かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ジンマンのミサ・ソレムニス

今回のマイ・コレは、ベートーヴェンのミサ・ソレムニスです。ジンマン指揮、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団他の演奏です。

ミサ・ソレムニスはベートーヴェンが作曲したミサ曲の中で一番有名なものですが、とにかく大規模な曲で、通常であれば80分くらいかかる楽曲です。

ベートーヴェンのミサ・ソレムニス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%AC%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%82%B9#.E3.83.99.E3.83.BC.E3.83.88.E3.83.BC.E3.83.B4.E3.82.A7.E3.83.B3.E3.81.AE.E3.83.9F.E3.82.B5.E3.83.BB.E3.82.BD.E3.83.AC.E3.83.A0.E3.83.8B.E3.82.B9

このCDをなぜ買ったと言えば、その演奏時間が通常よりも短いからです。なんと65分!通常よりも15分の短縮です。すでにエントリを上げていますが、既に私は2枚組でミサ・ソレムニスのCDは持っていたため、特徴ない限りもう一枚を買うということはあり得ませんでした。

それが65分という演奏時間であれば、十分1枚に収まるわけで、だからこそ買い求めたのです。

しかも、当時すでにベートーヴェンの宗教曲はほとんどがピリオドで演奏されるようになっていました(交響曲はまだどんどんモダンで新譜が出ていたにもかかわらず)。それが新譜であるにも関わらずモダンであるというのも、購入の決め手でした。

このCDの演奏は全体的に引き締まっていて、筋肉質です。長ったらしいものが排除され余分なものがありません。購入当時はそれが不満だったのですが・・・・・

今改めて聴きなおしてみますと、その筋肉質な部分にも味わい深い点がたくさんあることに気が付かされます。テンポが速いことで全体が引き締まり、それが全体を俯瞰しやすくさせ、曲の全体像をとらえやすくしています。

そのことがこの曲を従来の「駄作」という評価から一転、名作へと変化させているように思います。合唱の各パートの動きがまるでオケと一体化していることに気が付かされます。ほとんどカンタービレせずまるで叫ぶような、それでいて冷静さも保持するこの演奏からは、清潔でかつ情熱的な信仰心の発露が見て取れます。

その意味では、帯に書かれてある「古典派とロマン派をつなぐ曲」という点をはっきりと浮かび上がらせていると思います。そしてその点こそ、いま私がようやくたどり着いた新たなベートーヴェン像なのです。

そんなこと以前から言われていたじゃないかという人もいらっしゃるかと思いますし、実際私もベートーヴェンは古典派とロマン派をつなぐ作曲家であると思ってきました。しかしこの演奏をはじめ理解できなかったということは、それが表面的な理解であったことを意味します。

特に、この演奏は新ベーレンライター原典版による演奏ですが、サンクトゥスにおいて、転調部分で従来は合唱が歌う部分を独唱が歌っている点に注目したいと思います。通常、サンクトゥスは合唱団だけで歌われる曲ですが、合唱がはじめ出てその後独唱というのはとても独特な点ですし、少なくとも従前の形式には囚われていません。

そう、ベートーヴェンは明らかにこの曲であたらしい時代を宣言しているのです。従来と同じであるベネディクトゥスを連続で演奏しそのベネディクトゥスはサンクトゥスと音楽が異なるという点も合わせ、なんとそれまでと異なる「宗教曲」であるのでしょうか!

演奏時間が80分もかかりますとそれはまるで交響曲かオペラかと言わんばかりの演奏になりますが、このような引き締まった演奏をしますと随所に宗教曲である顔がのぞきます。この演奏もですが、「情熱と冷静の間」のバランスが絶妙であるがゆえに、そもそもこの曲はやはりミサ曲という宗教曲であるということを私たちに教えてくれます。ただ典礼では簡単に使えないだけで・・・・・

随所にまるで抜けるような青空すら見えるこの演奏は、古典派の衣を着たロマン派といってもいいこの曲の特徴を、改めて私たちに気付かせてくれます。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ミサ・ソレムニス ニ長調作品123
ルーバ・オルゴナソーヴァ(ソプラノ)
アンナ・ラーソン(アルト)
ライナー・トロスト(テノール
フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(バス)
スイス室内合唱団(合唱指揮:フリッツ・ネーツ)
デイヴィッド・ジンマン指揮
チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
(BMG Arte Nova BVCE-38042)



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