かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ベルリオーズ ファウストの劫罰

今月のお買いもの、平成26年5月の5枚目は、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」です。シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団他の演奏。ディスクユニオン新宿クラシック館での購入です。

ファウストの劫罰は、以前であればそれほど興味を持っていませんでしたが、最近はとても興味を持っています。恐らく、大人になったからでしょう(笑)

え、大人じゃなかったんですかって?ええ、大人ですよ。ただ、この作品を聴けるだけのだったかと言えば、果たしてと、思っています。

勿論、こういう作品が聴けなければ大人じゃない!って言うつもりはないです。ただ、自分はそこまで成熟していたかと言えば、そうではなかったなあ、と思うわけなのです。

ベルリオーズの作品に関しては、このブログでも取り上げており、それらが今回購入の伏線になっています。

神奈川県立図書館所蔵CD:ベルリオーズ レクイエム
http://yaplog.jp/yk6974/archive/313

神奈川県立図書館所蔵CD:ベルリオーズ 幻想交響曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/830

さらにはリストの作品などもその伏線にはあり、様々な経験が、この作品にようやく私を導いたと思っています。それらの作品と作曲家と、紹介してくださった人たちに感謝したいと思います。

さて、この「ファウストの劫罰」は、ドイツの作家ゲーテの「ファウスト」が元になっている作品ですが、原作に忠実ではありません。所々ベルリオーズが変えた部分が存在し、その最たるものがこの作品で最も有名と言っていい「ラコッツィ行進曲」だといえるでしょう。

ファウストの劫罰
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E5%8A%AB%E7%BD%B0

このCDが残念なのは、録音がモノラルなんですがそれではなく、歌詞カードがないことなんですよね・・・・・

モノラルですが音は鮮明で、まるでステレオかと思わんばかりなので満足ですが、声楽曲なのに歌詞カードがないという点こそ、残念なんです。だからこそ、ミュンシュ指揮であるにもかかわらず中古市場に出回ったのでしょうね。2枚組ですが800円というバジェットプライス。初めにそこを疑えばよかったなあと思っています。

作品の大まかな点はウィキを参照していただきたいと思いますが、私の視点は、この作品、行進曲が多数出てくるという点です。時代だなあ、と。

ゲーテの「ファウスト」が書かれ、そしてこの「ファウストの劫罰」が作曲された時代というのは、市民革命を経て社会が変わっていく時代で、人々がそれに翻弄された時代です。対応できる人もいれば、できない人もいる。そんな中で、様々に揺れる人物像が描かれ、それにベルリオーズが感動して作曲したわけですが、その中に行進曲が「多数」入るというのは時代だなあと思うわけなのです。

つまり、ヨーロッパの市民革命は、無血では済まなかった・・・・・特に、ベルリオーズの祖国フランスは、です。現実としての行進曲と、ファンタジーに逃げ込む「ファウスト」。そのコントラストが実に見事です。

今、日本も大きく変わろうとしていますが、その方向性は横において、私自身がそれに対応しきれていない部分があります。「ファウストの劫罰」は、実に私自身としては私自身も「ファウストではないか?」と気が付かせてくれるに十分なテクストを持っています。どこに「メフィストフェレス」が潜んでいるかわからんなあ、と・・・・・

ミュンシュとボストン響は、実にやわらかい演奏をしています。しかし、モノラルであってもしっかりとした「音」がそこに存在します。初め、「ありゃあ、モノラルか〜」と残念に思ったのですが、後から考えればミュンシュですから、それでも悪かろうはずがないんですよね。実はタイムラグがあるのでここで触れておきますが、つい最近図書館でミュンシュの音源を借りてきたばかりだったのです。だからその素晴らしさはわかっていたはずですし、だからこそ購入したのですが、それでもモノラルか、と思ってしまったのですね。

でも、そんな杞憂を完全に吹き飛ばす素晴らしい録音ですし、また表現としての演奏となっています。力強さと柔らかさが見事に同居して、そのコントラストが、現実と虚実のコントラストを見事に描ききることに成功しています。

多分、ステレオ世代の私のことですから、いずれステレオ録音の物を、さらに歌詞カード付きの物を購入することになるかと思いますが、それでも導入篇として、このミュンシュの指揮を買って良かったと思っています。多分、私は手放すことはないでしょう。テクストを私たちに提示するに充分な説得力を持っているからです。そんな演奏を手放すなんて、私には考えられませんから。私に様々な「気づき」を与えてくれる演奏を・・・・・




聴いているCD
エクトル・ベルリオーズ作曲
劇的物語「ファウストの劫罰」作品24
シュザンヌ・ダンコ(ソプラノ)
デイヴィッド・ポレリ(テノール
マルシアル・サンゲル(バリトン
ドナルド・グラム(バス)
マッケンリ―・ポートライト(バス)
ハーヴァード・グリークラブ/ラドクリフ合唱協会(合唱指揮:G.ウォーレス・ウッドワース)
シャルル・ミュンシュ指揮
ボストン交響楽団
(BMG BVCC-7920-21)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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