かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:アルヴェーン交響曲全集4

今月のお買いもの、今回は5月に購入しましたアルヴェーンの交響曲全集の第4集です。演奏は第3集までと同じくヤルヴィ指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィルです。

この第4集の収録曲は二つで、まず1曲目が交響詩岩礁の伝説』で1904年の作曲になります。北欧のフィヨルドが想像できそうな、壮大な音楽が鳴り響きます。実際旋律もかなり民族的で、それでいて後期ロマン派らしい趣をもっています。

それが一転変わるのが、2曲目の交響曲第4番です。

交響曲第4番 (アルヴェーン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3)

1913年に作曲が開始され、完成は1919年となりました。実はこのカップリングは偶然ではなく意味があります。ウィキのこの記述に注目です。

「この曲以前に書かれた交響詩『海礁の伝説』を拡大、発展させたものと言える。」

ウィキで『海礁の伝説』とあるその曲こそ、第1曲目の『岩礁の伝説』なのです。まあ、どう訳すかという違いですね。

第4番の特徴として、1楽章形式となっていることが挙げられますが、それは間違いなくこの曲の元となったのが交響詩であるという点を挙げるべきだと思います。完成までに時間がかかった理由として、第1次世界大戦があったこともあるでしょうが、様々な作曲家の影響をこの作品が受けているということが挙げられるでしょう。

ブックレットには、グラズノフエルガードビュッシー、ブリッジ、ヴォーン=ウィリアムズ、シベリウスと言った作曲家の当時発表されていた海に関する作品に影響を受けているとあります。この面々を見ると、まさしくどんな風にスウェーデンへ音楽の流行が入ってきたのかが一目瞭然であろうと思います。当時のいろんな形式が遅れつつ一挙に入ってくるさまが見て取れます。

それ故、音楽的には後期ロマン派というよりも、印象派とも言うべき音楽に仕上がっていまして、不協和音が多用され、さらに1楽章となっているとしても、その内容は4楽章がつながっている形になっています。その上で、ヴォーカリーズ(男女の愛を表現しているもので、それ故「シンフォニカ・エロチカ」とも呼ばれます)を導入するなど、実に意欲的で独創的な作品となっています。1曲目と同じ曲であるはずなのに、がらりと違います。

なぜウィキにこの第4番に関しては記述があるのか、おぼろげながらわかる気がします。この曲こそ、アルヴェーンらしさというか、彼の独創が発揮された作品だと言えると思うからです。ヴォーカリーズが出て来る周辺の不協和音は実に美しく、ブックレットに名前は出てきませんがスクリャービンを彷彿とさせます(ウィキには関連項目で出ています)。

交響曲第4番 (スクリャービン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%B3)

当時のいろんな作品からインスピレーションを受けつつ、自らの作品をさらに高みへ登らせたのが第4番だといえるかと思います。『岩礁の伝説』もとても幻想的な作品ですが旋律線ははっきりしています。それが交響曲第4番ではもう少しぼやけさせ、神秘主義的な雰囲気も漂わせて、実に豊かな世界を現出させています。

ヤルヴィとオケは、ここでとても躍動的な演奏をしています。そんな劇的な作品ではないはずなのに、しかし聴いているうちにどんどん引き込まれていきます。端正ではあるんですがとてもドラマティックです。やはり男女の愛という、ともすればドグマすらでる人間関係が扱われているせいなのかもしれません。

恋ではなく愛は、ともすればとても劇的です。恋は淡いということがありますが、愛は燃え上がるものです。その火は関係が終わるまで消えることはありません。それが統率のとれた演奏が美しく、かつ劇的に私たちの前に現われています。まるでそこに愛し合う男女がいるかのように・・・・・

第4番は娘に献呈されていますが、この時彼女は14歳!一体、どんな気持ちで献呈を決めたのか、知りたくなりますが、それはもしかするとパンドラの箱を開けるようなものかもしれませんので、この辺で終わりにしておきましょう。どんな「エロス」が飛び出すか、わかったものではありませんから・・・・・



聴いているCD
ヒューゴ・アルヴェーン作曲
交響詩岩礁の伝説』作品20
交響曲第4番ハ短調作品39
ネーメ・ヤルヴィ指揮
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
(Brilliant Classics 8974/4)



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