かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク 交響曲・協奏曲集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでドヴォルザーク交響曲と協奏曲を、ドヴォルザーク全集の中から取り上げていますが、今回はその第2回目として、チェロ協奏曲を取り上げます。

実は、ドヴォルザークはチェロ協奏曲を2曲書いていたのをご存知でしょうか?

チェロ協奏曲 (ドヴォルザーク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)

上記のウィキの記述は、有名な「ドヴォコン」、作品104のものですが、その記述中にある「習作」というのが、今回取り上げる作品です。

実は、ドヴォルザーク全集から再び交響曲もあるが借りようと思ったきっかけだったのが、このチェロ協奏曲の存在でした。そう、実はこの全集を借りた理由は、交響曲よりもむしろ協奏曲にあったのです。

ドヴォルザークは9つの交響曲と、「ドヴォコン」、つまりチェロ協奏曲作品109が圧倒的に有名であるがゆえに、他の作品(私がすでに取り上げている宗教声楽曲も含め)がかすんでしまっている傾向があるんですが、そのあまり有名ではないが、しかしいい作品を取り上げたいという想いがあるわけなんです。

といいつつも、この習作のチェロ協奏曲は、必ずしもいい作品とは言いがたい側面があります。作曲年は1865年と、実は先日とりあげた「ズロニツェの鐘」と同じ年であるにもかかわらず、出来はどうしてもズロニツェの鐘のほうがいいと思います。

ウィキにはオーケストレーションがどうのとありますが、それよりも、転調だったり、メロディラインだったりが、どうもしっくりこないんですね。

第1楽章の甘い旋律は確かに美しいのですが、甘すぎて、おなかいっぱいって感じです・・・・・甘い、甘いよう、チョコレートパフェよりも甘いよ〜(って、古すぎですね、このネタ)。

交響曲第1番と比べると、気高さだったりとか、緊張感がなさすぎで、ドヴォルザークらしさがどこか言ってしまっている気がするのです。ただ、聴くに堪えないほどのものではさすがにありません。後年のチェロ協奏曲を彷彿とさせる旋律もそこかしこに出て来ますし。有名なチェロ協奏曲のイメージで聴くと、面食らうことでしょう。

全体の構造でいえば、実はこの作品は意欲作でして、第3楽章に第1楽章の主旋律をもってくるなど、ソナタ形式を踏まえた上で循環形式を取っていたりと、盛りだくさんです。若きドヴォルザークの情熱が伝わってくる作品です。

ちょうどこの作品を作曲していた頃のドヴォルザークは、恋をしていたこともあって、そんな気持ちが曲にこもっているのでしょう。ただ、同じ「鉄」として言わせていただければ、やっぱりドヴォルザークさんは「鉄」らしい音楽でその真価を発揮するよね〜と思うのが、第3楽章の旋律です。恐らくフリアントを使ったリズムで、まるで機関車が疾走するような主題を持ってくるのは、そう、これを待っていました!という感じです。

ですから、オーケストレーションというよりは、むしろ旋律線において不完全だなあという気がします。作品番号を付けなかったのは、ドヴォルザークも認識していたからではないかと思います。

カップリングの同じく作品番号がないポロネーズは、一転素晴らしい旋律が支配します。甘さもあるんですが、その中に憂いだったり、毅然さだったり、気高さだったりと、いろんなものが詰まっていて、それがごく自然な旋律の中で、私達にじんわりと伝わってくる良作です。

実は、チェロ協奏曲は第1番という番号付けがなされているんですが、多分通常のチェロ協奏曲は第2番と付されていたと思います。これも指揮はノイマンで、オケはチェコ・フィルですが、確かに番号を付けようとすれば第1番だなあと思います。それだけ、彼らが祖国の作曲家を大切にしようという気持ちは伝わってきますが・・・・・

ドヴォルザークが、番号はおろか、作品番号をもつけなかったという史実を、捻じ曲げてもいいのかなあという気がするんです。演奏は端正で、特に奇をてらったことをしているわけでもないのに、きちんと様々なものが聴き手に伝わってきますし、それによって聴き手側に様々な想起をさせるいい演奏だと思います。それだけ、作品としては決して悪いものではないわけで、良作であることを伝えることに成功しているだけに、その姿勢は残念だと思います。

少なくとも、私は「番号」を付すのは、やめておきたいと思います。



聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
チェロ協奏曲イ長調 B10(※図書館にある全集には、「第1番」となっていることを付記しておきます。)
チェロとピアノのためのポロネーズ イ長調 B94
ミロシュ・サードロ(チェロ)
ルフレッド・ホレチェク(ピアノ)
ヴァーツラフ・ノイマン指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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