モーツァルト全集からピアノ・ソナタをご紹介していますが、今回はその第2回目です。第6番から第8番までを取り上げます。

ここで、内田さんは一つの問題提起を行っています。実はこの第6番から第8番までというのは、旧全集に基いています。

つまり、この全集で第8番となっているのは、イ短調K.310(300d)のことなのです。これは新全集では第9番となっています。

え、では、第6番に関してもそうなのですか?という問いが、詳しい方からは提起されそうですが、そこまでは私にはわかりかねます。たまたま収録時間の関係で、別けざるを得なかっただけなのかもしれないからです。しかし、K.310に関しては、ここでは第8番としているので、明らかに旧全集に基いているといえるわけなのです。

全集を聴くというのは、その点で非常に面白いのです。確かに、第8番はエポックメイキングな作品です。モーツァルトのピアノ・ソナタでは初めて、主調が短調だからです。恐らく、母の死がその一因と考えられますが、第1番から第6番までの6曲においてすでに、短調が取りいれられていたことから考えれば、何かの拍子で短調が入ることは十分考えられることで、それが第8番を作曲したタイミング(1778年)だったということなのだと思います。

ピアノソナタ第8番 (モーツァルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC8%E7%95%AA_(%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88)

第6番も6曲連作の最後を飾る素晴らしい作品で、第3楽章に変奏曲を取りいれるという、いきなりクラシックの王道が入ってくるわけで、ピアノ・ソナタという新しいジャンルに掛けるモーツァルトの意気込みが感じられます。

ピアノソナタ第6番 (モーツァルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC6%E7%95%AA_(%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88)

第7番は、第8番を作曲した時に失った母とのマンハイム・パリ旅行において作曲された作品です。

ピアノソナタ第7番 (モーツァルト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC7%E7%95%AA_(%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88)

こう見てみると、なぜここでは第7番の次にK.310が来ているのかが、判るような気がします。つまり、母との思い出の次に、母を失った、嵐のような悲しみの表現とも取れるK.310を持ってくるという編集になっている、ということです。ですからあえて、旧全集にのっとった、と言えるかもしれません。

現在判明している作曲時期から言えば、K.311、つまり旧全集における第9番のほうが先であることが分かっていますが、これはこれでいい編集だとも言えるわけです。たまたま旧全集にのっとったら番号順であったわけですが、聴く側にとってはそのコントラストが楽しめるものとなっています。

ある意味、第8番から彩ががらりと変わる、と言っても過言ではないと思っています。その意味では、この配列はそれはそれで十分意味があると思います。

内田さんは、演奏において本当に余計なことをしません。テンポを必要以上に揺らすこともしませんし、ppからffまでを極端にすることもありません。古典派らしい、音が高ければ強く、低ければ弱くして、その上で表情を付けています。リタルダンドが現代的であるのは仕方ないでしょう。もしかするとピアノ・ソナタにおいてはそれも正解なのかもしれませんしね。新しい楽器には新しい奏法がふさわしいのかもしれませんから。

その意味では、とてもバランスのとれた演奏であり、見事に作品の特色や魅力を聴衆につたえていると言えるでしょう。




聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ピアノ・ソナタ第6番ニ長調K.284(205b)「デュルニッツ」
ピアノ・ソナタ第7番ハ長調K.309(284b)
ピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310(300d)
内田光子(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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